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主催講座10「日本遺産と炭・鉄・港~日本遺産とは何か~」

2020/10/12

 9月29日(火)、主催講座10「日本遺産と炭・鉄・港~日本遺産とは何か~」を石狩市花川北コミュティセンターで行いました。講師は石狩市教育委員会文化財課課長の工藤義衛さん、受講者は35名でした。
開会のあいさつの中で山田委員から①石狩市民カレッジの運営の在り方についての趣旨を説明②本講座は座学と現地見学会の2回を予定していたが新型コロナ禍によりやむを得ずバスによる研修は中止としたことを説明した後、開講しました。
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 石狩には北前船につながる日本遺産がある。日本遺産とはどんなものか、世界遺産・北海道遺産とある遺産つながりの話をする。
日本遺産とは何かについて以下の項目で話をする。
1.日本遺産の概要
2、世界遺産・北海道遺産
3、文化財保護に対する考え方の変化
4、日本遺産と観光

1.日本遺産の概要
1)全国で83件を認定(2020年6月19日現在)
内訳は北海道4件、東北8件、関東11件、中部17件、近畿24件、四国5件、中国18件、九州・沖縄12件(複数の地域にまたがるので合計は多くなる)
2)北海道の日本遺産
①江差の5月は江戸にもない-ニシンの繁栄が息づく町-
②荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間―北前船寄港地・船主集落-
③カムイと共に生きる上川アイヌ-大雪山のふところに伝承される神々の世界-
④本邦国策を北海道に観よ!-北の産業革命「炭鉄港」-
日本遺産のストーリーには単一の市町村内で完結する「地域型」と複数の市町村にまたがってストーリーが展開する「シリアル(seral・連続したもの)型」がある。
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3)日本遺産とは
日本遺産(Japan Heritage)は地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーとして文化庁が認定するものである。
このストーリーを語る上で欠かせない魅力あふれる有形無形の様々な文化財群を、地域が主体となって総合的に整備・活用し、国内だけでなく海外へも戦略的に発信してくことにより、地域の活性化を図ることを目的としている。(文化庁のHPより)
その特徴をまとめると
①日本遺産とは日本の文化・伝統を語る「ストーリー」である
②そのストーリーは、地域の歴史的魅力や特色にもとづいて作られる
③ストーリーが日本遺産にふさわしいかどうかは文化庁が決定する
となり、その「目的」は地域の活性化である。
その手段として、「有形無形の文化財群を、地域が主体となって整備・活用し、国内外へ発信する」ということが行われる。日本遺産とは何かを改めて言うと「地域活性化の手段」なのである。

2.世界遺産・北海道遺産
次に同じように「遺産」」という言葉を使っている「世界遺産」「北海道遺産」についてみてみる。
1)世界遺産とは、世界遺産条約に基づいて選ばれた「顕著な普遍的価値」を持つ建造物、景観、自然のことである。ただ、近年は単に対象の価値だけでなく、遺産の背景にあるストーリーが重視されるようになってきている。
例えば、世界遺産となった「富士山」は「-信仰の対象と芸術の源泉-」というサブタイトルがつき、その構成資産は富士山ほか26件ある。その内訳は富士山本体のほか富士五湖や風穴、滝などの自然、富士山周辺の神社や参拝者の宿坊(宿泊施設)などの富士山信仰の関連遺跡であるが、富士から遠く離れた三保松原は、ユネスコからその関連性が解らないと指摘された。日本の「世界遺産」は「観光資源」という要素が強い。

2)北海道遺産と北海道遺産構想
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北海道遺産
①北海道遺産構想推進協議会が選定する
②道内の未来に残したい有形無形の財産群
③67件が選定されている
北海道遺産構想
・地域の宝物を掘り起こし、育成・活用する過程で地域づくりや人づくりを展開する
・自分が暮らすまちや地域への愛着と誇りを醸成する
・観光の促進をはじめ、地域経済の活性化へとつなげる
→北海道庁による「地域振興」の施策
 日本遺産によく似ている。

3.文化財保護に対する考え方の変化 保存から活用へ
1)伝統的な文化財保護制度
指定文化財制度
文化財の中から、特に重要で価値のあるものを選定し、文化財として指定しその価値を広く知らしめる制度→個別主義・選択主義。
従来の文化財行政は個々の遺産を「点」として指定・保存していたため、「保存」重視で地域の魅力が充分に伝わらなかったという反省がある。
2)「活用」に重心が移った原因
文化財保護施策の行き詰まり
①指定文化財制度の機能不全・わかりにくさ
②現実社会との乖離
・使いにくさ
・経済効果の軽視 
3)文化庁の施策
「歴史文化基本構想」(2007~2018)
・2007年に国の文化審議会が提唱した文化庁の目玉施策・地域が歴史・文化を生かしたまちづくりをするための計画のこと
・教育委員会だけでなく、市町村全体で作成することが条件
・歴史文化基本構想を策定した自治体は、文化庁の補助金を優先的に得られる
・道内では1市3町(小樽市、江差町、寿都町、上ノ国町)で策定
「文化財保存活用地域計画」(2019~)
文化財保存活用に関する総合的計画
策定している自治体が事業を行う場合は補助金を交付
※これらが地域型日本遺産の申請要件になっていることに注意!
石狩管内では策定が進んでいない
文化財保護施策と日本遺産
日本遺産申請の条件
地域型(1か所の自治体で申請)
文化財保存活用計画もしくは歴史文化基本構想、歴史的風致維持向上計画のいずれかが策定済みであること。又は世界遺産に登録されているか、登録候補であること。
シリアル型(複数の自治体で申請)
構成自治体内に国指定の史跡、名勝が1か所以上あり、それがストーリーの構成資産に組み込まれていること。
構想、計画の策定の意義
策定された構想、計画に基づく活用を目指す。
文化財保護の行政内での位置づけの向上を図る。
文化財の理解についての変化
例として石狩市指定文化財旧長野商店
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石狩市指定文化財「旧長野商店」(1994年)指定理由
①明治時代の建築物はほとんど残っておらず、明治時代の石狩を偲ばせる建築として貴重
②和洋折衷の建築様式は建築史上意義深い
③店舗と倉が木骨石造りは道内で類を見ない
日本遺産での説明
北前船で財をなした商家長野商店の店舗、石蔵
→個別の特徴の説明から文化財がもつストーリーの重視へ。
4.日本遺産と観光
経済財政運営と改革の基本方針2018
観光資源の開拓や快適に観光を満喫できる環境の整備などにより、リピーターの地方への誘客や体験型観光の充実、長期滞在化を図る。
公的施設の更なる開放を進め、古民家等の活用や景観の優れたまちづくり、ダム等のインフラを活かした観光を推進する。
国立公園や文化財等を保全・活用するとともに、VR86の活用やナイトタイムの有効活用などを促進する。
・史跡整備しても「学習」だと来訪者が頭打ち
・入館者数を増やすには観光客を誘致するのが一番
・学習のための来館者も観光のための来館者も数としては一緒
観光振興サイドの考え方
博物館は、費用をかけて建設維持し、専門職員も置いている。
文化財は地域歴史文化を語るうえで強力な訴求力をもつ。これを「観光資源」として活用しないのはもったいない。
2)観光資源の掘り起こし
・東京オリンピックと「観光立国」→観光客(外国人)に見せるネタが無いこれまで「観光地」ではなかったところにも観光客を
まとめ
①日本遺産は「まちづくり」の手段
②日本遺産を考えることは、地域の歴史を見直すこと
③地域の歴史・文化をふまえて、現在そして未来のまちづくりを進めよう

以上概要
質問タイム
〇石狩遺産について
・石狩遺産の概要について説明
・安田氏持参した資料を希望者へ配布(石狩遺産第1期認定11件)   
〇寿都町・上ノ国町の指定内容について
・上ノ国町には中世のお城があり、以前から整備を進めてきた
・寿都町は鰊番屋があるが観光振興を含めた町おこしに熱心なのではないか

 以上が本日の講座の概要ですが、石狩には日本遺産があることを知らない市民も多く、文化財と日本遺産を身近に感じることができた講座でした。コロナ禍が終われば現地研修も楽しみにしたいものです。


 本日のアンケートのコメントをいくつか紹介します。
「なかなか聞く機会のない内容でしたので新鮮でした。わかりやすく明確な説明解説で学ぶことができ大変良かったです。日本遺産・北海道遺産そして石狩遺産(プロジェクトM)の活動が一連の話で理解できました。特にこの石狩にかかわる遺産の活用を強く期待します)」
「長野商店が日本、石狩文化財遺産とは知りませんでした。花川から遠いので本町になかなか行かれませんが機会がありましたら、ぜひ現場を見たいと思いました。他にも石狩には防風林がありますので歴史を感じます」
「日本遺産のねらい、特にストリー性と地域振興の点がよくわかりました。個々人が"夢"をもって昔のことを考え、語り合いするために"ストーリー性"は必要と思います」
「コロナ騒ぎで半年ぶりの講座でしたが、講師の工藤課長の豊富な話術で日本遺産について理解することができました。又、カレッジ生にも元気で会えなつかしい顔ぶれがそろった感じです。スタッフの皆さんも受付、机の配置等コロナ対策を重視した対応にも感心しました」
「楽しみにしていた講座、詳しく説明していただきありがとうござました。観光客として行き見るとき視点も今までとは違っていると思いました」
「日本遺産・北海道遺産が地域振興を目的としているが金儲けはだめだとのことでは、人・金も集まらないのではないか?もっとPRをし観光資源に使用することも必要ではないか、補助金だけでは衰退してしまうと思います。石狩市にも文化財的なものがたくさんあると思いますので、PRも民間に委託してもっとオープンにして収益を上げてはどうか。(リピーター客を多くすること。今は一度行ったらもう行かない展示ではないか。文化財には社会性がなければ発展がないと思います)」




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