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主催講座11「温泉をもっと知ろう!」

第1回「温泉学入門1」

2017/10/23

10月20日(金)主催講座11「温泉をもっと知ろう!」の第1回「温泉学入門1」を花川北コミュニティセンターで行いました。講師は、北海道立総合研究機構 地質研究所の鈴木 隆広さん、受講者は45名でした。

農業・水産・森林・産業技術・環境地質・建築の6つの研究部門を持つ北海道立総合研究機構の紹介の後お話が始まりました。
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本日のお話の内容は
1)温泉とは何か
2)温泉ができる条件
3)温泉の三要素
4)火山性の温泉と非火山性の温泉
5)北海道の温泉事業(統計情報)
6)温泉を多目的に利用する
です。

1)温泉とは何か
温泉の定義(温泉法第2条第1項)
地中から湧出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く)で、次に掲げる温度または物質を有するものをいう。
①泉源における水温が摂氏25度以上(摂氏25度未満のものは、冷泉または鉱泉と呼ぶ事がある)
②1㎏中、以下の成分のうち、いずれか1つ以上のものを含む
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2)温泉ができる条件
温泉の基になる水、水を温める熱、溜める地層があって温泉はできる。
湯を沸かすやかんに例えると
・コンロの火⇒熱源
・やかん⇒温泉を貯めている地層(貯留層)
・中のお湯⇒温泉
・蛇口⇒補給水
・やかん口⇒亀裂

3)温泉の三要素
温泉は、温度、湧出量、泉質、湧出形態などが、それぞれの源泉で異なるため、全く同じ温泉は無いと言ってよいほどバラエティに富んでいる。これは、温泉のできるための各要素が複雑に組み合わされているため。
温泉ができるためには、温泉を温める熱、温泉の基となる水、温泉に溶けている成分の三要素が必要。
各要素には、それぞれ起源があり、それらが組み合わされて、多種多様の温泉を形成している。
①三要素のうちの熱源
一般的に、温泉は火山の熱で温められたものと考えがちだが、火山の周辺に分布する火山性温泉と、火山とは縁がない平野部に分布する非火山性温泉がある。
火山性温泉の熱源⇒火山地下深部のマグマの熱、マグマから放出された熱水や火山ガスの熱
非火山性温泉の熱源⇒自然の地温増温率による(一般的に、100mに約3℃の割合で地中の温度は高くなるので、理論上、地下1500mの地温は地上より45℃高くなる)
②三要素のうちの水源
温泉の起源となる水は、大きく三種類からなると考えられている。
・大部分は、雨水などの天水が長い時間をかけて地下深部まで浸透した地下水
・地下深部の地層に閉じ込められた太古の海水(化石水)
・マグマや溶岩から派生してできる水(初生水・マグマ水と呼ばれる)
これらの起源については、温泉水中の水素・酸素安定同位体比を測定することで、ある程度は推定できる。
※水の起源を知る有効な手法
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③三要素のうちの成分
温泉には様々な成分が溶けている。
火山周辺⇒地下深部まで浸透した地下水に火山ガスが接触して、火山ガスの成分が溶け込む
火山ガスと接触しない地下深部の温泉水⇒高温高圧のため、周辺の岩石と反応して岩石中の成分が溶け込む
化石海水⇒最初から海水由来の成分が溶けている、またそれが火山ガスや岩石と接触することで変化することもある
※これらの成分起源についても、水素・酸素安定同位体比を測定することで、ある程度、推定できる。
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4)火山性の温泉と非火山性の温泉
①火山性の温泉
火山の地下深部にあるマグマからの熱、マグマから放出された熱水や火山ガスの熱により地下水が温められてできる温泉。
温泉に溶けている成分は、熱水や火山ガスから付加したり、周辺岩石との反応により付加する。
特徴(非火山性との比較)
・温度が比較的高い
・特殊成分を含むことが多い
・自然湧出源泉が周囲にある
②非火山性の温泉
自然の地温増温率による熱により、地下水や化石海水が温められてできる温泉。
自然湧出の温泉は少なく、井戸を掘削して汲み上げているものが多い。塩類泉が多い傾向がある。
特徴(火山性との比較)
・温度が高いものは少ない
・塩類泉(食塩泉・重曹泉)が多い
・自然湧出源泉が周囲にある

5)北海道の温泉事情(統計情報)
温泉に関する統計情報は、環境省が毎年とりまとめている「都道府県温泉利用状況調査」で見ることができる。
https://www.env.go.jp/nature/onsen/data/
・都道府県別温泉利用状況
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北海道は全ての項目でベスト5に入る温泉王国。
・北海道と全国の対比
対比①
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対比②
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4割の未利用源泉を利用することで、色々な事業展開が期待できるが、実態は温度が低かったり、量が少なかったりで利用していないことが多い。
・北海道内の対比(市町村別源泉数)
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源泉が多いのは、赤色(80本以上)で記された函館市、白老町、弟子屈町。
全体で見ると、青色で記された5本未満の源泉を持つ町が多い。
・北海道内の対比(源泉数)
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黒色で記されているのが利用されている所。帯広、弟子屈、苫小牧~室蘭、洞爺湖、ニセコ、札幌周辺、函館周辺など。
・北海道内の対比(地温上昇率)
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緑色で記された所は古い地層で、古い地層が分布している地域は地温の上昇割合が低い。新しい時代(特に活火山周辺)の地層が分布している地域は、地温の上昇率が高く、自然兆候が認められる地域が多い。

6)温泉を多目的に利用する
温泉は浴用以外に熱として直接利用することが可能。
・代表的な地熱や温泉利用
暖房、農業、水産、プール、融雪など
・北海道での農業や水産業での利用
北海道は農業利用の設備容量が最も多い。北海道は、古くから各地で地熱や温泉熱利用が行われている国内でも先進的な地域。
森町濁川地区(施設園芸)、壮瞥町(トマト栽培)、函館市恵山(イチゴ栽培)、弟子屈町(マンゴー栽培)、奥尻町(あわび&ナマコ)など。
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・暖房や融雪での利用
積雪寒冷地(北海道)では非常に有効な利用方法。融雪であれば、浴用利用後の温泉でも十分利用可能。

以上が本日のお話の概要ですが、温泉のことが良く分かるお話でした。
受講者からも多くのコメントが寄せられましたので、その一部をご紹介します。
「温泉は入浴するものと云う考えでおりましたが、農業、水産業、暖房、融雪などこんな多目的に利用されていることを学び大変良かった」
「学生時代がなつかしくなるようなお話でした。面白かった(約50年前か・・!)寝不足だったのでちょっぴりネム気が起こったのも学生時代に近かったか。温泉大好き人間ですのでこのような話は(色々知りたいので)大変興味深いです。次回、3回目と楽しみ、ワクワクしています」
「次回の温泉の成分と効能実体に興味があります。北海道では、なぜ地熱の利用度が低いのか(コスト?)もう少し説明が欲しかった」
「温泉とは?のお話、ありがとうございました。温泉の効能表現に興味があったのですが、かなり分かってきました」
「温泉の定義や条件、三要素などを分かりやすく説明して頂き良く理解できた。化学式などの説明はさすがにチンプンカンプンでしたが、(そう云うものである)との理解レベルにとどまってしまいました」
「化学記号、化学反応は難しいけれど中学生に戻ったようで興味深かった。来週の実験が楽しみです」




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