いしかり市民カレッジ

トピックス

トップページ トピックス まちの先生企画講座5「石狩市の花・木・鳥」第1回「石狩市の花『ハマナス』ってどんな花?」


トピックス

まちの先生企画講座5「石狩市の花・木・鳥」第1回「石狩市の花『ハマナス』ってどんな花?」

2025/11/11

 11月6日(木)、まちの先生企画講座5「石狩市の花・木・鳥」の第1回「石狩市の花『ハマナス』ってどんな花?」を石狩市民図書館視聴覚室で開催しました。講師は、NACS-J自然観察指導員の白畠徹さん、受講者は20名でした。
25,mati5,1,1.JPG
 以下は、お話の概要です。
◇私の自然観察エリア「石狩海岸」
 石狩海岸は、大都市に隣接していながら、砂浜、海岸砂丘、海岸林という本来の砂浜海岸の自然が大規模に残されている。
1.はまなすの丘公園設置の背景
 1970年代の自動車の普及に伴う海岸草原への車両乗り入れやハマボウフウ乱獲被害が増加し、その対策として1973(昭和48)年に石狩町自然保護条例が施行された。さらに1978(昭和53)年には石狩川河口海浜植物等保護規則が制定され監視員も配置された(講師の白畠さんも監視員を務められたそうです)。
2.はまなすの丘公園紹介
 1988年から始まった「石狩シーサイドパーク構想」の先駆けとして、1991(平成3)年に「はまなすの丘公園」が開設、木道が設置され公園全域での植物採取が禁止されて、植物保護と快適な自然観察の両立が実現した。また、木道入り口脇には石狩灯台100年記念の石碑も建立された。翌1992年にはヴィジターセンタ―がオープンした。
 はまなすの丘公園は、石狩川河口部に広がる約46haの砂嘴状地形の海岸砂丘自然草原である。自然形態は、日本の国土のわずか0.1%しかない極めて希少な植生で、全国でも極めて稀な自然公園である。ハマナスをはじめ海浜植物を含む約180種の植物が生息し、草原性の野鳥や水辺の鳥たちが多数観察できる。
3.石狩市の花・木・鳥
・2005(平成17)年の市村合併前は・・
石狩市は、ハマナス・ナナカマド、厚田村は、シバザクラ・トドマツで、いずれも鳥の選定はなく、浜益村は、ハマナス・サクラ・ゴメ、であった。
・合併後の2006(平成18)年、花はハマナス・木はカシワ・鳥はカモメと決められた(市民憲章等検討会議)。
4.ハマナス 学名 Rosa rugosa  英名 Japanese rose
 石狩市以外にも、北海道の花であり、全国32市町村の花に指定されている。
バラ科バラ属の落葉低木。日本原産でバラ科では唯一の海浜植物で砂地に深く地下茎を伸ばし、他の海浜植物と共に砂を保持する役割を持つ。群生する。花は一日花で夜明けとともにほどけ始め、3時間ほどかけて開花する。花期は石狩では6月初旬から9月下旬。8月中旬から実が赤くなる。葉は奇数羽状複葉でひとつの葉は7~9枚の小葉から成り、秋に紅葉する。
バラ科の花には蜜がなく虫たちは栄養たっぷりの花粉を目的に集まる。
5.世界のハママスの分布
 日本の南限は、日本海側が鳥取県、太平洋側が千葉県。
世界では、北緯35°くらいから70°くらいまでの砂浜海岸で生息。ヨーロッパへはシーボルトが持ち帰った。現在は、オランダ、リトアニア、アラスカ、ニュージャージーなどで侵略的外来植物として分類され厄介者となっている。
6.名前の由来 Rosa Rugosa
  Rosaは属名でバラ属を意味する。Rugosaは、種小名で「シワのある」という意味。
7.石狩市庁舎敷地内で観る身近なルゴサ系
ハマナス
 日本自生のバラの原種。
シロバナハマナス
 自生地で数少ない変種。
玫瑰(まいかい)
 中国原産、ハマナスとは種類が違うようだが、日本では、ハマナスの八重咲園芸種とされている。
また、俳句の季語ではハマナスを指す。
8.葉
 奇数羽状複葉。6~8枚の葉が並び先端に1枚が付く。小葉の葉身は厚みがあり葉脈が深く凹んでシワがあるように見え、表面には光沢があるが裏面にはない。10月から徐々に紅葉する。
9.枝
 枝分かれが多く複雑に伸びてひろがる。砂浜での樹高は20㎝ほどと低いが、内陸では2mにもなる。
表面には細く短い棘が密集。若い枝にも柔らかい棘がついている。古い枝は、棘が減少。
10.地下茎
 砂丘の深くまで複雑に広がって砂を保持、定着させ砂丘を形成する要因となる。
25,mati5,1,3.JPG25,mati5,1,2.JPG
11.花~午前中~
 5月中旬から葉が広がり、枝の先端から蕾が目立ち始める。
花弁は5枚で10㎝ほど、マゼンタ色。花芯には、雌蕊が密集、周りを雄蕊が囲む。夏の朝、蕾は夜明けとともに解け始め甘い香りを放ちながら3時間ほどで開ききる。雄蕊の葯が割れて花粉が溢れ出て、それを目当てに集まった虫たちによって受粉が行われる。
午後には、花粉はほとんどなくなり雄蕊は茶色くなっていく。
25,mati5,1,4.JPG
12.花~午後~
 ハマナスの花は、基本的に一日花で、夕方には落ちてしまう。9月に入り、気温が低い時などには2~3日保つ場合がある。実が大きくなるにつれて花芯が内側に引き込まれ反り返っていた萼が起き上がり、きれいな星形になる時期がある。
13.実(ローズヒップ)~偽果~
 萼の付け根にある膨らみは、2週間ほどかけて大きくなってから徐々に赤くなり偽果と言われる実になる。中には真果がぎっしりつまり、真果の中身が種子である。
14.利用
・バラ科の赤い実は、古くからローズヒップとして食されている。ビタミンCが豊富に含まれ、お茶やジャムなどで用いられている。アイヌにとっても、ハマナスの実は貴重な栄養源で生食や干して保存したものを煮て肝臓の薬としていた。
・開拓使は、石狩産のハマナスで香料を作ったが、採算性が悪く長続きしなかった。
・昭和22年から42年まで、札幌の曽田香料が全道からハマナスの花弁を買い集めて香料を製造していた。石狩にも集荷所があり、主婦や子供の良いアルバイトだった。
・根は、草木染の染料として用いられる。
しかし、いずれも手間がかかり製品として大量生産されることはまれで、自然を愛する人たちの趣味の素材ととなっている。
25,mati5,1,5.JPG
 以上が、ハマナスについてのお話ですが、この後セイヨウミツバチがハマナスの花の花粉を集める様子の動画を見せてもらいました。
25,mati5,1,6.JPG
 さらに、ハマナスにつく虫キベリチビケシキスイや葉が紅葉する姿、冬に凍り付く姿などの映像を見せてもらい、最後に草原の鳥たちや水辺の鳥たちの姿を楽しく見ることができました。
25,mati5,1,10.png25,mati5,1,9.png25,mati5,1,8.png25,mati5,1,7.png
 白畠さん、たくさんの素晴らしい画像を見せていただきありがとうございました。
 最後に受講者から寄せられたコメントをご紹介します。
「最もなじみのある"はまなす"(の)詳しく丁寧な解説、スクリーンで見る写真・動画はさすがに・・と感じました。はまなすの丘公園を主のフィールドにしながら石狩の自然を愛情一杯観察、研究、解説している白畠さん(お仲間の人達も含め)、その情報に敬服します!」
「石狩の花とは思わずにどこにでも咲いていると思ってました。あまり気にとめて見なかったけれど、可愛いきれいな花ですね。虫は嫌いだけど今度じっくり見てみようと(来年は)思いました。ありがとうございました」
「ハマナスについての詳細な説明をいただき、大変よくわかりました。海岸線の長い日本ではもっと指定自治体が多いかと思っていましたが・・。自生できる環境が少なくなりつつあると残念に思われます」
「はまなすの生態がこんなに変化する事、知りませんでした。これからの見学では少しは注意しながら行動します?小鳥や虫たちも大いに楽しみです」
「石狩浜の自然を学びたくなりました。とてもいい講座だと思います」
「自然系の講座をぜひ増やして頂きたい。美しい写真で楽しい内容でした」
 
 
 




CONTENTS コンテンツ

いしかり市民カレッジ Facebookページはこちら

カレッジ生募集中

ボランティアスタッフ募集中 詳細はこちらから

いしかり市民カレッジ事務局

〒061-3217
石狩市花川北7条1丁目26
石狩市民図書館内社会教育課
Tel/Fax
0133-74-2249
E-mail
manabee@city.ishikari.hokkaido.jp

ページの先頭へ

ご意見・お問い合わせプライバシーポリシーサイトマップ