10月1日発行のいしかり市民カレッジ情報紙「あい風通信」65号『この人に聴く』コーナーに登場いただいた北海道史研究家でノンフィクション作家の森山 祐吾さんのインタビュー全文を掲載いたします。

森山先生にはこの間、北海道の歴史をテーマに数回にわたり主催講座の講師をお願いし多くの受講者から大変分かりやすいと好評を得ています。
先生は、インタビューのなかで詩人の「80歳であろうと、人は青春の中にいる」との一節を紹介し、生涯1000回の歴史講座を開催したいと抱負を語られています。
--歴史講座を始めたきっかけを教えてください。
主に営業を担当し、全国を飛び回って43年。ほっと一息ついたら定年退職の前年でした。当時は人生80年と言われ、残る15~20年の第二の人生をどう生きればよいかと考えました。 のんびりゴロゴロの毎日は性分に合わず、「人生をもっと生き生きと楽しく過ごしたい。できれば少しでも人のために尽くしたい」と意を決めました。
そのきっかけとなったのが、転勤族当時、全国の名所・旧跡・博物館などを訪れるたびに感心したことです。それは年配のボランティアガイドがいかにも学芸員のように詳しく、かつ分かりやすく解説してくれたことでした。彼らは「解説のために日々学習を重ねる楽しみと、来場者が理解を深めて満足して帰られるのが、人生の何よりの喜び」と語っていたことが強く印象に残っていました。このことが、第二の人生を決めることとなり、改めて、北海道の歴史を初めから学び直すことに決めたわけです。
--この間、どのくらい学習し講座を手掛けられましたか?
退職後の予備学習などで3年を経て。2010年から歴史講座を開始し、本年7月で15年経過。定期講座(3教室)570回、他所臨時講座(いしかり市民カレッジほか)70回、計15年間で640回。欲張りですがこの先も健康に留意し、満90歳まで続けて、目標1000回を達成したいです。
--歴史を研究し、教える中で感じていることは何ですか?
埋もれつつある北海道史に光を当てると、逆境にめげず強い信念を持って生き抜いた人々や意外な史実が見えてきます。そこには混沌とした現代に生きる私たちに、元気を与えてくれるヒントがあります。先人の足跡とその時代背景を分かりやすく解説し、歴史を学ぶ楽しさを受講生の皆さんと共有していきたいと思っています。
--先生にとって歴史を学ぶ意義とは?
世界がどちらに向かって動いているのかが分かりにくくなっている今日、人類が過去に蓄積してきた英知を掘り起こし、「過去と現在の対話」を実践することが大切です。そのためには歴史を学ぶことによって自分の頭で考える力をつけ、時代に翻弄されずに生き抜くための「知恵」を見つけることができるようになるからです。歴史を学んで得る「知恵」は大まかに3つあると思います。
・過去の失敗を繰り返さないため。
・時代に翻弄されずに生きていくため。
・自分の頭で考える重要性に気づくため。
--いしかり市民カレッジの印象や感想はいかがですか?
受講生は高齢者が多く見られますが、皆さん年に関係なくいつも明るく、もっとたくさん学びたいという向上心に溢れ、その真摯な態度にいつも感服しております。この先も関心のあることを深く知ることで人生は豊かになり、また知らなかった事柄を理解することで自分の世界が広がります。
皆さんの学習意欲を支援してくれるのが、いしかり市民カレッジの豊富な講座です。ここで学び続けると、人生なお一層心豊かに過ごすことができるパワーが生まれてきます。ぜひ一度気兼ねなく参加してみてください。
--いしかり市民カレッジへのメッセージをお願いします
日頃から。幸福感と充足感を得るため、多様な人との交流や新たな知識、そして好奇心と創造的な感性を持ち続けましょう。何よりも豊かな教養と、困難にもくじけない意志を持ち続けることは、次の世代へ継承していく使命でもあります。そのことを充分自覚されている皆さんのことを、いつも応援しております。
最後に詩人のサミュエル・ウルマンは、詩集「青春」の中でこう言っています。(要約)
青春とは、人生のある期間ではなく。心の持ち方をいう。
歳を重ねただけで人は老いない。
理想を失う時に初めて老いる。
頭を高く上げ、希望の波を捉える限り、80歳であろうと、人は青春の中にいる。