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主催講座12「北海道の水産と漁村」第2回「水産物の消費流通動向と北海道漁業の未来」

2023/08/23

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 8月17日(木)、主催講座12「北海道の水産と漁村」の第2回「水産物の消費流通動向と北海道漁業の未来」を石狩市花川北コミュニティセンターで開催しました。
講師は、北海道 水産林務部 総務課 水産企画係 係長の伊村一雄さん、受講者は20名でした。
 魚の大好きな伊村さんは、自宅では握りずしまで作られるそうです。
 本日のお話は、
1.水産物の消費
2.水産物の輸出
3.消費拡大の取り組み
4.北海道漁業の未来

以下は、お話の概要です。
1.水産物の消費
1)我が国の消費
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・グラフは昭和35年から令和3年までの魚介類と肉類の消費量の変化を表わす。
・魚介類の消費は、昭和35年からゆるやかに増加していたが、平成13年(狂牛病発生)の40.2㎏をピークに減少している。
・令和3年の食用魚介類の1人当たりの消費量は、23.2㎏。
・対して、肉類の消費は緩やかに増加していて、平成23年頃から魚介類の消費量を上回っている。令和3年は、34.0㎏。
2)年齢階層別摂取量
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・若年齢層ほど魚介類の摂取量は少ない。
・高年齢層の摂取量も年々下がっており、加齢効果はみられない。
3)消費者物価指数及び魚介類購入量の推移
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・平成26年以降、食料品全体の価格が上昇している。
・特に生鮮食品の価格が大きく上昇。
・生鮮魚介類の価格上昇に反比例して、1人当たり購入量は減少。
4)世界の消費
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・我が国の水産物消費は減少しているが、世界平均よりは高い消費である。
・海外の消費は伸びている。
 伸びている国―中国、韓国、インドネシアなど。変わらぬ国―アメリカ、ノルウェー、EUなど。
5)世界の漁業生産
・世界の漁業生産量は約2億1,000万トンで、漁業と養殖業の比は約1:1。
・漁業での生産量は、約9,000万~1億トンで推移。
・増加している養殖業は、中国の内水面養殖(ハクレン、コクレン、ソウギョ、アオウオ)。
・インドネシアやインドもエビの養殖が増えている(エビを食べない国はない)。
・エビの養殖も最近は砂に潜る習性を持つブラックタイガーのようなエビより砂に潜らず単位面積当たりの養殖効率の良いバナメイエビが増えている。
6)世界の人口予測
・国連の予測では、令和32(2050)年の世界の人口は、約97億人で令和5(2023)年の80億人から2割増加する。
・人口増加に伴い(2086年では104億人の予想)今後も水産物の世界的な需要は増加することが見込まれる。
・日本の水産業も世界へ目を向けていく必要がある。

2.水産物の輸出
◇我が国からの輸出額
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・令和4(2022)年の水産物輸出実績は3,873億円。前年比14.3%増。
・国は、令和12(2030)年に農林水産物・食品輸出5兆円の目標を掲げている(うち水産物1.2兆円)。
・令和4年が大きく伸びているのは、円安の影響。
・国・地域別では中国、香港、アメリカで約半数を占める。
・品目では、ホタテガイ、ブリ、真珠が上位を占めている。
・大きな貝柱が取れるホタテガイは北海道産だけ。ナマコも北海道産はイボダチがよく一級品。

3.消費拡大の取組
世界の需要は、経済や社会情勢の変化で変動することもあるので、国内市場拡大は大切。
1)増加資源の活用
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・マイワシやブリなどは近年漁獲が増えている一方、単価は下落している。
・漁獲高の増えている品目の販売促進。
・付加価値向上の取組。
・消費拡大の取組(飲食店でのフェア、レシピの配布)
2)道産水産物営業プロジェクト
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・コロナ禍の水産物消費低迷を契機に、令和3(2021)年にプロジェクトチームを立ち上げ。
・道庁水産部門の若手職員が「営業担当」として活動。
・漁業生産現場と販売現場の仲介をしながら、付加価値向上や新たな流通ルート構築を模索。
・企業や病院などの食堂への開拓。
・北海道と企業の包括連携協定を活用。
・取り組み例
①三井物産(株)・エームサービス(株)との協働によるホッケPR
②北海道キリンビバレッジ(株)・(株)ローソン
うまいもんフェア開催⇒対象商品を買い応募すると抽選で水産物がもらえる。
3)Fast Fish(水産庁)
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FastFishとは、手軽・気軽においしく、水産物を食べること及びそれを可能にする商品や食べ方のこと。これにより水産物の消費拡大を図る。
4)プライドフィッシュ
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・魚の本当のおいしさを知ってもらうため、全国漁業協同組合連合会が、旬ごとに計4種のPRIDE FISHを選定。
5)さかなの日
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・水産物の消費拡大に向けた官民の取組推進のため、水産庁が令和4年10月28日に制定。
・「さかなの日」は、「毎月3日~7日」。
・特に11月3~7日は、「いいさかなの日」として、協賛メンバーとともに活動強化。
・現在、771の企業・団体等が協賛メンバーに。

4.北海道漁業の未来
1)前回紹介した「我々に出来ること」は確実にやっていかなければならない。
2)サケ・マス海中養殖試験
・トラウトサーモン(ニジマス)やギンザケの養殖試験を実施。
・北海道は、木古内漁港(釜谷地区)などでサクラマスの養殖試験を実施。
・試験段階で、採算性が課題。
3)海業(うみぎょう)
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・現在使われていない漁港の有効活用。

 以上がお話のあらましですが、最後に伊村さんは、
・皆さんは、最近魚を食べていますか?
・週にプラス1回、国産魚介類の食事を!
と訴えて本日のお話を終えられました。
 日本では魚を食べなくなって今では肉類の消費量に及ばないが、それでも世界的に見るとまだ食べている方である。世界の水産物の需要は今後も伸びるので、国内消費を大切にしながらも世界に目を向けていかなければならないことや国内の消費拡大に対しても様々な試みをしていかなければならないことがよく分かりました。
2回のお話で、北海道の水産の現状と課題をよく理解することが出来ました。
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 最後に、受講者のコメントをご紹介します。
「魚は生協で購入しているが最近は高齢者に5%引きで販売しているので購入しているが、最近は高くなった感じがします。したがって以前より食べなくなったようですが、本日の講座を聴いて消費拡大に向けた水産林務部の取り組みの一端が理解できた」
「漁業の事を幅広く知ることが出来て良かったです。余りこのような機会は少ないと思います。石狩は漁業の町であり親戚にもりょうし(民宿とウニ・アワビ養殖)が居るので関心あります。農業もそうですが。担い手不足が問題となっており、その大きな原因と思われる収益の低さがもっと改善されると良いと思います」
「わかりやすい説明で親しみをもって受講できました。日々の生活に直結している水産物の現況の理解が深まりました。トピックス、世界の消費動向、消費拡大の取り組みなど興味がわきました。魚大好きな伊村氏のお話ぶり楽しかったです。魚はいろいろ食べます」
「漁業愛にあふれた講義、大変良かったです」
「講座を聞き、北海道には多くの魚介類が採れる。道民の一人として消費拡大が自分の健康にもつながる。大いに食べよう!大変勉強になりました」




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