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主催講座12「新渡戸稲造の世界」

第3回「新渡戸稲造が現代に示唆するもの」

2019/11/25

11月20日(水)、主催講座12「新渡戸稲造の世界」の第3回「新渡戸稲造が現代に示唆するもの」を花川北コミュニティセンターで行いました。講師は、北海道大学名誉教授の三島 徳三さん、受講者は51名でした。
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まず最初に、現代日本における外国人の状況についての説明がありました。
◇現代日本における外国人の状況
・在留外国人数は、現在250万人を超えており、少子化の中で拡大必至となっている
・スポーツ界などでは、外国人やハーフが大活躍している
・半面、レイシスズム(人種差別)とヘイトスピーチが横行している
・右派系雑誌、嫌韓本、反中本、朝日新聞・NHK批判、ネット右翼などが日本の右傾化を加速させている
・対中国、対韓国への意識
親しみを感じない、どちらかと云うと感じないを合わせた率 
中国:H28年 80.6% H29年 78.4%
韓国:H28年 59%  H29年 59.7%

◇新渡戸稲造の日本人についての考え方
1.日本人は単一民族ではない
①「温暖で風光明媚な列島には、南洋や北方や大陸の同緯度地方からさまざまな民族を誘い寄せた。マレー族や中国民族が到達する前に、日本にはアイヌ族として知られる多毛な北方系一民族が日本全土を所有していたようである。アイヌ族が日本列島の原住民であるかどうかは分からないが、彼らが残した地名からかって列島全体を所有していたことは確か。その後、アイヌはだんだん北方へ追われ、今はほんの一握りだが、誰がアイヌ族を追ったかははっきりしない。おそらく朝鮮人に類する部族が日本海を渡って来たのではないか」(「The Japanese Nation 邦訳・日本国民」)
②日本民族のルーツはモンゴル人とマレー人か?
「日本民族は、その起源をアルタイ山脈の麓あたりに発し、東方に進出、海を渡って日本を占領した。彼らは南方諸島又は中国南部地方からやって来て、それ以前の北方から移動してきた部族を征服した」(「日本文化の講義」)
③朝鮮人・中国人の渡来
・「5世紀あるいはそれ以前から数百年間、朝鮮人と中国人が大量に日本に移住、帰化した。使節、画家、学者、高僧など。有史前は、日本は東アジアの人種のるつぼであった」(「日本文明における外来の二潮流」)
・「紀元384年、朝鮮の阿直岐(あちき、百済の王子)が、初めて孔子の古典をもたらした」(「日本文化の講義」)
・仏教は、6世紀中ごろに日本に伝来、聖徳太子が仏教隆盛に尽力
④平城京・平安京建設は朝鮮・中国人が協力
・「大建築物を建造した主要設計者、技師、職長や労働者たちは、朝鮮人や中国人だった。彼らの多くは長期間定住し一部は日本人の名前を自分に付けた。多くは帰化した日本人だった。9世紀初めの国勢調査では、平安京住民の31%が外国人(朝鮮人・中国人)であった」(「日本文化の講義」)
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2.日本的集団主義(民族主義)について
・「神々が住まい父母のやすらう国土への愛、旧きよきものへの尊敬、自然とその一つ一つの物への愛着などが、神道ほど強い宗教はない。神道は、自然崇拝から発して一個の民族宗教となる。神道はその思想もその教えも民族的であり、その愛国心はたやすく偏狭な愛国主義に堕し、その忠誠心は奴隷的服従に堕する恐れがある」(「日本国民」)
※ちなみに、三島さんのルーツは新潟の神主、二田物部家の末裔で、明治6年に祖父が札幌に移住したとのこと
3.宗教としての神道の将来
「信仰体系としての神道は、近代科学の発達と歩調を合わすことはできないだろう。哲学的にも歴史的、倫理的にも神道は仏教、キリスト教など外来の信仰に匹敵することはできないだろう。神道はなんらかの形で国民の知的革命のあとにも生き残るであろうが、それは、神道が知性に支えられておらず情緒に支えられているから。神道を要約すれば、日本民族の情緒的要素の全体と呼んでよいであろう」(「日本人の思想生活」)
4.教育勅語の新渡戸の解釈と評価
「この勅語は学校での道徳教育の一切の基礎をなしているが、われわれの忠は主人に対する関係で終わってはならぬ。誠実は、隣人との対応に限られてはならぬ。われわれの仁慈に地理的境界があってはならぬ。われわれは、臣民であるに留まらず市民であり、それも日本の市民だけでなく世界共同体の市民である。わが国では、われわれは『独特の』優秀な民族で、わが倫理思想は独一無二にして優秀だ、と云う奇妙な迷信がはやった。今旧い島国的鎖国の亡霊がまたも現れてきた。しかし、朝がくると幽霊は退散するのだ」(「教育および教育問題」)
※国家神道の解体と象徴天皇制への移行
昭和21年、神社本庁設立。天皇は、日本国民統合の象徴で、その地位は主権の存する日本国民の総意に基く(日本国憲法第1条)
5. 新渡戸の愛国心と国際主義
・「愛国心の反対は、国際心や四海同胞心(cosmopolitanism)ではなく、狂信的愛国心(chauvinism)。国際心は愛国心を拡大したもの」
・「自国を他国の敵とすることで自国を讃える者は、憐れむべき愛国者(patriot)。自国に一つも欠点を見ない愛国者も憐れむべき者」
・「自国を愛するなら自国の生存に欠くことのできない他国を愛さずにいられない。世界を愛するなら、世界で自分にもっとも近い所を一番愛さずにはいられない。国際心を抱こうとする者は、まず自分の足で祖国の大地にしっかりと根を下ろさなければならない」(「愛国心と国際心」)
・「われわは、ナショナルであってはじめてインターナショナルになりうる」(「日本文化の講義」)
6.新渡戸の平和主義と「備え」
・「武装する事は、相互破滅の備えをすること。もっとも費用のかからぬ国防とは、戦争の原因を与えぬこと。戦争の備えをしていると戦争を招くことになる」(「英文大阪毎日」)
7.共存の思想―「東西相触れて」
「東西、あるいは右傾、左傾と云うのも、中庸があればこそ。中庸から見れば、両者共に区別あるようで区別がなく、共に中庸を維持するものと見るべき」
◇結び―東西融和と国際平和への理想
〈日本に期待される東西文明融合の役割〉
「模倣に精通し経験を積んだ日本は、東西を対照し組み合わせ、結ぶ立場にある。世界がなににもまして必要とすることは、対抗の精神によらず、調和と協力と友好の意思をもって他者を知ることである」(「日本文明における外来の二潮流」)
※異民族との混合が進む中での、戦前回帰の動きは空論である。「日本国民」は、現実的対応をしながらも平和の理想を捨ててはならない。そのために集団主義や強者への依存から脱却し、個の確定(他人・他国を尊重する人格形成)に努めなければならない。
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最後に三島さんは、2018年ピョンチャン冬期五輪500mスピードスケートで、1位の小平奈緒と2位の李相花が抱き合うシーンを、新渡戸が理想とした国境を越えた友情の発露として紹介し、本日のお話を結ばれました。
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3回目のお話は、新渡戸稲造が日本人と云うものを長所、欠点を含めて、どのように捉えていたのか、そして理想とした国と世界の関係、さらに日本人だからこそできる東西融和への貢献を願ったこと、などが良くわかるものでした。まさに「新渡戸稲造が現代に示唆するもの」と云うタイトルにぴったりのお話でした。

最後に受講者から寄せられたコメントをいくつかご紹介します。
「大変興味深いテーマでした。新渡戸稲造のグローバルな見識の深さに驚きます。学ぶべきところは多大と思います。少し頑張って知ることも必要と・・新渡戸の平和主義と『備え』は、今最も必要と思います」
「今、世界の各地で争いが絶えませんが、新渡戸先生の考えのように戦争の備えをしていると戦争を招くということは、本当にその通りだと思う。私達は自分がナショナルであってはじめてインターナショナルでありうるという言葉に心が打たれました。今日の日本はこの逆に向かっているように思えて、戦前社会のようにならないよう願うばかりです」
「明治生まれの祖母や父母に育てられた私にとって武士道は何の違和感もなく受け入れられましたが、私自身、自分の子供には何も伝えていないと反省しています。この講座のおかげで武士道の訳本に目を通すことが出来ました。今日の日本民族の成り立ちに関する講座を聞いてアイヌ民族や大和民族に対する考え方が変わりました。新渡戸さんの平和主義が今一番必要なことですね」
「日本人は単一民族ではない。私自身『ハーフですか?』と聞かれたことがあり、アジア人は日本人に似ているなと思っていました。自分のルーツをたどっていくと日本の外に出るのではないかと思うと、わくわくした気分で講義を聞いていました。外交関係における『備え』とは、協力協調であるべきで軍備であってはならないとの新渡戸先生の教えを今一度世界中のトップに立つ人達に学んでほしいと思いました」
「今回の講座を通して新渡戸稲造の偉大さを知ることができました。日本人を客観的に考察した新渡戸の考えは今でも大いに参考にすべきと考えています」






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