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講座5北海道の稲作史『稲作日本一への軌跡』

第1回「日本の稲作史・北海道の稲作史」

2010/07/18

  7月17日(土)講座5《プロフェッサーコース》北海道の稲作史『稲作日本一への軌跡』の第1回「日本の稲作史・北海道の稲作史」が市民図書館で行われました。講師は元北海道立十勝農業試験場場長の藤村稔彦さんです。

704.JPG 藤村さんは、稲栽培の起源から始まり、最後は米の成分や味のことで結ぶ8つの項目を順を追ってお話されたので、米が作られるようになり、様々な苦労の末、今に至った北海道の稲作の流れが大変よく分かりました。

 お話の内容を要約すると

 もともと低温には弱い稲を北海道で栽培するには、品種面と栽培技術面の両面からの改良が加えなければならなかった。

 当初、北海道開拓使は畑作・酪農中心の開拓を推進したが、農家の米への執着心は強く、試作が成功する例もあり、明治16(1883)年以降は、稲作推進へと方針変更された。

701.JPG 品種については
はじめは農家が「赤毛」から選抜していたが、明治43(1910)年以降、農業試験場での品種改良が行われ、「富国」「石狩白毛」「新雪」などが稲作安定に寄与した。

 その後、「ユーカラ」「イシカリ」「キタヒカリ」などが育成され、昭和55(1980)年からは、食味を改良することを目標に、優良米早期開発事業が始まり、「ゆきひかり」は流通関係からも好評を得た。1988年の「きらら397」は全国的に脚光を浴び作付も急増した。

 近年は、コシヒカリ、あきたこまち、国宝ローズ(カリフォルニア)などの良食味品種を使った育種で「ななつぼし」「ふっくりんこ」「ほしたろう」などが誕生している。

 また、粘りが強く柔らかで味の良い低アミロース品種の育種も行われて、2005年に「おぼろづき」2008年に「ゆめぴりか」が生まれた。

 栽培技術面では
 当初は水苗代で育苗した苗を移植する東北以南の栽培法が行われた。その後直播栽培が行われるようになり、播種しやすい品種「坊主」の育成や直播器の開発などにより普及したが、雑草の多発に悩まされた。

 1940年頃からは、保護畑苗移植が行われるようになり、播種時期を早めることで稲の生育日数が伸ばせることと出穂が早くなる事により、収量性、安定性が大きく向上した。また、育苗用被覆資材も大幅に改良された。

 1960年代からは田植機が開発された。当初は、植え付け精度の低さや小苗移植の問題などがあり安定性が懸念されたが、労力不足により普及した。しかし、普及率が78%に達した昭和45(1970)年の冷害は田植機が原因として田植機冷害とまで言われた。

 その後、育苗法の改善や田植機性能の向上により、安定性・収量性・品質食味が大幅に向上した。

 また、北海道における水稲栽培では、水管理が重要であり、有効である。

 そして、現在の北海道米の現状は
 平成20年の味の評価では、「ほしのゆめ」「ななつぼし」がAランクとなっており、魚沼産「コシヒカリ」秋田県北産「あきたこまち」の特Aには及ばないが、上越産「コシヒカリ」や秋田中央産「あきたこまち」とは同等評価である。また、ほしのゆめ、ななつぼし以上の食味品種も控えているので、今後有望である。

 栽培面からいえば、1945年以降、道内産の稲の収量は毎年増加し続けている。

713.JPG このような内容のお話の最後の締めくくりとして、藤村さんは、かって40%を切っていた道内での道産米の消費率が現在78%にまで向上したことを示されました。

 専門用語はなるべく避けて話しますと宣言されて続けられた藤村さんのお話に対して

 「北海道の稲作は、土地改良、水の管理、栽培技術の向上など苦労が多かったが、同時に品種改良の努力が実り、今にちのおいしい米作りが出来たことが理解できた」「おいしいお米が出来るまでのご苦労が良くわかりました」「期待していた稲作の歴史や開拓の歴史とは少し違った内容だったが、専門的な話をわかりやすくお話いただいてよかった」「稲の品種改良の流れがわかって良かった」「はじめて知ったことがとても多く、目を見張るものがありました」「講座資料を参考にして米についての知識を高めたいと思います。品種の開発により約8割の人が道産米を食べている事をうれしくおもいます。たくさんの人に北海道の米を食べて欲しいと思います」

 などの声が寄せられました。

 次回の第2回は、8月21日(土)に「農地・水田にするための泥炭地の改良」と題して、元北海道中央農業試験場生産システム部部長の稲津脩さんからお話を聞くことになっています。




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