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主催講座4「国際データ通信網と北海道」

第3回「フィンランドと北海道」

2022/07/08

 6月28日(火)主催講座4「国際データ通信網と北海道」の第3回「フィンランドと北海道」を開催しました。講師は、北海道大学北極域研究センター助教のユハ サウナワーラさん、受講者は29名でした。
 1回目と2回目はデータ通信についてのお話しでしたが、3回目はフィンランドと日本あるいは北海道との交流についてのお話しでした。
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 以下はお話の概要です。
フィンランドと北海道
1.日本とフィンランドの交流の歴史
1)フィンランド独立以前
①エリク・ラクスマンとその息子アダム・ラクスマン
エリク・ラクスマンは、日本人漂流民の大黒屋光太夫と知り合った。息子のアダムは、ロシア使節(当時フィンランドはロシア領であった)として大黒屋光太夫らの送還と通商交渉の為根室を訪れた。
②ノルデンショルド
北ヨーロッパと東アジアを結ぶ最短航路を開拓。日本にも立ち寄る。
③カール・グスタフ・エミール・マンネルヘイム
軍人で大統領。来日。
④コンニ・シリアクス
フィンランド独立運動家。日露戦争時、諜報活動をしていた日本軍人明石元二郎と共に活動。
2)フィンランド独立、国家承認
①1917年12月6日 フィンランド、ロシアより独立
②パリ講和会議、日本は1919年5月16日にフィンランドを国家承認(事実上の承認)し、外交関係を樹立。
3)1920・1930年代の関係
①グスターフ・ヨーン・ラムステッド
初代駐日公使、言語学者でエスペラントの普及にも努めた。
②1921年、日本在スウェーデン特命全権公使がフィンランド公使を兼任。
③1924年6月、通商航海条約発効。
④1935年、フィンランド日本協会発足。
⑤1936年、公使館開設。
4)1940・1950年代の関係
①1944年、外交関係断絶。
②1952年、ヘルシンキ日本総領事館・在日フィンランド商務館・総領事事務所開設。
③1957年、外交関係再開後、在フィンランド日本公使館・在日フィンランド公使館再開。
※フィンランドと日本の関係には、互いの隣国であるロシア(ソ連)が大きく関わっている。
5)外交・政治的な関係
①1962年、公使館が大使館へ昇格。
②1972年~1973年、租税条約発効、日本フィンランド経済協会発足。
③1977年、フィンランド外務大臣が日本訪問。
④1978年~1981年、文化交流協定締結、航空協定発効。
⑤冷戦が終了、フィンランドはEUに加入したが日本とは変わらず強い結びつき。
6)貿易・通商的な関係
①1900年代初頭から1970年代
在欧仲介業者を通す間接貿易形式から直接あるいは準直接貿易へ。
②貿易品目
フィンランドからは、森林資源を利用した産業製品(パルプや印刷紙)。
日本からは、織物などの既製品、1950年代からカメラや自家用車。
7)文化関係
フィンランドの広報文化外交により、日本でムーミン、マリメッコ(アパレルメーカー名及びその商標)、サンタクロースなどフィンランドブームが起きた。
一方日本は、クールジャパン(日本の魅力を積極的に発信する政策)による漫画やアニメの発信がフィンランドで受け入れられた。
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2.北海道とフィンランドの交流
1)初期―日本のキリスト教幼稚園におけるフィンランドとの交流
ルーテル派キリスト教の伝道が1905年から長野諏訪地方、1907年から東京、1916年から札幌で行われた。宣教師テーネ・ニエミは、1926年~1968年の日本在任中、宣教団の3つの幼稚園(飯田、東京大岡山、札幌)で園長を務めた。このうち大岡山と札幌(1937~1939年)はニエミ自身が創設。特に札幌のめばえ幼稚園の建設と開園には苦労したが、今も日本福音ルーテル札幌教会の横で運営されている。
2)北方圏交流構想と北海道フィンランド協会
①フィンランドと北海道の関係は、1970年代から発展した。
②1971年、北方圏調査会設立、1978年、北方圏センターに改組
③1973年、フィンランド駐日大使が札幌に名誉領事を置くことを提案。
④1976年、北海道フィンランド協会設立。
カンテレ(フィンランドの民族楽器)やモルック(木の棒を投げて木のピンを倒す競技)などの紹介。
3)1990年代後半・2000年代前半
①産業クラスター(企業、大学、研究機関、自治体などが、地理的に集積し、相互の連携・競争を通じて新たな付加価値⦅イノベーション⦆を創出する状態のこと)
・北大*オウル大学
・北海道東海大学*ラップランド大学
・札幌医科大学*ヘルシンキ大学医学部
・北海道教育大学*シベリウスアカデミー
②地方自治体との協力
・自治体交流
㋑壮瞥町*ケミヤルビ市⇒93年友好都市締結
㋺奈井江町*ハウスヤルビ町⇒94年友好都市締結
㋩端野町*オウルンサロ町⇒92年友好協会結成
・自治体が関わる民間交流
㋑名寄市*ロバニエミ市⇒90年代から国際雪像コンクールへ選手相互派遣。
㋺大滝村⇒91年以来スキーマラソン大会を通じて多くのフィンランド自治体と交流。
㋩津別町⇒96年以来北部フィンランドを中心に毎年視察研修団派遣。
4)アイヌとサーミ
※サーミ:ラップランド地方などに住む先住民
アイヌ民族博物館(2018年3月閉館⇒2929年4月ウポポイとして開業)とサーミ博物館は、84年以来姉妹博物館となっている。
5)サウナ交流
①北海道フィンランドウイークスペシャル 2022年5月28日~5月29日
サウナを通してフィンランドの魅力を体験するイベント
②https;//sauna-ikitai.com サウナ検索サイト
③https;//mobile.twitter.com/saunasapporo  サウナの街さっぽろTwitter
6)経済・産業
①観光
2019年12月、フィンエアーが新千歳⇔ヘルシンキ直行便を就航
②林業 
フィンランドでは、大型機械(大型ハーベスター)を使い効率的な林業を行っている。北海道は、日本の中ではフィンランドに近いので参考に出来るかもしれない。
③スタートアップ
フィンランドでは、近年起業が盛んで、支援体制も整っている。
④ICT
Nokia5Gなど

 以上がお話の内容ですが、フィンランドと日本は様々な面で繋がりがある事が良く分かりました。特にサウナやムーミン、サンタクロースは日本にすっかり融け込んでいます。
 
 お話の後、受講者から質問がありました。
①フィンランドは子供の学力が高いが、日本との違いは?
・フィンランドは平等社会⇒学力差が小さい。出来ない子のレベルが高い。
・教育に携わる人材は、高学歴(修士課程まで)の学生が多く、教職養成課程で実践経験を多く積める。
・ただ近年は課題も出てきている。
・数学については日本のレベルが高いようだ。
②フィンランドの宗教や言語はどこの国に近いか?
・宗教⇒ルーテル教(北欧、ドイツ北部)
・言語⇒エストニア語、ハンガリー語に類似
 
 最後に受講者のコメントをご紹介します。
「フィンランドと道内各自治体との交流が多数の市町村であるのは驚いた。サウナ、サンタクロース、ムーミンは誰でも知っている。身近にフィンランドがある」
「北海道の海底ケーブルと北海道を基としたデータセンター構築がおおいに必要な事がわかりましたが、日本政府も積極的に動いて欲しいですね。フィンランドと北海道の交流のセミナーを市民対象に開催して欲しいです」
「ヘルシンキには国際泥炭学会の本部事務所があり北大農学部が会員になっている。私も1980~2010まで個人会員として参加。ヨーロッパの泥炭ツアー、マレーシアの学会に参加した。旅行ではこれまでに2回ヘルシンキ宿泊をしており、白夜を経験している」
「タイムリーな講座だったと思っています。講師の方も大変親しみの持てる適材の方だと感じました。ほとんど知らないフィンランドでしたが少し知る機会になりました。十分理解出来たとは言えませんがデータ通信の話や北方圏とのつながりに興味がわきました」
「フィンランドと日本の外交~交流の歴史が知られて良かった。特定の国を学ぶ機会はあまりないのでその意味でも良い講座でした」












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