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主催講座11「LGBTQへの理解を深める」

第1回「男女だけでは語れない多様な性~LGBTQとは何か?~」

2022/10/14

 10月10日(月)、主催講座11「LGBTQへの理解を深める」の第1回「男女だけでは語れない多様な性~LGBTQとは何か?~」を石狩市花川北コミュニティセンターで行いました。講師は、NPO法人 北海道レインボー・リソースセンターL-Port代表理事 中谷 衣里さん、受講者は21名でした。

 中谷さんは、先ず自己紹介から始められました。
「私は、18歳まで旭川に住み、それ以後は2年くらい東京に居た他は札幌に住んでいます。
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現在は、仕事の傍ら休日にLGBTと云われる人たちへの支援活動を行っています。NPO法人北海道レインボー・リソースセンターL-Portの代表理事を務めており、23歳以下のLGBTやそうかもしれない人の居場所「にじーず札幌」のスタッフです。また、『結婚の自由をすべての人に』北海道訴訟の原告となっています(2021年3月札幌地裁は《国が同性間の結婚を認めないのは平等を原則とする憲法に違反する》との判決を出した)」

 本日のお話は、以下の様なテーマで進められました。
1.NPO法人L-Portの紹介
2.ウォーミングアップアンケート
3.私たちの性を考える
4.LGBTQ+とは
5.共生社会実現のために
6.質疑応答

1.NPO法人北海道レインボー・リソースセンターL-Portの紹介
2012年3月設立。札幌で活動するLGBTの支援団体。現在主に3つの柱の事業を行っている。
①居場所つくり事業
少人数型居場所「にじいろ談話室」の運営。
月1回の会合。集まってお互いに話をしたり読書をしたり全国の関連パンフレットを持ち帰ったりする活動。
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②啓発事業
月2回程度、高校、大学などで出張授業を行っており、教育委員会でも話をしている。学校関係では、生徒さん向け、先生向け、PTA向けなどの場合がある。また本日のいしかり市民カレッジでの話もこの活動の一環。
画像の左側は、講座の様子。右は、講座の様子のテレビ取材。
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③相談事業
にじいろtalk-talkの運営。
ラインを使って性の在り方に悩んでいる全国の人から相談(無料)を受け付けている。
「自分の性別が分からない」「同じ性別の子を好きになった自分って変?」「誰にも恋愛感情を抱かないのは問題?」等など。       
相談実績(2018年~) 1,000件以上
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2.ウォーミングアップアンケート
「本日の受講者の皆さんがどんな思い、どんな考えで来て下さったのかを知るためのアンケートを取らせて頂きたいと思います。ふたつお聞きします」と中谷さん。
◇一つ目の質問
LGBTを知っていますか?
用意された4つの答えの中から選択して挙手で答えました。
・知らない、今日初めて聞いた 0人  
・言葉を聞いたことがある   4人
・言葉の意味を知っている    8人
・言葉の意味を説明できる    3人
まったく知らない方はいませんでした。
◇二つ目の質問
・LGBTはどんな人ですか?
・LGBTはどこで何をしている人ですか?
・実在するLGBTに会ったことはありますか?
この3 つの質問に、配られた用紙に90秒で記入して答えました。
皆さんが書いた答えをホワイトボードにまとめると、こんな回答がありました。
・どんな人ですか?
わからない。男の子 中学生。定義できない。ふつうの人。
・何をしている人?
不明。決められない。普通にくらしている。
・会ったことはありますか?
ない。わからないので答えられない。高校の友達。会ったことがない。
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この回答に対して中谷さんは「これと同じアンケートをアメリカで取ると、例えば近所のカフェの店員さんとかピアノの先生とか私のお姉さんなど顔や名前が思い浮かぶ身近なあの人が出てきます。これは、LGBTの人が社会の中であたりまえに暮らしていて見える存在になっていることを意味しているのではないでしょうか」
一方、日本では、今日の答えのように会ったことがないので分からない、とかテレビに出てくる人とかファッション業界の人などイメージで答える人が多い。
中谷さんは同性のパートナーと15年お付き合いをされているそうですが、「今日の時間を通して、皆さまにはLGBTの事を身近な誰かの話として考えて頂きたいのです」と訴えられました。
 調査によると50代以上の人は、LGBTを受け入れられない人が多い。これは、これまでの社会の取り扱いに起因している。
30年前までのLGBTへの社会の取り扱いは、
・文部省(当時)では、1994年まで、同性愛=「性非行」とされていた。同性愛は、青少年に悪影響を及ぼすとの見解。
・WHOでは、1990年まで、同性愛=精神病とされていた。
・またWHOで、2019年まで、性同一性障害=精神障害とされてきた。
日本でLGBTと云う言葉が使われるようになったのは、10年前くらい前からのこと。
また、メディアでは、LGBTの人を笑い者にし、差別的に扱ってもよいものとされてきた。

3.私たちの性を考える
あなたの性は何ですかと聞かれたらどう答える?
考えたこともない、男か女しかない、と答える人も多いかもしれない。
「性」と云う漢字は、立心偏に生きると書く。2字熟語には感性、性格、個性、本性などがあり、性は男か女かだけではなく、生き方や在り方の事ではないか。
・性を構成する4要素⇒セクシュアリティ
セクシュアリティ(性の在り方)は、性別、性自認、性表現、性的指向の4つの要素の組み合わせで決まる。
・性別(割り当てられる性、体の性)
生物学的な性。戸籍に反映される。ある一定の割合で生物学的性が判断しにくい場合がある。
・性自認(自分が自分の性をどう考えているか。心の性)
性別と性自認が一致していない人をトランスジェンダーと云う(LGBTのTに当たる人)。
性別と性自認が一致している人は、シスジェンダー。
・性表現
服装、髪型、化粧の仕方、言葉使いなど
・性的指向
性的指向が同性に向くひとをホモセクシュアル(同性愛者)と云い、男性の場合はゲイ、女性の場合はレスビアン。また、性的指向が異性に向く人をヘテロセクシュアル(異性愛者)と云う。
・セクシュアリティは人それぞれ
では、あなた自身のセクシュアリティをどう説明しますか?
ヘテロセクシュアルの人が自分のセクシュアリティを聞かれて普通、と答えることがあるが、それは本当に普通のことなのか?他の立場の人から見れば、普通ではないことがあることを考えて欲しい。

4.LGBTQ+とは
L・・レスビアン(女性として女性に惹かれる人)
G・・ゲイ(男性として男性に惹かれる人)
B・・バイセクシュアル(男性にも女性にも惹かれる人)
T・・トランスジェンダー(生まれた時の性別と自分で認識している性別が異なる人)
Q・・クエスチョニング(好きになる性や自分で思う自分の性が決まっていない人)
◇さらに、LGBTQだけではない多様な性がある。
Xジェンダー・・性別を決めたくない人。中性でありたい人。
Aセクシャル・・他者に恋愛感情・性的欲求を抱かない人。
クィア・・典型的な性別や性表現ではないと感じている人。
ロマンティック・・精神的に人への好意を抱く人。
その他多数のセクシュアリティがある。
◇LGBTQ+以外によく使われる言葉
LGBTQIA
LGBTs
セクシュアルマイノリティ(⇔セクシュアルマジョリティ)
◇LGBTの人口比率
・電通総研(2015年) 7.6%
・博報堂DYグループ(2016年) 5.9%
・連合LGBTに関する職場の意識調査(2016年) 4.9%
など、13人に1人がLGBTと云うデータがあり、これはAB型の人、左利きの人、日本の4大名字(佐藤、田中、鈴木、高橋)を持つ人の比率と同じ。
日本の4大名字の人に会ったことはない、と云う人はいないはず。では、何故同じ比率のLGBTの人に会ったことがないと言う人が多いのか?
それは、LGBTの当事者が、差別、偏見、誤った情報、嫌悪、幼少からの刷り込みなどが壁となって当事者であることをカミングアウトできないでいるから。
・LGBTQ+が視えなくなる悪循環
セクシュアルマジョリティの人々は、「自分の周りにはLGBTQ+はいないだろう」と思いがちで、ついLGBTQ+の人が聞いたら傷つくことを言ってしまう、つい周りの皆が自分と同じセクシュアリティだと思って、そのように扱ってしまうなど、セクシュアルマジョリティが当たり前の雰囲気の中でLGBTQ+の当事者は益々カミングアウトできなくなってしまう悪循環が生まれる。

5.共生社会実現のために
中谷さんが言われるには「私が今日ここにお邪魔したのは、様々な少数派のLGBTQ+の人がいる一方、多数派のセクシュアルマジョリティの人がいると云うような分断された構造について伝えに来たわけではありません。あるいはあるセクシュアリティの人だけを優遇してくださいと言うのでもありません。社会の中には多様なセクシュアリティの人がいて、誰もがその多様なセクシュアリティの中の一人であると云うことをお伝えしに来たのです。一人一人が異なるセクシュアリティを持ち、それぞれが自分らしさを自由に発揮できる社会(インクルージョンされた社会)、多様なセクシュアリティを持つ人たちが包摂された社会にもっと近づいていくことが出来ればと願っています」
◇インクルージョンされた社会を実現するためにピッタリの考え方
SOGIと云う考え方
・全ての人が持っている「SOGI」
Sexual Orientation 性的指向 どんな性別の人に惹かれるか/惹かれないか
Gender Identity 性自認 自分自身の性別は何だと考えているか 
「SOGI」は、LGBTなどセクシュアルマイノリティ(性的少数派)とセクシュアルマジョリティ(性的多数派)両方を含んだ言葉。
・LGBTQ+アライ(ally)
語源:alliance(同盟、連携)
LGBTQ+の困りごとや社会課題を自分のこととして捉え、当事者と共に課題解決に取り組める人のこと。
誰もが安心してくらせる社会づくりを共に担える人。セクシュアリティの違いを互いに尊重できる人。
・アライと対極で使わない方が良い言葉
「ホモ」「レズ」「オカマ」「ニューハーフ」「普通」「男(女)だから~」「女(男)らしく~」「性転換手術(今は性別適合手術と云う言葉が使われる)」等
・気を付けるべき言動
相手の服装や体で性別を判断して決めつけて話すこと。
男らしさ、女らしさの押し付け。
君付け、ちゃん付け。
異性愛を前提とした話題。
誰もが恋愛に興味があることを前提とした話題。
・LGBTQ+アライに近づく為に実践したいこと。
知る:当事者の置かれている現状を知る、見る、聞く。
変わる:言動。認識。
表明する:話題にして共有する。表現する。
中谷さんはお話の最後に「本日の話を聞いて皆さまが感じた事、知った事をぜひ周りの人に話して頂きたいと思います。そうして頂くことで、LGBTQ+の当事者のことが見える化される社会になっていくと思っています。よろしくお願いします」と結ばれました。
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6.質疑応答
Q.昔ながらの家族観を強く持つ政治団体があるが、そういう団体や政治家へはどう対処しているのか?
A.そのような団体があるのは事実。それに対するアピールも行ってはいるが、現状転換はなかなか難しい。
Q.中学・高校生の頃の性自認は、大人になって変わることがあるか?
A.いくつになっても変わることはあります。
Q.中高生のカミングアウトについてどのように考えるべきか、親はどう接したら良いか?
A.当事者がどうしてカミングアウトしたいのか、周りに理解力があるか、等状況を考える。カミングアウト後に事態が悪化した時に逃げ込める場所を用意しておく必要もあります。当事者の親が悩んで周りに相談した時、先ずは受け止めてあげることが必要です。
Q.使わない方が良い言葉には、どんな言い換えができますか?
A.「ホモ」はゲイ、「レズ」はレスビアン、「おかま」「ニューハーフ」はトランスジェンダー等です。

以上で本日の講座は終了しました。
中谷さんは、ハギレの良い話し振りでご自分の事も含めておそらく皆さんがこれまであまり触れてこなかったテーマについて大変分かりやすく話して下さったので、受講者は講座タイトルにあるようにLGBTQ+に対してかなり理解を深めることができたのではないでしょうか。

最後に受講者のコメントを紹介します。
「大変聞きやすく、理解しやすい講座でした。知らない事が多かったので自分の性に違和感を持っている人が生きやすく人格的にも尊重される社会になれるようにと思っています。私達の周りには様々なセクシュアリティの人が確かにいることをまず理解し『特殊な人』と差別しない共生社会を目指したいです」
「マクロでは賛成だが、ミクロでは理解できない自分がいる。近くにその様な人はいないように見えるが、より近くにその様な態度を示す人がいれば気持ち悪くなってしまう」
「多様性容認の大切さを認識する機会を得て大変良かったです。講師の開けっぴろげの紹介を聞き、よりLGBTへの理解を深める一歩になりました」
「講師の方の話がとても聞きやすく分かり易かった。次回も楽しみにしています」
「講師のお話を理解しなければと思い、理解したつもりではありますが、すんなり現実として受け入れるには少々まだ研修が必要なようです」
「外形ではなく心の問題として性の多様性を理解しアライに努力したい。余談⇒政治家の頭の切り替えも必要ですね」
「LGBTQ当事者の生の声、お話が聞けて大変参考になりました」
「とても分かり易い話し方、内容であった。自分自身もっとLGBTQに関心をもたなくちゃ、と思う」
 





















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