11月19日(水)、まちの先生企画講座5「石狩市の花・木・鳥」の第3回「石狩市の鳥『カモメ』は何種類?」を石狩市民図書館視聴覚室で開催しました。講師は、NACS-J自然観察指導員の白畠 徹さん、受講者は20名でした。
白畠さんは、本題のカモメの話の前に、前回質問のあった「ニセアカシア」について解説されました。

◇ニセアカシアとアカシアについて
・ニセアカシアの学名Robinia pseudoacaciaのpseudoacaciaは直訳すると「アカシアに似たもの」。
・明治時代に「北アメリカ産アカシア」として日本に導入されたニセアカシアは、単に「アカシア」と呼ばれることが多かった。
・オーストラリア原産の本来のアカシア属の植物が日本に入った時、ニセアカシアは、pseudoacaciaの部分を直訳して「ニセアカシア」とされた。しかし、すでに「アカシア」の呼び名が一般化していた。
・さらに、ニセアカシアとアカシアの誤認を解消しようと、アカシアが「ミモザアカシア」と呼ばれるようになったが、本来ミモザは、「オジギソウ」のことであり、さらに誤認が起きた。
以下は、カモメについての本日のお話の概要です。
1.カモメの種類
80㎞の海岸線を持つ石狩では1年中カモメの姿を目にすることが出来るが、漁師達は、カモメ(類)のことを親しみを込めて「ゴメ」と呼ぶ。日本で観察例のあるカモメ類は26種類、亜種まで入れると37種類となる。本日は、講師が観察して確認した代表的な8種のカモメを紹介する。

2.カモメ識別の難しさ
・カモメは識別が難しく多くのバードウォッチャーを悩ましてきたが、大きさによって、大型カモメ(オオセグロカモメ)、中型カモメ(ウミネコ)、小型カモメ(ユリカモメ)に区別できる。

・羽の変化の多様さ
カモメのほとんどは、幼鳥から成長になるまで3年~4年かかるが、Ⅰ種類で段階的に最低6回~8回、羽・目・足の色が変わる。羽を例に取ると、1年目幼鳥夏羽⇒1年目冬羽⇒2年目夏羽⇒2年目冬羽⇒3年目夏羽⇒3年目冬羽⇒4年目成鳥夏羽⇒4年目成鳥冬羽と変化する。
・大型カモメの成鳥の背中の色、グレーの濃さは、識別の目安のひとつとなるが、光の加減や観察環境で見え方が変わってしまう。
・セグロカモメとオオセグロカモメの識別が特に難しい。セグロカモメは、繁殖地や渡りの時期などの違う亜種も多く、見分けが難しい個体も多い。

3.石狩湾で観察されるカモメ8種類
・出会う機会が多く分かりやすい種類
オオセグロカモメ、ウミネコ、シロカモメ、カモメ
・出会う機会が少なくマニアックな種類
セグロカモメ、ワシカモメ、ユリカモメ、ミツユビビカモメ
4.石狩で見られるカモメの種類
①オオセグロカモメ 学名:Larus schistisagus 環境省準絶滅危惧(NT) 留鳥
カムチャッカ~サハリン~千島列島、北朝鮮沿岸などアジア極東沿岸。日本では主に北海道で繁殖。
大型カモメでは唯一日本で繁殖。海岸のやや高い場所の草むらや建物屋上などに巣を作る。石狩湾では一年中見られるが、世界的に見れば生息範囲は狭く希少。
大型で虹彩は薄い褐色、アイリングは赤。嘴は黄色で下部に赤い点がある。脚はピンク色で背中のグレー色はカモメ類で最も濃い。夏羽の頭から胸にかけての白い羽は9月頃から少しずつマダラ模様になり冬羽に変化する。11月頃は目の周りが暗色となって怖い顔となる。2月にはまた真っ白に戻る。

②ウミネコ 学名:Larus crassirostris 留鳥
ロシア南東部、中国大陸東部、台湾、日本、朝鮮半島など日本周辺の海岸や離島に集団で繁殖する。
世界的に見れば生息範囲は希少でいくつかの繁殖地で天然記念物に指定されている。石狩湾では一年中見られるが冬季はやや南下して数が減り3月くらいから増える。日本を代表するカモメとして大切に保護されてきたが、近年は増えすぎて困っている状況。
中型のカモメで虹彩はレモンイエロー、アイリングは赤。嘴は黄色で先端部に赤黒赤がある。脚は黄色で背中のグレーはやや濃い中間のグレー(オオセグロカモメより薄くセグロカモメより濃い)。カモメ類の中で唯一尾羽が黒く、飛んでいても判別しやすい。夏羽の頭から胸にかけての白い羽は8月頃から少しずつマダラ模様となり冬羽に変化する。10月頃後頭部はグレーになって瞼の毛が白い。1月にはまた真っ白に戻る。

③シロカモメ 学名:Larus hyperboreus 冬鳥
ユーラシア大陸、北アメリカの北極圏やグリーンランド、アイスランドで繁殖。寒い場所で生息するカモメで越冬のためにやや南下し関東あたりでも冬に目撃され、青森辺の沿岸でも多く見られる。
石狩湾では、冬に数が減るウミネコと入れ替わりで9月下旬から3月末まで大変多く見ることが出来る。
大型で、虹彩はレモンイエロー、アイリングはピンク。嘴は黄色下に赤い点がある。脚はピンク色。
背中のグレーは非常に薄い青みのあるグレー。カモメ類では唯一風切り羽(翼の先)が白い。
石狩湾では9月末から見られる冬鳥なので頭まで白い夏羽を見る機会がほとんどないが、12月頃から白い個体に出会う機会もある。

④カモメ 学名:Larus canus 冬鳥
ユーラシア大陸北部やカナダ西部、アラスカ州など北極圏の広い範囲で繁殖。越冬地は九州以北の海岸。カモメという種名のカモメなのでただカモメと呼ばれる。石狩湾では単独の行動はせず2月に漁港や石狩川河口などに魚群を追って飛来し、大きな群れが突然現れる。4月中旬まで河口付近にとどまり、突然いなくなる。
小型のカモメ。虹彩は濃い褐色でアイリングは赤。嘴は黄色で不明瞭な黒斑がある。脚は黄色。
背中のグレーは中間より薄いグレー(ウミネコより薄い)。石狩湾では2月から見られる冬鳥なので頭まで白い夏羽を見る機会はほとんどないが、4月頃から白い個体も見られる。

⑤セグロカモメ 学名:Larus vegae 冬鳥
ユーラシア大陸北部やカナダ西部、アラスカ州など北極圏の広い広い範囲で繁殖し、数も多い。越冬地は西日本の海岸で、北海道には渡りの途中で魚群を追って滞在。石狩では4月にマイワシの魚群を追って石狩湾新港の防波堤に大群でやってくる。
大型のカモメ。虹彩は褐色で、アイリングは赤。嘴は黄色で下に赤い点がある。脚はピンク。
背中のグレーは中間より薄いグレー(ウミネコより薄い)。石狩湾では2月から見られる冬鳥なので、頭まで白い夏羽を見る機会はほとんどないが、4月頃から白い個体も見られる。

⑥ワシカモメ 学名:Larus glaucescens 冬鳥
シベリア東部、カムチャッカ半島、アラスカ北西の沿岸で繁殖、アラスカで繁殖したものはカリフォルニアまで南下する。日本ではカムチャッカ半島から南下し東日本まで渡ってくる。
石狩湾では数が少ないが東埠頭漁港で毎年数羽確認している。
大型。多くは虹彩が濃い褐色で薄い個体もいる。アイリングはピンク。嘴は薄い黄色で下に赤い点がある。下嘴が太めでがっしりしている。脚はピンク色。背中のグレーは中間より薄いグレー(シロカモメより濃い)。唯一、風切り羽が背中のグレーと同じ。石狩湾では10月から見られる冬鳥で頭まで白い夏羽を見る機会はほとんどないが、2月頃から白い個体も見られる。

⑦ユリカモメ 学名:Chroicoeephalus ridibundus 日本では冬鳥
ユーラシア大陸北部やイギリス、アイスランドなどで繁殖し、冬は南下しヨーロッパ、アフリカ、インド、東南アジアへ渡り越冬する。北アメリカへ渡るものもいる。日本では冬鳥として、北海道から南西諸島まで広く渡来する。小型のカモメ類の大半が本種である。但し、北海道では厳冬期にはほとんど見られない。全国の海岸や河川、沼地などに普通に渡来し、関東では多く観察できるが、石狩湾では少ない。
小型のカモメ。虹彩とアイリングは黒で目の周りはシロ。脚と嘴は赤色。夏羽は頭部が黒褐色。冬羽は頭部が白く、眼の後ろに黒い斑点があるのが特徴。

⑧ミツユビカモメ 学名:Rissa tridactyla 冬鳥
北アメリカ大陸やユーラシア大陸、グリーンランドの海岸部で繁殖し、冬季になると北大西洋や北太平洋、北極海で越冬する。日本では冬季に越冬のために北日本に冬鳥として飛来。外洋性のカモメで外海、沿岸で大きな群れを作る。石狩川河口に2月頃カモメと混群となって多く飛来する。
小型のカモメで虹彩は黒。脚は黒く短く、後趾が退化し3本指に見える。嘴は黄色。夏羽は頭部が真っ白になる。冬羽は目の後ろに黒斑があり頭部に繋がる。

8種類のカモメの話の後は、大群で飛来するカモメの姿や石狩川のワカサギ漁、おいしくて鳥たちが狙うイトヨやこれもカモメに狙われるイワシなど様々な話を聞かせてもらいました。




以上で本日のお話は終了しましたが、カモメについての大変詳しいお話でした。受講者の皆さんは石狩で8種類ものカモメが見られると聞いてびっくりされていました。白畠さん、ありがとうございました。
最後に受講者から寄せられたコメントをご紹介します。
「石狩では常に目にする"カモメ"初めて認識することの多さにびっくりカモメ、と楽しく学べました。ありがとうございました。白畠さんの講座、動画映像の美しさ、解説の分かりやすさ、研究の深さ、確かさを実感できました」
「それぞれのカモメの特徴がよくわかった。有難うございました」
「図鑑では味わえない多くの動画が素晴らしかったです」
「カモメとゴメが違う鳥だと思っていましたら総称だったのですね。解ってよかったです。ありがとうございました」
「カモメってこんなに種類があったのかと思いました。ユリカモメは東京のお話かと思っていましたがびっくり。トゲウオがおいしい魚と勉強しました。海に行って見分けたいです。とても楽しい時間でした」