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まちの先生企画講座3 「家庭に役立つ電気の話し」

第1回 「家庭で使う電気の基本」

2016/09/23

9月5日(月)、まちの先生企画講座3「家庭に役立つ電気の話し」の第1回「家庭で使う電気の基本」を行いました。講師は北海道科学大学名誉教授の佐藤孝さん、受講者は21名でした。
 
1回目の講議内容は、電圧・電流・電力などの電気の基本単位と、交流と直流の違い、それから電化製品の原理などについて学びました。電気は他のエネルギーと比較してもこれほど便利なものはありません。先ず照明器具から熱源、動力、電子機器のパソコンやモバイルまでと応用範囲が広いことが挙げられます。

 電気は目に見えない電子やイオンの移動によって発生します。ですから現代の科学技術をもってしても、電気そのものを大量に蓄える良い方法がまだ見つかっていません。反面、電力そのものはいくら使用してもCO2が発生しないので、クリーンエネルギーと呼ばれています。
昔の人は雷などの静電気しか知りませんでしたが、これらは原子の一番外側を回る自由電子が、他の原子に移動することによる帯電によって発生します。したがって電気の正体は自由電子の移動現象ですが、静電気の電圧は極めて高く電流が極めて低い為に実用的ではありませんでした。
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そこでボルタが電池を発明して、持続的に流れる電気を取り出すことに成功しました。電池の起電力は水位の違う水槽をパイプで繋いだ時に、水位が等しくなるまで水が流れる原理と似ています。この水位の差が電圧、流れる水量が電流、パイプの細さが抵抗、水槽の大きさが電力、1時間に流れる水量が電力量に例えられます。電圧の単位は電池の発明者ボルタの名前からボルト(V)、電流は磁場の研究で成果をあげたアンペールからアンペア(A)、抵抗はオームの法則を発見したオーム(Ω)、電力は蒸気機関の発明者のワット(W)、電力量は一時間当りの電力なのでワットアワー(Wh)と決められました。
 ところで電池は自由電子が一方に流れる直流ですが、家庭で使用しているのは自由電子が交互に流れの向きを変える交流です。交流には必ず1秒当たりの振動回数を示す周波数があります。その単位はドイツの物理学者名を採用してヘルツ(Hz)と呼ばれていますが、以前はサイクルだったのを御存知の方も多いと思います。我国は明治の初めに東京はドイツの50Hz、関西は米国の60Hzの発電装置を導入したため、今でも富士川を境に2種類の周波数を使っています。これでは不便なので戦後どちらかに統一しようとしましたが、膨大なコストがかかるために未だに実現していません。
では基本単位の具体例を示してみましょう。電圧は家庭のコンセントが100Vで乾電池は1.5Vですね。電気製品には必ず使用電力が表示されていますが、例えば500Wの電気ポットにはどれくらいの電流が流れるでしょうか。電力(W)=電圧(V)×電流(A)という公式を習ったと思いますが、500=100×Aで電流は5Aになります。では電気ポットの抵抗は何オームになるでしょう。オームの法則によって抵抗(Ω)=電圧(V)÷電流(A)に数値を当てはめると100÷5=20Ωとなります。
この電気ポットで1ℓの水を20℃から100℃に上げるのに必要な時間を求めてみると、1W=0.24calなので500×t×0.24=1000×80からt=666秒となり約11分かかることが分かります。仮にポットの効率を80%とすれば11÷0.8=14分となります。 
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次に電圧の種類を考えましょう。直流電源には電池がありますが、電池には乾電池やボタン電池のように使い切りで使用出来なくなる物(1次電池)と、蓄電池やリチウムイオン電池などのように何度でも充電できる物(2次電池)に分けられます。交流から直流に変換するものをコンバータ、直流から交流に変換するものをインバータといいます。 電池の電圧は乾電池が1.5 V、鉛蓄電池が12 V、ボタン電池は3 Vが一般的です。電池の容量はアンペア時で表示されますが、電圧を増やすには電池を直列接続し、電流を増やすには並列接続します。ボルタの電池から始まった電池の歴史は、今や水素と酸素による燃料電池の時代を迎えつつあります。

 ボルタの電池は硫酸の中に銅板と亜鉛版を入れて出来ます。亜鉛はイオン化傾向が大きいので、硫酸はH2SO4→2H2++SO4--とイオン化し、導線をつなぐと銅板付近の水素を中和するために電気が流れます。しかし水素は絶縁体なので銅板に付着した水素がやがて電気を流れにくくします。それを解決したのが乾電池として普及したマンガン電池ですが、更に高電流が得られるように改良されたアルカリ電池を経て、今は燃料電池が盛んに研究されています。燃料電池は2H2+O2→2H2O+電気 のように水しか発生しないので環境にはとても優しい電池といえます。
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日本の家庭の電源は交流100Vですが、欧米では200Vが一般的です。 交流とは時間と共に正弦波状に変化する電圧のことで、その電圧はV=Vm sin2πftで求められます。但しVmは最大値、tは時間(秒)、fは周波数です。交流電圧の特徴は変圧器によって電圧の高さが変えられることですが、これは電力の輸送にとても大きな働きをします。エジソンとウエスチング(ハウステスラー)とが直流か交流かで争ったときに、電圧が変えられることが決め手になってテスラーが勝ち交流輸送になりました。
当時は消費地から離れた水力発電が主流でしたから、輸送中のエネルギー損失をできるだけ小さくすることが課題でした。電圧=電流×抵抗値ですから電力=電圧×電流=電流の二乗×抵抗値に置き換えられ送電線で輸送中の損失電力は電流を下げることで大きく下がることになります。それ故に一定の電力を送るためには電流を下げた分の電圧を上げる必要があり、変圧器が必要不可欠になります。
 
そのあと乾電池には様々な大きさがあるが、どれも同じ電圧なのはどうしてかとの質問があり、出せる電流が違うので大きいほど長持ちすると講師が回答していました。当日のアンケート用紙には次のような意見が書かれていました。
難しくて解らなかった。
電気のことは一度は習ったことがあるはずだが、難しかった。
わかりやすく解説して頂き、電気の仕組みが少しづつわかって来ました。




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