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講座7田中實さんが語る「いしかり人物語~歴史を彩った人々」

第2回 飯尾圓什~石狩の荒野で砂地造田に挑む

2010/09/07

 9月7日(火)講座7 田中實さんが語る「いしかり人物語~歴史を彩った人々」の第2回「飯尾圓什~石狩の荒野で砂地造田に挑む」が北コミュニティーセンターで行われました。講師は田中實さんです。

721.JPG 飯尾圓什は能量寺の住職で、昭和22年から34年までの12年間石狩町長を勤めました。大正末期より、砂地で痩せた地帯の電気揚水工事による水田化を主唱指導し率先してその実現に当たりました。昭和3年に十線地区で28町歩の試作に成功(砂地水田の始まり) 町長就任後の12年間で2,000町歩強の開田を実現させました。

 その他にも、海浜学校の開設、石狩海浜の観光施設の起業、産米改良、漁業振興、石狩港の地方港湾指定、道路網整備、役場庁舎新築、小中学校の新改築など町勢振興に尽くしました。

727.JPG 今回の講義は、砂地造田の苦労を実際の映像で現している、樽川地区砂地造田記録映画「砂と闘う」のビデオを見ることから始まりました。

 3年の計画を1年で成し遂げた、水田への農家の強い思い、冬場の工事の大変さなどを良く現して感動を呼ぶ映画でした。

 次に、現市役所の敷地にある本郷新制作「飯尾圓什氏胸像」が紹介されました(制作時のエピソードとして、飯尾氏が亡くなったあとだったので写真を持参して本郷新に依頼したが、彫刻するためには立体像が必要なので、一番良く似ている息子さんにモデルとして東京まで行ってもらった)

 本郷新については、「無辜の民」像を石狩浜に設置する時の裏話も披露されました(設置候補地はその他にもあったが、石狩の浜が好きだった本郷新の強い希望で石狩に決まり、本郷は東京から春香山のアトリエまでの運賃も負担してくれた)

 飯尾圓什に戻って、そもそも飯尾が農民のことを想うようになったのは、父親から、お寺の経営が安定するためには、地域の人たちの暮らしが安定することが必要なのだと、教えられたことからだそうです。

  また、昭和24年に大干ばつに見舞われた生振では、飯尾町長の、稲作転換以外には方途なし、との強い勧めで昭和25年に苦労して502町歩を開田しましたが、これを記念した「開田之碑」も紹介されました(この時は、物資欠乏の時勢で工事者の飯米集めが大変だった)

 昭和30年には、木造改築が決まっていた石狩小学校の設計を飯尾町長の要望で変更して円型鉄筋コンクリート建てとしました(予算の不足分は住民の寄付でまかなわれた)

 それから、当時としては画期的なローカル色豊かな行事である石狩さけまつりを始めたのも飯尾町長だったようです。

723.JPGのサムネール画像 このように飯尾圓什の功績は多大なのですが、反面その積極策が町財政の悪化を招いたのも否めないようです。

 そして、最後に、昭和20年以降の造田熱の背景についてのお話がありました。

 全国的にも食糧増産の要求がある中、石狩では、昭和21年からの連続旱害により大被害を受けたこと、戦中の略奪的農耕で地力が低下したこと、害虫の被害が大きかったこと、畑作物の価格や乳価が下落したことなどがあるとのことでした。

 このような飯尾圓什についての講義は、いつもながらの詳細な資料に加え、様々なエピソードを交えての紹介で、大変分かりやすいお話ぶりでした。

 受講者からも

 「水田(造田)の為に苦労された人々の歩みを知り涙がでました、また大変感動を受けました」

 「先人の苦労が偲ばれた。当時の記録映画も、幼い頃の記憶が思い出され懐かしかった。当時は、人力中心で、馬が重要な働き手であったこと、農家には必ず馬を飼っていたことなども思いだした」

 「60年前の動画が見られ、何度口で説明を受けるより説得力が有った」

 「壮大な計画、想像を絶する苦難に立ち向かったこの映像に圧倒されました。飯尾圓什さんの人となりをエピソードを交えて浮きぼりにされ引き込まれました」

 「苦労して開墾した土地を今のような団地にして何かもったいない気がしました。女優の高橋恵子さんの祖父や父親の苦労とかさなりました」

 「本当に感動致しました。まさか60年も前の石狩開田に関する映画を見せて頂けるとは思ってもいませんでした。このフィルムをよみがえらせて下さった田中氏に感謝するとともに、同時代を共に生きたという田中さんのお話には、心がゆさぶられるものがあります。映画の中の人々の気迫は時代が過ぎた今でも伝わってきますし、田中さんもその中にいられたかと思うと感慨深いものがありました。本郷新のお話など、大変楽しく聞かせて頂き、ありがとうございました」

 「田中さんのお話、今回もまた感動の内容でした。石狩における砂地造田への挑戦の映画も感動的でした。造田に挑戦する石狩農民の苦労の歴史が良く分かりました」

 「『砂と闘う』映画を見て、感動致しました。現在、近郊住宅地として人々は豊かな生活をしていますが、わずか半世紀前にこのような苦労をされながら肥沃な水田地帯に改良していった当時の飯尾町長はじめ農民皆さんに敬意を表したいと思います」

 「最初に上映した砂と闘うを見て、農家に生まれたことの大切さを改めて感じました。飯尾町長の功績の陰で町職員や町民が筆舌に尽くし難い苦労をされたことを知って、心が痛みました。昭和の町史を知る第一人者である田中先生のお話は本当に貴重です」

 「歴史的な事に興味を持っているので、この様な講座は大好きです。古い歴史の石狩ですので、未だまだ色々の歴史的事実があることと思います。どうぞこの講座を続けて後世に(いや若い人達に)伝えてほしいものです」

 などなど、感動したコメントがたくさん寄せられました。

 次回の第3回は、9月21日(火)「浅見 仙作」の紹介です。




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