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主催講座14「考えよう石狩市のエネルギー~再生可能エネルギ―と風力発電~」

第2回「新しいエネルギ―としての風力発電を考える」

2021/01/31

 令和3年1月26日(火)主催講座14「考えよう石狩市のエネルギー〜再生可能エネルギーと風力発電〜」の第2回「新しいエネルギーとしての風力発電を考える」を石狩市花川北コミュニティセンターで行いました。講師はNPO法人 北海道新エネルギー普及促進協会理事長で北海道大学大学院工学研究院環境創生工学部門所属の山形 定さん、受講者は39名でした。 
なお、この講座は受講者提案型講座として企画されたものです。
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 山形さんからは再生可能エネルギーについて分かりやすく、説得性のあるお話をしていただきました。以下にその概要を紹介致します。
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1.新しいエネルギーを考える時代
① 地球のしくみ、生きて行くために必要な食料・エネルギー
・最初に地球のしくみについて考えてみる。鍋が火にかかって熱くなっているが、周りに熱が逃げていって一定温度になっている状態を想定する。地球も同じように、太陽光が当って暑くなるが地表から赤外線で熱を発散するため、ある程度の気温に保たれている。
・地球上の植物に太陽光があたって二酸化炭素の光合成で有機物ができる。有機物を人間などの動物が食べて排泄し、それが土壌の微生物で分解されて二酸化炭素と水、無機物になる。そして、二酸化炭素が再び光合成に使われ、その繰り返しで地球が成り立っている。
・私たち人間が生きて行くために必要なものは食べ物と水、空気(酸素)である。豊かで便利な生活を送るために欠かせないものは電気や燃料などのエネルギーである。それでは、日本の食料とエネルギーの自給率はどのようになっているのか? 1970年以前の食糧自給率は70%以上であったが、現在は約40%に下がっている。エネルギー自給率も1970年代に石炭から石油中心に転換したため10%以下まで下がった。一方、北海道の食糧自給率は200%程度と高いが、エネルギー自給率は20%以下である。
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・地域で暮らして行くために必要なものは、お金ではなく、食糧(Food)、エネルギー(Energy)、そしてケア(Care)(医療・介護=絆)である→「FEC自給圏」(内橋克人「共生経済が始まる〜世界恐慌を生き抜く道」)。
② 化石燃料・核燃料の問題点
・化石燃料の問題点(1)〜化石燃料の石炭は、大昔に植物が地中に埋もれて熱と圧力と長時間をかけて泥炭、亜炭を経て石炭になったものである。石油も同様で、これらは過去の生物遺骸であり、有限でいずれは枯渇する。
・化石燃料の問題点(2)〜化石燃料を燃やすと二酸化炭素(CO)が発生する。現在は大気中のCO濃度が上昇し、異常気象や海面上昇、デング熱媒体蚊などによる感染症蔓延などが起こっている。
・核燃料の問題点〜東京電力福島第一原発過酷事故のような大事故が起こる可能性がある。放射性廃棄物の処理も大きな問題である。
③ 自然エネルギーで作る電力 水車
・化石燃料も核燃料もダメ、それでは何が使えるのか?使えるエネルギーは、自然エネルギーである。例えば、水力発電があるが、「まわる」という文(石川英輔「大江戸リサイクル事情」)に「水車は廻っている。なぜ、廻るのだろう。もちろん、水の流れが水車を廻している。(途中省略)水車は、太陽が廻しているのだ」とある。
・太陽エネルギーは莫大で、人類が使うエネルギーの1万倍程度を供給することができる。太陽は自然エネルギーの大元であり、それを様々な形で利用して我々は豊かな生活を送っている。太陽エネルギーがどのような過程で自然エネルギーとなっているのか、各過程のエネルギー量などを下図に示す。
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・電気は非常に便利であり、快適さを追い求めてあれも、これも電気に変わり、私たちは電力依存症になってしまった。例えば、光について言えば、昔はローソクやランプで灯りを得ていたが、今は白熱灯、蛍光灯、LEDなどに変わっている。情報・通信にしても、以前は人を介し、また本や新聞などから情報を得ていたが、今は無線通信、TV、スマホ、PCなどを使っている。

2.風車とはどのようなものか
① 日本の水車・風車利用〜動力の直接利用から電力へ
・日本では250年もの昔から水車を使って米を搗(つ)いていた。「農家の人が持ってきた玄米を、杵と搗(つ)き臼を使って白米にしました。また、挽き臼を使って小麦をすりつぶし、粉にしました。これらは、おもに農家がうどんなどにして食べるために使いました」(三鷹市の水車「しんぐるま」より)。
・風車については、1900年初頭から長野において、1920年代以降は愛知、茨城、千葉および大阪などにおいて、水田や畑を灌漑するために水をくみ上げるための動力源として使われていた。北海道では昭和4年に山田風車が発明され、当時無灯火の農村漁村に付けられた。
・電灯から始まった電力事業が発展し、水車・風車、人・牛馬による力仕事が電力で行われるようになった。水力発電所でつくられた電力を猪苗代湖から東京までの200kmを送電する技術開発が行われ、5万3500kWの電力を2本の送電線で東京まで直接、送電することに成功した。これで、遠くまでエネルギーを運ぶ方法として電力が使われるようになった。
② FIT(再生可能電力固定価格買い取り制度)による太陽光発電の伸び、風力発電のこれから
・電力はFITと電力自由化という大きな変革の時代を迎えた。福島の原発事故の翌年2012年7月に「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」が制定され、電力会社は一定期間、国が定めた固定価格で再生可能エネルギーによる電力を買取ることが義務化された(下図)。
なお、電力会社が買取る時の負担は「再エネ賦課金」として電気料金の中で我々が支払っている。
・個人住宅用太陽光発電の余剰電力に限定されていた買取制度が他の発電や企業にも拡張され、太陽光発電は大きく伸びた。
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・電力自由化が1990年代から始まった。従来は電力10社による地域独占で安定供給が義務付けられていたが、個人の意思で購入が可能になった。小口電力市場(7兆円)は新規参入者には魅力的で、消費者の意向を反映することができるようになった。現在は電力市場をめぐるせめぎ合いの時代に入っている。
・FITが始まって最も伸びたのは太陽光発電である。北海道では2012年から急激に伸びた(下図)。
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・太陽光発電が伸びて電力の内訳はどうなったのか?5月連休中の晴れた日に北電管内の電力の内訳を調べると下の図のようになる(下図)。12:00〜13:00の時間帯で見ると、太陽光(オレンジ色)や風力(紫色)、水力(水色)などが多くなり、自然エネルギー電力の割合は80.4%に達した。年単位で見ると自然エネルギー電力の割合は約25%であった。
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・北海道の電力需要は最大で519万kW、最低で242万kWである。供給能力としては原子力や火力発電で644万kW、自然エネルギーで609万kWとなっており、自然エネルギーだけで必要な電力を賄える状態になっている。
・北海道の風力発電について年度ごとの発電所出力と発電所数を示したのが下図である。1990年代後半から日本海沿岸を中心に大型風力が設置されるようになったが、2003年のRPS法(電力会社に一定量の自然エネルギー電力利用を義務づけた法律)と2012年の環境影響評価法で伸びが鈍化した。現在は増える傾向にある。
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・洋上風力発電の適地は風が強い北海道と東北に偏在しており、2040年の導入目標は北海道が最も多く、1,465万kWとなっている。北海道から電力を送る送電線の新設も計画されている。風力発電導入ロードマップによれば2050年の陸上風力発電と洋上風力発電(着床式および浮体式)の比率はほぼ1:1となっている。
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・北海道エネルギーチェンジ100(任意団体)が10年前に提唱した電力供給に関する提案によれば、2050年の再生可能エネルギーの割合は100%になっている(下図)。
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③ 電力だけではエネルギー問題は解決しない
・北海道の一次エネルギー供給がどのような組成になっているのかを示したのが下図である。一次エネルギーの中で電力の占める割合はごく一部であり、化石燃料依存の体制は変わっていない。
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・電気だけがエネルギーでないことを示したのが下図である。矢印の線の太さはエネルギー量に比例している。エネルギー量の大きいのは石油であり、飛行機や車などの運輸関係のエネルギーとして使われている。家庭や業務関係でも、電気より石油製品(熱での使用)の方が上回っている。
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3.自然エネルギーをどう進めるか
① 自然エネルギー開発の問題点〜自然破壊、健康被害、地域疲弊
・自然エネルギーであれば何でも良いというわけでは無い。例えば、大型水力発電所はダムを作る際に自然や生態系を壊してしまう。今ではダムを壊してもとの生態系に戻そうとする「ダムネーション」という運動も起こっている。大型風力やメガソーラーも本当に地域のためのエネルギーになっているのか、よく考える必要がある。
・大型風量発電の問題点としては以下のようなものがある。
健康被害〜騒音・低周波による睡眠障害、羽根回転による光のちらつき
自然環境の破壊〜森林・海浜の生態系、生物多様性とバードストライク
景観の劣化〜人によっても、風車の数によっても違う
・「日本野鳥の会」は原発から自然エネルギーへの転換を主張しており、様々な要望書や意見書を提出して成果を上げている。例えば、2014年には根室のフレシマ風力発電計画に対する要望書を提出し、事業者側が計画を中止する結果となった。2020年8月6日には「石狩湾新港の洋上風力発電所建設計画に対する意見書」を提出し、「風車の建設による影響で採食場所の放棄が起きると、鳥類の繁殖や育雛に対して重大な影響を及ぼすことから、計画地に風車を建設すべきではない」と訴えている。
② 住民が自ら地域を知り、開発に関わることが不可欠
・開発によって地域経済が潤い、雇用が生まれるようにすべきである。高橋真樹は「自然エネルギー革命をはじめよう」(大月書店、2012、p30)の中で「秋田では現在、光熱費として年間およそ1,000億円が使われ(秋田名産のお米『あきたこまち』を売って得た収入に相当)、その大部分が県外に流出している。この地域のエネルギーを風車で自給できるようになれば、お金の流れが変わる。地域に雇用が生まれ、燃料代を別のことに使える」と述べている。
・デンマークでは、2000年4月まで、風力発電は地元のエネルギー資源、地元住民の固有の財産と見なしていた。風力発電に投資できる範囲は、投資家の居住する市町村内または隣接する市町村内に設置する風力発電所のみに限定され、風力発電が外部の投資家の単なる投資対象にならないように規制されていた。
・長野県飯田市では「飯田市再生可能エネルギーの導入による持続可能な地域づくりに関する条例」を定め、「飯田市民が主体となって飯田市の区域に存する自然資源を環境共生的な方法により再生可能エネルギーとして利用し、持続可能な地域づくりを進めることを飯田市民の権利とすること及びこの権利を保有するために(以下省略)」と述べている。
・自然エネルギー社会作りに向けた取り組みについては、従来の「地域が単なるエネルギー消費地」から地域が主体性をもった「自然エネルギー利用地域共同体」に変えるべきである。そのためには、地元のことを知る、いわゆる「地元学」が必要になる。
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・「地元学」の道内例として「北檜山風の地図」がある。北檜山クリーンエネルギー研究会がアメダスデータと、570ヶ所を越える移動観測を実施して12月平均風速を示す「風の地図」を作成した。「私たちは『持っている』!資源が無いのではなく、見てないだけ。自然エネルギーを考えることは地域を知ることである」としている。
③ 石狩の「あるもの」探し〜電気自動車?風車で走る路面電車?
・石狩の再生可能エネルギーは石狩湾新港地域に集積している(下図)。風力発電で161MWの量があり、一般海域の風力発電は数百MWの規模があるとされている。再生可能エネルギーは地域資源であり、地域のために活用することが重要である。
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・自分たちで電気を作れば、自分たちで何に使うかも決めることができる。他所に売ってお金にするとか、電気自動車に充電してドライブしたり車のバッテリーに貯めておくこともできる。路面電車を引いて車を減らすようにすることも可能かもしれない。

最後のまとめ
自然エネルギーへの転換は不可避である
・化石燃料・核燃料は持続可能ではない
・自然の営みに沿ったエネルギー源へ
自然エネルギー導入を自分たちで進める必要がある
・地域のエネルギーは地域住民の豊かな暮らしのために!
・地域主体で知恵を出し、自然エネルギーで電力・熱を賄う
・地域の諸問題を、地域の自然エネルギーで解決する

 最後に、受講者の感想や意見のいくつかを以下に紹介します。
・公平な立場でのお話で良かった。
・自然エネルギーは地域の財産、これをどう活用して行くか、地域で考え、実現していくことが大事ということが分かりました。有難うございました。
・自然エネルギーに対する考え方が少し変わってきました。石狩市ももう一度設備の検討をしてみてはどうかな。札幌と石狩を結ぶ交通(路面電車)を早く引いてほしい〜?
・自然エネルギーへの転換の重要性を改めて知りました。石狩市が住宅地、海、川に囲まれた地域であり、今後の工業地帯や住民の増加で繁栄することが期待できる明るい話題を提供してくれた講座でした。風力は問題点もあるが、地元住民を説得できる技術的な解決で実現したいと考える。
・系統立ててエネルギー、電力問題を学ばせてもらいました。私たちの生活に密着している大切な重要なテーマですが日頃はなかなか難しく...ですが、学んでいかなければと思っています。学ぶだけではなく、どう行動して行くか。電力は余る程いらない生活、石狩の風力発電、ソーラー発電の問題を(いき過ぎた、バランスの悪い)近年とても心配しています。
・再生可能エネルギーがもてはやされているが、あやしい。再生可能エネルギーの系譜の研究をお願いしたい。太陽光発電、風力発電(自然を破壊する)、放射能関係、化石燃料系、地熱系(波動重力系は別)等々。研究を進めると植物光合成だけが再生可能なのではないか?技術的に重力系は補助。




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