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主催講座9「北海道の森林・林業・木材産業の歴史と現状」

第2回「北海道の森林・林業・木材産業の現状と未来に向けた取り組み」

2022/09/24

   9月7日(水)主催講座9「北海道の森林・林業・木材産業の歴史と現状」の第2回「北海道の森林・林業・木材産業の現状と未来に向けた取り組み」を開催しました。講師は北海道水産林務部総務課 林務企画係 係長 勢籏(せばた) 博貴さん。受講者は29名でした。
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以下は講演の概要です。
1.北海道森林づくり条例
 北海道の森林は我が国の森林面積のおよそ四分の一を占める。道は豊かな森林を守り育て次代に引き継ぐため、全国に先がけ平成14年に「北海道森林づくり条例」を制定。
 戦後植林された人工林の多くが利用期を迎え、道産木材の供給量向上が見込まれる中、林業・木材産業への期待が高まり、企業やNPOなどを含めた多様な主体による木育活動も広まりつつあった状況から、平成28年には「森林資源の循環利用の推進」と「木育の推進」を柱に条例を改正した。
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 農業や漁業などとは異なり結果が出るまで50年100年の取り組みが必要となる森林づくりのため、道は条例に基づき「北海道森林づくり基本計画」を策定し、施策の推進に当たっている。
 林業・木材産業の特徴として、植えて→育てて→伐って→使って→また植える、といった循環をさせていくことが重要であり、①植林②下草刈り③伐採(間伐、主伐)④運材⑤木材加工などのサイクルにより資源の循環利用が可能となる。伐採などにあたっては高性能な各種林業機械が導入されている。
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2.北海道の森林・林業・木材産業の現状
《北海道の森林》
①全国と比較し天然林が多く、国や道・市町村の公的機関の所有割合が高い。また人工林の蓄積が増加し利用期を迎えている。
②針葉樹人工林のうちカラマツやトドマツの多くが利用期を迎えている。
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《北海道の林業》
①平成14年から国・道有林の伐採量を私有林が上回り、最近5カ年間でみると人工林での伐採が9割を占める。
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②植林でみれば戦後、昭和40年代までは民有林でカラマツを主に植林、その後昭和50年代は国・道有林主体にトドマツを植林、平成10年以降は私有林等でのカラマツ主体の再造林と推移。
③林業の労働者数は4千人程度で横ばい。造林の分野では減少傾向。人工林の資源充実により伐採や植林などが増加する見込みであり造林の分野に従事する人材確保が課題。
④林業の労働災害発生件数は減少傾向にあるが、死傷年千人率は全産業平均の5倍となっており高い。
《北海道の木材産業》
①道産木材自給率は木材価格の低迷で減少傾向にあったが、平成12年以降は上昇し、現在は66%。
②道産木材の利用樹種は主にカラマツとトドマツで、カラマツは8割が梱包材等の産業用資材。トドマツの用途の6割は建築材で羽柄材(構造材を補う材料)が主体。
③道内の新設建築物の木造化の状況は、中高層建築物等は非木造が主流。マンション・ホテル等のこれまで木材が使われてこなかった分野での木材需要創出が重要。
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④令和2年度はコロナ感染拡大で道産木材の需要が減退したが、3年度になって輸入材の価格高騰や供給不足が顕在化(ウッドショック)。4年度になってロシア・ウクライナ情勢の影響も加わり丸太・製材等の輸入が減少傾向にある。道産のエゾマツ・トドマツの建築材は、今年になって需要増で出荷量が増加。コロナ前の水準に戻る。ただ、需要増に充分に応えられておらず、道では国の補助事業や交付金も活用しながら支援している。
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3.未来に向けた林務行政の取り組み
・北海道森林づくり基本計画の見直し ~取り巻く情勢と直面する課題~
①令和3年の道民意識調査で森林に期待される役割として温暖化防止、災害防止等の機能に大きな期待が示された。これを踏まえた公益的機能の発揮に配慮した森林づくりに向けた取り組みが必要。
②人工林資源が増加し、天然林資源も回復傾向にあり中長期的視点での維持管理・育成が必要。
③カラマツ・トドマツを主体に人工林の高齢期資源の有効活用と森林の若返り・木材利用の一体的推進が必要。
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④利用量が横ばいである製材等について、道産建築材の供給力強化や幅広い分野での道産木材の需要拡大が必要。
⑤植林など造林分野の従事者の減少に対応した人材確保や施業の効率化が必要。
⑥ゼロカーボン・SDGs等、環境保全やCO2排出削減への企業等の関心の高まりに対応するため、木育マイスターや企業などと連携した森林づくりが必要。
<参考>基本計画見直し時の検討ポイント
木材を持続的かつ安定的に供給できる体制構築に向け、次の視点で検討
㋐ICT等を活用した資源情報の把握
㋑造林・育林作業の機械化
㋒川上から川下までの需要と供給のマッチング
㋓森林づくり・木材利用への幅広い理解
・北海道森林づくり基本計画で取り組む基本的な方向
 森林資源の循環利用と木育を一層推進することを基本的な方向とし、課題解決に向けた7つの重点的な取り組みを設定。
・今後20年程度を見通した長期的な数値目標設定
①森林の多面的機能の発揮を目指し、針葉樹と広葉樹が混交した森林への誘導等による育成複層林の増加など(育成単層林 2019年1,402千ha→2041年1,247ha、育成複層林 2019年762千ha→2041年953千ha、天然生林 2019年3,372千ha→2041年3,336千ha)
②道民生活への木材・木製品の定着を目指し、森林づくりに伴い産出され、利用される木材の量 2019年446万㎥→2041年540万㎥
③道民への木育の定着を目指し、木育に取り組んでいる道民の割合  2021年36%→2041年80%
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7つの重点的な取り組み
①ゼロカーボン北海道の実現に向けた活力ある森林づくり
達成すべき指標 植林面積 2019年9,889ha→2031年13,000ha 
②広葉樹資源の育成・有効活用
 達成すべき指標 針広混交林誘導面積 2031年13,000ha
③道産トドマツ建築材の安定供給体制の強化
達成すべき指標 品質・性能の確かな建築材の生産比率 2019年58%→2031年75% 
④森林づくりを担う「人材」の確保
達成すべき指標 新規参入者数 5年間(2016-2020)754人→10年間(2022-2031)1,600人
⑤スマート林業による効率的な施業の推進
 達成すべき指標 林業事業体生産性 2019年9.1㎥/人日→2031年13.0㎥/人日
⑥HOKKAIDO WOODブランドの浸透などによる道産木材の需要拡大
 達成すべき指標 製材等需要の道産木材比 2019年69%→2031年75% 
⑦木育マイスターや企業などによる木育活動の推進
 達成すべき指標 企業等と木育マイスターが連携した木育活動 2019年81回→2031年150回
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まとめ
 時代によって考え方や社会情勢も変化するが、林業は長いスパンでの取り組みが必要であり、「100年先を見据えた森林づくり」を念頭に取り組むことが現在の考え方。
皆さん一人一人の協働も重要であり未来に向けた森林づくりにご協力をお願いしたい。
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《受講者の声》
「前回と今回の講座で国と道の政策・施策を学ぶことが出来、大変参考になりました。ありがとうございました」
「林業についての知識はほとんどありませんでしたが、機械化や省力化で近代化された産業になっていることが分かりました。ただ、他産業と比べて死傷率がとても高いのが気になります。ありがとうございました」
「50年から100年単位で見守る林業の現状と未来に向けた取り組みについて勉強になりました。植樹、育樹、木育等の自発的な活動が大切なことを学びました」





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