9月1日(土)、主催講座8「北朝鮮を考える~現状と今後の展望~」の第1回「北朝鮮の歴史と国民生活の現状」を花川北コミュニティセンターで行いました。講師は、北海道新聞社元ソウル特派員で現在は編集局報道センターに所属される松本創一さん、受講者は47名でした。
松本さんは、2000年に北海道新聞社に入社、2014年から3年間ソウル特派員を務め、現在は本社報道センターに所属されている経歴を紹介された後、お話を始められました。

以下はお話の概要です。
□2018年6月12日米朝会談の背景
北朝鮮―豊かな国になれるか(経済制裁の解除)、普通の国になれるか(戦争状態の終結)
アメリカ―中間選挙を前にして成果が欲しい、核ミサイルの無力化を望む
韓国―進歩政権の存在感を示す、南北統一への夢
□米朝会談の意義
◎朝鮮戦争で休戦状態にある2国が握手し、対話による問題解決することに双方が歩み寄ったこと
◎金正恩の署名文書で「完全な非核化」がうたわれたこと
反面、実現できなかったことは
×核廃棄の「検証」は合意できなかった
×北朝鮮への制裁解除は盛り込まれなかった
×北朝鮮の体制保障への裏付けは薄い
×朝鮮戦争の終結は盛り込まれず
※体制保障と核廃棄に向けての長いプロセスが始まった段階
□日本(韓国)にとっての意義とマイナス面
◎対話している限りは紛争はない
◎対話は当面続くと思われる
※日朝会談を「排除しない」
×非核化の費用は「周辺国」の負担となる
×「ICBM廃棄」が先行、米韓軍事演習縮小は「米国の安全」を重視した結果
×近距離ミサイルについては制限していない
□総括すると
・「会う」ことを第一優先して合意内容があいまい
・制裁解除、非核化プロセスの具体化をめぐる長い交渉がスタートしたところ
・4カ国または6カ国での協議が継続する可能性もある
・9月に予定する南北会談がいっそう重要となる
□北朝鮮の状況
韓国との経済格差が大きくなっており、2017年は経済成長率が大きく落ち込んだ
□写真と動画で見る北朝鮮の人民の暮らし
松本さんが撮影された写真と動画で北朝鮮の様子が紹介されました。
配給制が崩壊し、闇市での取引が中心になっている(豊かさの追求・平等から競争へ)
普通の服装をした子供、闇市の活発さなど庶民が非常に困窮しているようには見えなかった。
中流階級層が出現しつつある。
撮影に関しては、特に制限されることもなかった。




□朝鮮半島の側から考えてみる
・核問題があるのに、なぜ南北は協調路線?
「同じ民族」である。
・韓国、北朝鮮の人たちは日本をどう思っているか?
「反日」ではあるが、日本の立ち位置はどうなのか、敵対ばかりでなく注目している面もある。

以上が本日のお話の概要ですが、北朝鮮のあまり知られない実情が紹介されて、大変参考になりました。また、朝鮮半島の側から考えてみることが必要ではないか、と云う結びは示唆に富むものでした。
最後に受講者から寄せられたコメントの一部をご紹介します。
「今後の北朝鮮にどう対応すべきかを考える上で貴重な情報を頂きました。政治体制が全く違う国が統一する困難さを思うと北朝鮮側の現在の体制保障は無理か?」
「本当に知らない世界でした。もっと貧しい国かと思いました。最後の『イムジン川』の様なおだやかな生活が出来ることを祈っています。次回が楽しみです。韓国では20歳になると2年間軍隊に入らなければならないと聞いていますが?」
「北朝鮮の事を知る機会が少なく、貴重な場であった。北朝鮮の一般の人々の考え&くらしの状況はやはり良くわからないが、分断された民族の悲しさはわかりました」
「私だけかもしれませんが、声が聞こえずにくく残念でした。写真で見る北朝鮮は大きな建物も幅の広い道路もありますが、一般人の生活は何となく一昔前の日本みたいな感じがしました」
「インターネットで判る情報だけではなく、現地で体験した内容、画像を聞き、見る事が出来て大変よかった。※音声をもう少し大きくして頂きたいです」
「新聞やテレビの報道以外の北朝鮮の実情を写真で見られたことは良かった。誰が祖国を分けてしまったのか、現状を前進させるためにどうすれば良いか、ここが聞きたい所であります」