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主催講座6「地球温暖化とCO₂地中貯留の取り組み」第1回「地球温暖化と二酸化炭素」

2023/08/06

 7月25日(火)主催講座6「地球温暖化とCO₂地中貯留の取り組み」の第1回「地球温暖化と二酸化炭素」を開催しました。講師は当カレッジ運営委員でもある北海道大学名誉教授の徳田昌生さん。受講者は34名でした。
以下は講演の概要です。
      ーCO₂ CO₂ CO₂ CO₂ CO₂ CO₂ CO₂ CO₂ CO₂ CO₂ CO₂ CO₂ CO₂ CO₂ CO₂ CO₂ー

 講師の徳田さんは自己紹介ののち地球温暖化と二酸化炭素について詳細な資料に基づき話しを進めました。
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①地球温暖化の現状
②地球温暖化の将来予測
③地球温暖化が起きる原因
④地球温暖化でどのようなことが起きるか
⑤地球温暖化の対策
⑥石狩市の取り組み 
                               
地球温暖化の現状
〇世界的に猛暑や豪雨など異常気象が頻繁に起こり日常になっている。
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例 アメリカ 43.3℃超が19日間連続
   カナダ  相次ぐ森林火災、2日間で2か月分の豪雨 
     ヨーロッパ 最高記録48.8℃の更新 
       中国ウイグル 52.2℃を記録する暑さ、地表温度80℃
〇世界の平均気温は気温の測定が正確にできるようになった1850年(19世紀後半)と比較して約1.1℃上昇している。
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〇世界気象機関は2022年の平均気温は産業革命前を1.1℃上回ったと報告。寒冷地の氷の融解で世界の海は2022年の6カ月で5㎜水位が上がったと報告。
〇日本においても気象庁のデータによると100年前と比べて1.3℃上昇。真夏日の日数が2020年の42日程度に対して増加、35℃以上の猛暑日も増えている。近年、降水量もこの10年間で見ても増加。最近よく出る線状降水帯という連続した集中豪雨も増え3時間当たり130mmを超える降水も45年間で2.2倍増加。温暖化によって気温が上昇し水蒸気の増加をもたらし降水量の増加につながっている。
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〇北海道も同様に右肩上がりで気温が上昇、100年前と比較し平均気温が2.1℃上昇。最近では猛暑日が増えている。北海道の気温上昇を印象付ける。
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〇世界・日本そして北海道も温暖化しているのは間違いない。
                                                                       
地球温暖化の将来予測
〇世界的に信頼のおけるIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第6次評価報告書(2021-2022年)によると、2050-2060年に温暖化ガス排出増加量の実質ゼロを実現した場合でも、2040年までに世界の気温は1.5℃上昇するとし、最悪のシナリオは2100年までの気温上昇は4.5℃に達すると警告。人間の影響が大気・海洋および陸域を温暖化させたことには疑う余地が無いと指摘した。
〇昨年秋、エジプトで開催された国連のCOP27(締約国会議)では、気象変動枠組み条約に基づき温室ガス排出量の削減目標を守っていても今世紀末に気温が産業革命前と比較して2.5℃上昇するとし、2030年までに温室効果ガスの45%削減が必要と指摘。同時に再生可能得エネルギーの導入加速の必要性を確認した。                 
〇我が国の研究機関RITE(地球環境産業技術研究機構)では、このままCO₂が増加した場合、2100年の気温は最低でも1.4℃、最高で5.8℃上昇し、海面水位も今世紀末で最低0.1mから最高0.9m上昇すると予測。これが現実化すると東京・大阪のかなりの面積が海水で埋まり小さな島国は海面の下になる可能性がある。
〇環境省は、我が国でも現在以上の対策を取らなかった場合、21世紀末では2.6から4.8℃上昇を予測。真夏日も更に増加、東京の真夏日は100日(現在約46日)を超え一年の3割が真夏日になると予想。北海道でも約50日(現在8日)の真夏日になると予想。

地球温暖化はなぜ起こるのか?
〇IPCCの第6次報告書では地球の気温上昇は、太陽の黒点の変化・火山の爆発等の自然現象起源ではなく人間活動が原因との見解を示した。とくに産業革命以降、エンジンの動力源として石油や石炭など化石燃料を燃やすようになった結果、大気中の二酸化炭素の急激な増加を招き、気温上昇をもたらしているとした。南極の氷床から分析しても気温の変動とCO₂の排出量が合致。 
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〇石油などの炭素を含む燃料を燃やすと空気中の酸素と結合しCO₂二酸化炭素となり、水素は酸素と結合し水になる。水(水蒸気)の増加は大きな影響を与えないが、CO₂は影響が多く問題がある。天然ガスは主成分がメタンで炭素が少なくCO₂を減らせるが、石炭は炭素が多くCO₂も非常に多く排出する。
〇温室効果ガスがあることにより赤外線の一部が地球に残り地球は一定の温度に保たれている。温室効果ガスは100%悪くはなく地球には必要であるが、あまりにも増え過ぎると温暖化につながり問題となる。
〇温室効果ガスの種類としては化石燃料(石油など)由来の二酸化炭素が65%、天然ガスのメタン15%、冷蔵庫の冷媒に使われるフロン類は2%。このうちメタンやフロンは二酸化炭素に比べはるかに温暖化係数は高いため少量であっても大幅に減らす必要がある。
〇二酸化炭素の排出量は産業革命あたりから右肩上がりで上昇。世界的にみてもCO₂の量は明らかに上昇している。
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〇CO₂の排出量を国別でみると、日本は11.8億トン。中国は日本の10倍以上を排出。アメリカ・アフリカも多い。GDP単位で見ると日本や米国等は少ないが中国やアフリカなどは多い。1人当たりではアメリカ・カナダ・オーストラリアが多い。いずれにしても世界的にCO₂が増えているのは間違いない。
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地球温暖化でどういうことが起きるか
〇気温上昇により干ばつや砂漠化が進み、水・食料不足に繋がる。暴風・豪雨が増加、災害が増え、都市のインフラが壊れる。干ばつが増え熱帯雨林が枯れると森林が無くなりCO₂の吸収が減る。
北極の氷が融け海面水位が上がり、極地の陸地が増え熱を吸収し温暖化に繋がるなど、様々な悪循環が生じる。
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温暖化の対策
〇二酸化炭素の増加が温暖化の原因とすれば以下の対策が必要である。 
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①大気中に出る二酸化炭素の量を減らす。→脱炭素・ゼロカーボン・カーボンフリーなどの取り組み。 ※カーボン=二酸化炭素
②直接的に二酸化炭素を除去する。→二酸化炭素の回収・貯蔵。
③資源的に限りある化石燃料を使用せず、二酸化炭  
素の排出を減らす。→再生可能エネルギー利用。
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〇風力発電・太陽光発電などのほか二酸化炭素を減らす科学技術としては、二酸化炭素の回収・貯留技術(CCS 技術)や海洋の温度差をエネルギー源に利用する方法、潮力や波力発電、水素の利用による燃料電池の活用と開発などもある。
〇来月視察する二酸化炭素を貯めて取り込んで地中に埋め込もうとする苫小牧のCCSは我が国初の実証実験事業。地球上の地層のなかで不透水層をもつ地層を選び、その下の帯水層まで圧力をかけパイプで流し込むというもの。100年、200年単位でCO₂が逃げていかないと言われている。
〇脱炭素の取り組みでは、札幌で開催されたG7の気候・エネルギー・環境相会合や北海道・札幌宣言で脱炭素社会に向けた動きの加速を促している。
〇CO₂を利用する動きもある。水素と合わせて合成燃料にする技術やCO₂からメタンをつくったり、CO₂を電気分解で役に立つものに変える研究もある。湿布薬ロキソブロフェンなどは二酸化炭素を取り込んで合成することも出来る。              

石狩市の取り組み
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〇石狩市はCO₂削減に先駆的に取り組んでおり、昨年、環境省から脱炭素先行地域として選定された。道内で3件のうちの一つ。再エネの地産地活によるエネルギーの安定供給実現の優良事例として評価されたもの。
〇石狩厚田のグリーンエネルギーの取り組みが、今年2月に北海道経産局の「北国の省エネ・新エネ大賞」優秀賞を受賞した。
〇石狩市は地球温暖化対策推進計画に基づいた取り組みを行っており、太陽光発電の利用など市民一人ひとりが出来ることから始め、食品ロスの削減、再生可能エネルギーの利用等わずかでも市民レベルでもCO₂削減に取り組む必要がある。
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《受講者の声》
「世界と日本の気候変動と地球の温暖化がCO₂増加によって何が起きるのか、分かりやすくお話しいただきました。次回を楽しみにしています」
「大変関心の高い内容を分かりやすく解説して頂きタイムリーな講座と感謝しています。毎日の生活で温暖化による現象で不安というより大変困った状況が起こっています。環境がどう変わっていっているか理解を深めていく必要があると改めて考えさせられました」


















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