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講座7 『さっぽろアート散歩』

第1回 「徳川美術館へのいざない~学芸員による見どころ解説~」

2014/07/13

 平成26年7月8日(火)講座7『さっぽろアート散歩』の第1回「徳川美術館展へのいざない~学芸員による見どころ解説~」を花川北コミュニティセンターで行いました。講師は北海道立近代美術館主任学芸員の土岐美由紀さん、受講者は60名でした。道立近代美術館で7月5日(土)から始まった「徳川美術館展」の準備で非常に忙しいなか、土岐講師から見どころなどについて明快で判りやすい解説があった。次週鑑賞に行く受講者にとっては大変貴重な機会でした。
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 今回の展覧会では、徳川美術館が所蔵する尾張徳川家ゆかりの道具類1万数千件の中から国宝4件と重要文化財8件を含む約230件の名品が選ばれ、展示されている。

 まず、展覧会開催に至るまでの苦労など、一般には知り得ない舞台裏について興味ある話しがあった。ひとつの展覧会を開催するために通常は2~3年前から、国際的な展示物を扱う場合は5年以上前から、学芸員が中心となって準備を進めている。事前打合せ、展示物の点検と輸送、展示、公開および返却に至るまで、学芸員にとっては全く気の抜けない作業が続く。今回のように国宝や重要文化財を展示する場合には世界的宝物を扱っていると考え、細心の注意を払って準備している。また、国宝などは文化財保護法の指定物件であり、予め国に公開申請し許可を得る必要がある。そのため、展示ケース内のアンモニアや有機酸などの含有量まで調べ、厳しい検査を受ける。施設・設備などについても細かい調査項目があり、文化庁から許可が下りたのは開催直前であった。築37年の道立近代美術館にとっては厳しい基準である。

 徳川美術館と徳川園の設立は、尾張徳川家19代当主の徳川義親が昭和6年に家屋敷、別邸および庭園のうち33,000㎡を名古屋市に寄付することによって始まった。尾張徳川家の歴代相伝の重宝、いわゆる「大名道具」など1万数千点も財団法人徳川黎明会に寄贈され、昭和10年に開館した。明治維新や大戦を通じて大名家の道具が殆ど散逸してしまった今日、徳川美術館の収蔵品は大名家の家宝や美術品を伝える唯一のまとまった存在であり、大変貴重である。特に、各収蔵品は歴代の所有者や江戸時代の格付けが明らかとなっており、美術的価値だけではなく歴史的価値も加わり、極めて貴重なコレクションと言える。とりわけ、家康が亡くなった後に御三家(尾張、紀州、水戸)に分け与えられた遺品「駿府御分物(すんぷおわけもの)」は大変貴重である。家康の下着まで残されている。
 尾張徳川家は御三家の筆頭であるが、徳川秀忠から尾張徳川家初代の徳川義直(徳川家康の九男)に下された領地状も展示されている。
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 本展覧会では、尾張徳川家の美術品を以下のコーナーに分けて展示している。

「尚 武」 武具関係を展示
◆銀箔置白糸威具足(ぎんぱくおきしろいとおどしぐそく)~尚武のコーナーで最初に来場者を迎えるのがこの具足であり、家康の四男・松平忠吉が用いたものである。鎧兜(甲冑)や頬当、脛当などで全身を覆われている。小札(こざね)という、鉄板を白糸で威した形式が用いられているため柔軟な動きができるようになっている。重さは一般的には15~16kgほどでかつての大鎧に比べれば軽い。小札には銀箔が被せられ、当時は銀箔と白糸が美しく映えて輝いていたのであろう。具足は実用面もさることながら、武将の威力や権力、格式を誇示する効果もあった。
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◆太刀 銘 来孫太郎作(国宝)~駿府御分物の名刀で、徳川家康・徳川義直が所持していた。江戸時代の"研ぎ"を残すため、一切研がずに保存されている。
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◆大名火消の火事装束~供用で、華麗な装束である。
◆家康陣中道具の蒔絵~漆で描いて金粉をふった漆工芸品で、重箱や酒の杯などがある。

「清 雅」 江戸時代の大名が尊び、守り伝えてきた茶道、香道、花道、能楽などの文化を示す美術品を展示
◆一休宗純墨蹟「初祖菩提達磨大師」~禅僧・一休の筆による掛軸。徳川家康、徳川義直所用。
◆書 伝藤原定家筆 小倉色紙「こいすてふ」~家康はこれを手本にして書写していた。
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◆古銅砧形花生 銘 杵のをれ~唐物の茶道具の代表作。模様が一切ついていない古銅の花生けは古くから尊ばれ、江戸時代の格付けでも上級の「名物」とされていた。秀吉から石川貞清を経て家康に伝わった。
◆青磁算木形花生~南宋時代の青磁
◆古備前水差 銘 青海(重要文化財)~侘び茶を広めた武野紹鷗(じょうおう)愛用の茶道具で、「大名物」として格付けされていた。
◆竹の子 文 志野筒茶碗~日本でつくられた陶磁器。志野焼は当初は瀬戸物と思われていたが、ひとりの陶工・荒川豊蔵の努力によって昭和5年に美濃の土でつくられた美濃焼であることが明らかにされた。その発見に関わる名品である。
◆織部筒茶碗 銘 冬枯(重要文化財)~茶人・古田織部の作で、ピカソの抽象画を思わせるような斬新なデザインが特長である。
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◆能面、能装束~この能装束は唐織で、刺繍と見紛うような華やかなしだれ桜と扇が織り出されている。
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◆香道具一式
◆香炉~鶴の羽を外して香を焚くと、口から香の香りが立ちのぼるようになっている。
◆香木 蘭奢待~正倉院伝来の貴重な香木。切り取ることを許されたのは足利義満や織田信長などわずか。尾張徳川家にも伝わっている。

「教 養」 書や絵、楽しむための奥道具類を展示
◆斎宮女御集(部分) 伝 源俊頼筆(重要文化財)~雲母の粉が摺らされた料紙に、平安時代の三十六歌仙の一人である斎宮女御徽子の歌が書かれている。
◆四季花鳥図屏風 伝 狩野探幽筆~幕府のお抱え絵師、狩野派の中興の祖・探幽による屏風
◆厳島・松島図屏風 土佐光起筆(重要文化財)~繊細なやまと絵屏風
◆囲碁盤、将棋盤、スポーツ道具等~大名やお姫様が娯楽に用いた道具類

「至 宝」 国宝を展示
◆源氏物語絵巻(国宝)~平安時代の四大絵巻の代表作で、源氏物語に関する絵の中では最古のもの。徳川美術館でも年1回1週間しか展示されないが、北海道において約2週間初公開されており、非常に貴重である。7/5~7/21期間には「源氏物語絵巻 竹河(一)」、8/5~8/17には「源氏物語絵巻 東屋(一)」が展示される。
 当初巻物であったが巻く時の傷みを防ぐため、約80年前に徳川義親が額装に改装した。この絵巻の特徴は、上空から見下ろすような吹抜屋台の様式で描かれていること、人物がいずれも引目鉤鼻で描かれていることなどである。同じような顔で描かれていることで、かえって鑑賞者の想像力を引き出す効果をあげている。金箔、銀箔を散りばめた美麗な料紙装飾に書かれた優美な詞書も必見である。
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◆初音の調度(国宝)~三代将軍家光の長女千代姫が、数え年3歳で尾張徳川家二代光友に嫁いだ時に持参した婚礼調度。携帯用化粧道具入れの「初音蒔絵旅眉作箱」は千代姫誕生の時にお抱え蒔絵師に命じて2年以上をかけてつくられたもので、1日中見ていても見飽きないことから「日暮らし調度」とも呼ばれている。
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「尾張徳川家と北海道八雲町との深いかかわり」(特別コーナー)
 八雲町の開拓は尾張徳川家17代徳川慶勝によって進められた。八雲の地名をつけたのも慶勝である。北海道の特産品とされている熊の木彫りが、実は19代徳川義親の発案から始まったことも紹介されている。
 
 最後に、徳川美術館と徳川園の紹介DVDを見せていただき、講座は終了しました。受講者の皆さんからも以下のような感想をいただきました。
・大変聞きやすく、わかりやすいお話しでした。実際に見学するのが楽しみです。事前勉強ができる機会があり、充実感があります。すばらしい解説に感動しました。
・判りやすい解説で、来週の鑑賞がわくわくです。これ迄、さり気なく和洋の作品を通過してきた自分を恥ずかしく思いました。次から次へと夢がふくらんでくる1時間半は短い程に!! 有難うございました。
・90分間があっというまに過ぎました。土岐学芸員が大学で教えられていたことを考えると当然のことかもしれませんが、流れるような、それでいて要点をきちんと伝えていただき、15日がとても楽しみです。有難うございました。
・歴史と美術のつながり、大変興味深く、面白かった。美術品に対しての知識が増えました。また機会があれば講演をお願いしたいです。
・徳川家の美術工芸品を保存、保管する文化に感動させられました。日本文化の基礎、平安時代も思い出させる力の持続性、それを守った力と現代が美しくよみがえって参りました。自分なりに楽しみたく思います。




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