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主催講座12「AIって何だろう?どう役に立つの?」第2回「自治体におけるAIの導入と活用について」

2025/12/22


12月16日主催講座12「AIって何だろう?どう役に立つの?」第2回「自治体におけるAIの導入と活用について」を石狩市花川北コミュニティセンターで開催しました。受講者は44人でした。講師は、石狩市総務部DX推進課長の菅原太樹さん。市役所でAIをどのように有効利用しているのか、実際に生成AIで何ができるのか等、実演で解説してくれました。
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1.なぜ今、市役所にAIが必要?
① 人手不足
現在、北海道を含む全国の自治体や企業が直面している最大の課題は人手不足です 。統計によれば、2040年には北海道の労働人口が現在より25%も減少すると予測されており、4人に1人の働く人がいなくなる計算になります 。役所においても職員が減っていくことは避けられませんが、一方で除雪、介護、防災といった行政サービスへのニーズが減ることはありません 。
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② 隙間を埋めるのがAI
職員が減り、仕事量が変わらない(あるいは増える)という状況で生まれる「ギャップ」を埋めるための強力なサポート役がAIです 。人間が減ってしまう隙間に対してAIを充てることで、行政サービスの質を低下させることなく、むしろ向上させて市民の暮らしを守っていくことが目的です 。
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③ もし、AIを使わなかったら?
AIを活用した効率化が進まなければ、人手不足のしわ寄せはそのまま市民へのサービス低下に繋がります 。窓口や電話で長時間待たせることになったり、仕事の質を維持することが困難になります 。石狩市はまだ札幌に近いですが、道内の小さな町村ではすでにこの人手不足は切実な問題となっています 。
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④ AIの正体=超優秀な新人くん
市役所内では、AIを「超優秀な新人くん」に例えて説明しています 。
圧倒的なスピード: 人間が2〜3日かかる調べ物を1秒で終わらせます 。
高い能力: 司法試験に合格するほどの知識を持ち、24時間働いてくれます 。
注意点: 新人なので、うっかり間違った回答(ハルシネーション)をすることもあります。そのため、最終的には人間がチェックして指示を出すという役割分担が重要です 。
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⑤ ロボットではありません
AIは鉄腕アトムやペッパーくんのような物理的なロボットではなく、パソコンやスマートフォンの中で動く**「姿が見えない賢いプログラム」**です 。

⑥ 得意なことを分担します
石狩市が目指すのは、人間とAIの適切な役割分担です 。
AI: 計算、下書き、データ整理など、時間がかかる面倒な作業を担当します 。
職員: AIの成果物をチェックし、責任を伴う判断や、AIにはできない「人との対話」「市民に寄り添うこと」に時間を割きます 。
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2.石狩市での活躍を見てみよう
石狩市役所では、主に以下の3つの現場(事例①~③)でAIの導入・活用が進んでいます。
事例①:議会答弁の準備は大変 ⇒ AIが瞬時に「下書き」
議会では議員からの質問に対し、過去の答弁との整合性を取るために何十年分もの記録を遡って調べる必要があります 。
これまでの苦労: 限られた時間(約1週間)の中で、膨大なデータを手作業で探し、文章を組み立てていました 。
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AIの効果: 過去の答弁記録を学習させたAIに質問を入力すると、わずか20〜30秒で、過去の議論の経緯や根拠(○年○月の議会回答など)を引用した「答弁の叩き台」を作成します 。
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事例②:耳と肩が限界 ⇒ AIが瞬時に「文字起こし」
会議の内容を記録する議事録作成も、大きな負担となっていました。
これまでの苦労: 1時間の会議を文字に起こすには、その4〜5倍(4〜5時間)の時間がかかると言われています 。
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AIの効果: 音声をリアルタイムで認識し、自動でテキスト化します 。さらに、句読点の挿入や改行、要点のまとめ(サマリー作成)もAIが行うため、職員は本来の重要な業務に集中できるようになります 。
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事例③:バスのルートをパズルで解く
石狩市で運行しているオンデマンド交通(いつ(も)バス)の裏側でもAIが動いています 。
AIの役割: 予約が入るたびに乗降場所が変わるため、どのルートで回るのが最も効率的かをAIが瞬時に計算します 。
メリット: 利用者は待ち時間が短くなり、運転手もルート判断に迷わずに済みます。同様の技術は、札幌市などの除雪車の最適ルート計算にも活用されています 。
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3.実演(魔法の道具を使ってみよう)
講演では、GoogleのAIアプリ**「Gemini(ジェミニ)」**を使った実演が行われました。
① 孫への誕生日カード
AIは「察する」ことが苦手なため、具体的かつ詳細な指示を出すのがコツです 。
実演内容: 「5歳の孫(男の子)のために、子猫が出てくるアニメ風の誕生日イラストを描いて」と指示すると、オリジナルの画像が生成されました 。
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② 音声入力
キーボードで文字を打たなくても、マイクに向かって喋るだけでAIが言葉を理解し、正確に文字に変換します 。
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③ 絵だけじゃない!文章も得意
献立の相談(冷蔵庫の残り物からメニュー提案)、旅行プランの作成、町内会の回覧板作成など、身近なコンシェルジュのように活用できます 。
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4.AIと仲良く付き合うために
便利で強力なAIですが、利用にあたって守るべきルールがあります。
① AIには「内緒話」を教えない
AIに入力した情報は、AIの学習に使われる可能性があるため、機密情報の扱いに注意が必要です 。
教えないこと: パスワード、住所、氏名、特定の個人が判別できる情報などは入力しないでください 。
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② AI防犯クイズ
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最近ではAIを悪用した「新しいオレオレ詐欺」も出現しています 。
声の偽造: わずか数秒の音声データがあれば、本人の声そっくりの音声を生成できる時代です 。
対策: 電話越しに聞こえる声が本物そっくりであっても、AIで作られたものである可能性を疑う必要があります 。技術を正しく理解し、楽しみながらもリスクを避けて活用していくことが大切です 。

菅原さんは、「生成AIは不正確な情報を表示することがあるため、生成された回答を再確認するようにしてください」という言葉で締めくくりました。
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最後に、受講者の感想を紹介します。
「AIの具体的利用方法が実演の紹介であったので、分かりやすかったです。急速な進歩に人間の方が追いつかないのではないかということと、AIに頼り過ぎてしまわないか心配な面もあります」「AIを活用している具体例を説明していただいたこと、実演もしていただいたこと、ここまで発展した現在にびっくりしています。と同時に、己の人格を磨くこと、人としての心の成長の大切さを感じたところであります」「市役所でのAIの必要性と使われている実情がよく分かった。また、実演も大変面白かった。非常に分かりやすい話だった」
「AIの進化はすごい速さで進んでいること、日常生活の中で無意識のうちに活用されつつあることが分かりました。大変便利だけれど、使い方を間違うと大変なことになるとも考えられる。大変参考になりました」「とても役に立つお話しでした。AIを便利なツールとして、うまく利用してえいきたいと思います。犯罪やプライバシーに関して他人からの入力など、利用の法的な網も必要だと思いました」「何回も聞くうちに、AIの事が少し解ってきました。機器が常にグレードUPしているので、私の頭の中も一歩ずつグレードUPしていきたいです」「AIに知らせないNGクイズがよかった。プリント枚数多すぎる。綴じ方に一考、見やすいように」「大変楽しい講座でした。AIの進化のスピードに日々驚かされます。役に立つことはもちろんですが、その裏(?)に出現する害の面があると思います。使い方の注意点など知る必要がありますね」「色々な例を紹介していただき、とても面白かったです」「楽しかった」
「とても解りやすくてためになりました」「議事録など有効とわかったけれど、人間のチェック能力をどう高められるか」「AIはどんどん進化している。そのうちに人間を超える様になるのだろうか。講義の中で親方(人間)が、出来上がった物(例えば文章)を最終チェックするとの話がありましたが、人間はAI以上の知識を必要としていることになる。果たして?」
「本日は、高齢者に向けてゆっくりの説明で、難解な用語や専門用語の使用を避けた気配りに感謝です。全く使う気はなかったが、毎日iPad、PCは常時使っているのでやってみたい。実に利用価値があると思いました。ありがとうございました」「AIについて再度講座で勉強したい。非常に興味が大になった」「AIって、使い方がわかるととても便利な物である事がわかりました。使うのが人間ですので勉強も必要ですね。とてもわかりやすかったです」
「AIの様々な活用を知ることができ大変勉強になりました。蛇足ながら、高市総理も過去の答弁をきちんと調べていれば、日中関係もこんなことにならなかったろうなと思います」「今回の講座で身近なものになってきていると実感しました」「未来へのAIの恐怖を感じた」

以上





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