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主催講座1「アイヌ語地名と北海道」

2020/10/27

 10月20日(火)、主催講座1「アイヌ語地名と北海道」を石狩市花川北コミュニティセンターで開催しました。講師は、アイヌ語地名研究会会長で、北海学園大学名誉教授の藤村 久和さん、受講者はスタッフを含め44名でした。

 今回のお話の資料として、北海道博物館アイヌ民族文化研究センター編集のアイヌ文化紹介小冊子9「地名」が使われましたが、 最初に冊子のタイトル「ポン カンピ ソ」について解説がありました。またお話は、ホワイトボードに書きながら進められました。
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◇ポン(小さい) カンピ(紙) ソ(束)について
ポンは小さい、カンピは紙で良いが、ソ(は聞こえないくらいの音)は、草紙と云う日本語が基になった言葉で正しくは紙束と云う意味。草束の束はムイと言うので、ソを束と云ってしまうと誤解を招きやすい。
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 この後、目次に従って、お話が進められました。

[1]アイヌ語地名とは
地名は土地の名前だが、大事なのはどうしてその名が付いたのか、と云う事。地名が付いてない所は、人がいなくなった所。地名は、人が暮らしている所を軸にした距離感(近い、遠い)を表したもので、必要に応じて作られ、必要がなくなると消滅していく。
1.北海道の地名とアイヌ語地名
「ベツ」と「ナイ」
「ベツ」はアイヌ語の「ぺ」で川。川と暮しの関わりは、食材を得る、給水(水を汲む)する、燃料を得る(木詰まり―流木)所であり、道(丸木舟で川を進む、川岸を歩く)でもあった。
「ナイ」は沢。沢は、背中合わせになっている反対側へ行く(登って下る)為の山越えの道。
川(ペ)や沢(ナイ)は、このように暮しに重要な所だったので、細かく地名が付いている。
暮しと地名とは切っても切れない関係にある。
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2.アイヌ語地名の伝わり方
伝わり方の例
・朱円(シュエン、斜里町) 元々は、シュマ トカリと云うアイヌ語。
シュマ⇒石、岩石、巌などの意。トカリ⇒~の手前の意(日本語とはちょっとニュアンスが違ってより対象に近い)。これを書き表す時に、シュを朱、マ トカを円(マドカ)で記して、シュマ トカリと読ませたのだろうが、それが後に漢字音で発音されるようになった。
・春別(しゅんべつ、シュン ベツ)
スム⇒シュム⇒シュン スムは、西の方角または油の意。春別のシュンは油の意。
・嶺泊 松浦武四郎は、オンネ トマリと記している
それを漢字表記する際、オンネを尾根とし嶺の字をあてた。
・白津狩、別刈、大別刈
白津狩⇒シラ(岩礁)、ツカリ(~の手前) 岩礁の手前
別刈⇒ペ(川)、ツカリ(~の手前) 川の手前
ここで、不審なことがある。白津狩、別刈、大別刈などの地名はいずれも岩礁や川の手前側(南側)になっているが、アイヌの人達にとっては、岩礁や川の向こう側も同じ呼び名であったはずである。それが、南側だけに地名として残っているのは、和人が記録した際に、南側から進んで記録したからである。このような傾向は、全道に見られる。
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・津軽の由来
津軽は、ツカリでアザラシの意と云われるが、~の手前の意である。何の手前かと云うと、津軽海峡又は北海道の手前と云うことになる。
・木直(きなおし、函館市)、杵臼(きねうす、むかわ町)
キナは、暮らしに役立つ草(食材や材料、薬草など)のこと。対して、役に立たない草は、ムン(mun、ごみの事も指す)と言う。
きなおし⇒キナ(役に立つ草)、オシはウ(群生している、安定している、固定している) +イ。ガマは、シ(本当の)キナと云うが、略してキナと言うこともあり、またガマで織った敷物の事をキナと言うこともある。なお、敷物を織る材料には、穂のつかないメスガマと呼ばれるものが使われた。
役に立つ植物が群生している所をキナウシと呼んでいる。
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・留辺蘂(るべしべ、北見市)
ル(道)ペ(が《~に》沿って下がる)ペ(もの)で、元来峠へ向かう登りと峠からの下りの道中の事であるが、沿って下ると云うペが使われているので、どちらかと云うと下りに重きを置いている。
・小樽
ヲタルナイ川の地名だったが、そこに住んでいた人たちが移動させられた際、地名も移動した。
※アイヌ語地名を調べる時、注意しなければいけないのは、アイヌ語は、広がり(面)を指すか個所(点)を指すか、どちらかであると云うこと。
◇アイヌ語地名の記録と研究の歴史
・北海道の地図として最も古いものは、正保元年の正保御国絵図
この絵図は、残っていないが、松前家の家系図などによる傍証から存在が認められる。
・永田方正「北海道蝦夷語地名解」(初版1891年・明治24年)
明治初期まで北海道の地名はカナカナで記載されていたので、北海道を日本の領土として確定させるために、調査して漢字化したもの。

[2]いろいろなアイヌ語地名
1.地形などを表す地名
・本別(ほんべつ)
ポン(小さい)ペ(川)に由来するが、実際には、本別川はかなり大きな川であり、利別川に比較して小さいと云うこと。

 その後の頁については、時間切れとなりましたが、単に資料に書かれている事項の説明にとどまらずどうしてそのような地名になっているのかその背景まで詳しく教えて頂いたので、アイヌ語地名の事が大変良くわかりました。まだまだ、聴きたいところでしたが、時間は限られているので、已むを得ません。いずれまた機会があれば、続きのお話を聴きたいものです。

 最後に、受講生から寄せられたコメントをご紹介します。
「北海道の地名がアイヌの人達が生活していく上で必要に応じて、本当によく考えてつけた地名だということがよくわかり、感心させられました。先生のお話がとてもよくわかりおもしろかったです。ありがとうございました」
「専門的な内容をわかりやすく話していただき、大変勉強になりました。この後もアイヌに関する色々な講座を期待します」
「大変楽しく興味深くお聞きしました。良く理解できあっという間の90分でした。最も身近な地名の一つ一つの由来がおもしろいと思いました。アイヌの人々の名前の付け方がその土地の特徴、状況をあらわしていることが感じられました。(手前の話しも何か納得!)」
「先生の講座を楽しみに待っていました。特に石狩・厚田等の地名に納得しました。暮らしが先で地名が出来た訳も、興味がありました。地名を日本語に改めた件も。本当にありがとうございました。とても楽しく参考になりました」
「石狩市内の地名をたくさん取り上げて説明いただき、大変興味深かった。春別、嶺泊、別刈など・・」
「全国どこにも読めない漢字の地名がありますが、特に北海道の地名はむずかしい。一つ一つの地名にはアイヌ語の意味があり、とても奥が深く興味深いです。藤村先生の講義はていねいで、とてもわかりやすかったです。また、いつかお話が聞きたいです。ありがとうございました」
「身近な地名から話が進められ、わかりやすかった。板書の説明は、生徒になったみたいでなつかしかった(笑い)。冊子の解説もおもしろかった(文章の深読み?)」
  










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