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まちの先生企画講座3 「家庭に役立つ電気の話し」

第2回 「電力の流れと自由化」

2016/09/24

9月12日(月)、まちの先生企画講座3「家庭に役立つ電気の話し」の第2回「電力の流れと自由化」を行いました。講師は北海道科学大学名誉教授の佐藤孝さん、受講者は21名でした。
 
家庭で使われている電気は正弦波交流ですが、正弦波交流の特徴は時間によって電圧の高さが常に変化し、規則正しく極性が入れ替わることです。そのため電球は目に見えない速さで明るさが変化していますが、家庭の電気を50Hzよりも非常に遅い周波数にしたら、電球の明るさの変化がわかるでしょう。直流からインバーターで取り出した交流は、正弦波よりも角ばったパルス波に近い波形になります。
 次に発電機が作る交流の原理を見てみましょう。発電機は磁界の中をコイルが回転することによって電気が発生しますが、コイルが磁界と並行の時は電圧が0、直角の時に最大になります。ですから50Hzは発電機のコイルが毎秒50回転していることになります。
1秒間に現れる正弦波の数を周波数と言い、一つの正弦波の時間を周期と言います。50Hzなら周期は0.02秒です。周波数fと周期Tの関係はf=1/T  T=1/f となります。
 日本の電源周波数が富士川を境に異っていることは前述したとおりですが、日本以外の国で2種類の周波数を使っている国はほとんどありません。因みにヨーロッパと中国は50Hz、南北アメリカと韓国や台湾が60Hzを使用しています。現在はわが国でも電力会社が相互に電力を補完しあっていますが、その方法は送電線の他に海底ケーブルが使われています。海底ケーブルは同軸なので交流のまま送るとコンデンサー効果で損失が大きくなるため直流に変えて送電しているので、周波数が違っても送電出来るのです。因みに石狩湾新港で試験中の超電導送電も直流を使用しています。
 
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超電導送電の長所は導線を極めて冷却することによって電気抵抗が0になることですが、すべての物質は電気の流れ易さの順に、導体、抵抗体、半導体、不導体(絶縁物)に分けられます。最も抵抗が小さいのが導体で銅やアルミニウムなどの金属、水や人体、大地も導体です。抵抗体はニクロム線や電球のフィラメントなどがあります。半導体はトランジスタやICの材料になるゲルマニウムやシリコンがあります。電気をほとんど通さない不導体(絶縁物)にはプラスチック、磁器、ガラス、空気、油などがあります。但し絶縁物でも湿度があれば電気を通す場合があります。 電線の抵抗は R=固有抵抗×長さ÷線の太さで表されます。絶縁物に電気が流れるのは、雷や着火器のようなコロナ放電と、支持物などにわずかな電流が流れる場合とがあります。うそ発見器は心理的な動揺が発汗作用を活発にし、皮膚の抵抗が小さくなり電流が増える作用を利用しています。

かつて照明器具といえば行灯やロウソク位でしたが、1810年頃ガス灯が発明され、1879年にエジソンが白熱電球を発明し、1938年に蛍光灯が発明され、1996年に白色LED が発明されました。このように証明用光源は約60年毎に新しい物が開発されていることが分かります。白熱電球は真空中で高温に熱せられたフィラメントが光りますが、エジソンの発明した電球のフィラメントには、京都の竹を使用したことで有名です。白熱電球は温かい光源ですが発光効率が低いのが欠点です。のちに電球の中にハロゲンガスを封入したハロゲンランプが出来ましたが、これはフィラメントから蒸発したタングステンがハロゲンと結合して再びフィラメントに戻るため、より明るくなり寿命も延びました。
それでもエネルギーのほとんどは熱になってしまうため、高温になるのは避けられませんでした。そこで発光効率がより良い蛍光灯が発明されました。その構造はガラス管の両側にフィラメントを点灯させ、グローランプで回路の一部を遮断すると、安定器から高圧が発生し、フィラメントから熱電子が放出され、管内の水銀原子と衝突し、水銀の自由電子が紫外線を発生し、管の内側に塗られた蛍光体に衝突して可視光線になります。
それに対して発光ダイオードは電気を直接光エネルギーに変えるので、効率は格段に良くなりました。発光ダイオードに電気を流すと、+と-の電荷がPN結合部で結合するときに発光しますが、半導体の材料によって光の色が決まってしまうのが難点でした。最初に赤色ダイオードが発明され、そのあと黄色と青が発明されたので、3色揃って白色光が出せるようになりました。消費電力は白熱電球より87%蛍光灯より30%削減できます。
 
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現代の一般的な発電は火力と水力に分けられますが、発電の仕組みはどちらもタービンを回転させる点で同じです。ただ火力の方が建設し易いため主流になっています。大きく分けて石炭・石油・LNGなどの化石燃料を使う火力発電と、ウランやプルトニウムを燃料にする原子力発電とがあります。ボイラーで熱せられた高温高圧の蒸気でタービンと直結された発電機を毎分3000回転させて50Hzの電気を発生させます。水力発電は蒸気の代わりに水の流力を利用していますが、建設できる場所が限られるため我が国ではあまり造られません。最近は夜間電力を利用した揚水発電も増えています。
発電所から消費地まで送電する時の損失電力は降下電圧×電流で算出されますが、電圧は電流×抵抗値ですので、損失電力=電流×抵抗値×電流=抵抗値×電流2となり、電流を下げると飛躍的に損失が減ります。そのため送電線を高電圧にして損失を押さえています。北海道電力は26.5万Vまでですが、ロシアには100万Vの送電線もあります。

高電圧のままでは一般家庭で使えませんから、変電所や柱上トランスで変圧しています。変圧器は窓枠状の鉄芯にコイルを巻いて作られ、巻き数に比例した電圧を発生させます。例えば3万V から100Vを発生させるには、コイルの巻比を300:1にすれば電流は300倍になりますから、それだけ大勢の人が利用できます。ただしこの変圧器は電流の変化を磁界の変化に変えて伝えているので、交流にしか使えません。

 今まで説明してきたのはすべて単相交流ですが、位相を120°ずつずらして3系統の単相を同時に送る方法があります。そうすると6本の電線の中性線が不要になりわずか3本で送電出来ます。これを3相交流と言い、高圧送電線が3本の倍数になっているのはこのためです。
 
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 次に永久磁石と電磁石を比較してみましょう。磁石の力が磁力でその範囲を磁界と言います。電気は+と-が単独で存在しますが、磁気の+極と-極は単独では存在できません。
永久磁石と違って電磁石は電気が流れている時だけ磁力が発生し、電流の向きによって極性も変化します。またコイルの中で永久磁石を動かすと電気が発生し、動かす速度・磁力・コイルの巻き数に比例して誘導電流が変化します。

 ここで今話題になっている電力の自由化について考えてみましょう。送電技術の発達や発電方式の多様化などによって、誰でも自由に電力が売買出来るようになりつつあります。道内では北電のほかに、北ガスや生協やソフトバンクが名乗りを上げています。それぞれ独自の料金表を発表していますが、今のところどれもそれほど差がなく私たちは判断に迷うところです。ただどの会社を選んでも北電のラインを使うので、その会社がどうなっても電気が停まることはないようです。

 電力自由化のきっかけの一つになったのが太陽光発電ですが、太陽電池の原理も知っておきましょう。太陽電池はN型半導体とP型半導体の接合部の空乏層が大切な働きをします。空乏層に光が当たると自由電子と正孔が引き離されるために電気が発生します。発生する電気は直流ですから、昼間は一旦バッテリーに充電して置き、夜間インバーターで交流に直して使ったり電力会社に売ったりします。今あちこちで大量に太陽光パネルが設置されていますが、将来これが産業廃棄物になる心配はあります。
 1年間の発電量と消費量はどうでしょうか。あるお宅の例ですが発電量が最大の月は8月で最少が2月なのは予想通りです。ところが使用量は10月が最大で6月が最少、売電量は4月が最大で7月が最少です。その結果年間約18万円の電気を売っていますから、15年から20年位で工事費を回収出来るのではないでしょうか。

2回目に寄せられたアンケートは次の3枚でした。

高圧線の3相送電の理由は知らなかった。電気の基本の話なので忘れている部分はあったが、この講座で思い出し、再認識できた。

スマートメーターと電磁波による健康被害について教えて下さい。P52のスペクトルで見ると、携帯電話やスマートフォン等はどこに位置しますか。

難しいけれど面白かったです。ありがとうございます。





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