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主催講座12「新渡戸稲造の世界」

第2回「新渡戸『武士道』と『日本人の精神論』」

2019/11/10

11月6日(水)、主催講座12「新渡戸稲造の世界」の第2回「新渡戸『武士道』と『日本人の精神論』」を花川北コミュニティセンタ―で行いました。講師は、北海道大学名誉教授の三島徳三さん、受講者は48名でした。

本日は主に新渡戸稲造の著書「武士道」についてのお話でした。
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◇新渡戸稲造は、「われ太平洋の架け橋たらん」と、日本人の精神文化を欧米人に知らしめ、また欧米の精神文化を日本に紹介することを生涯の仕事とした。
◇日本人の精神文化を欧米人に紹介しようとした新渡戸の主な活動
・明治33(1900)年、米国で「Bushido」出版
・明治44(1911)年、日米交換教授で渡米した際、約10か月にわたり連続講演
・昭和7(1932)年、米国の大学で約1年間に及ぶ連続講演
◇新渡戸稲造「武士道」(明治33年出版)
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・「武士道」はどうして欧米人に良く読まれるようになったのか。
日清戦争、日ロ戦争で、日本は欧米から注目された。ロシアとの講和条約締結の仲介を依頼した米国・ルーズベルトに日本を知ってもらう書として「武士道」を寄贈した。内容に感心したルーズベルトは「武士道」を30冊まとめて買い、まわりに勧めた。これが、「武士道」が多くの欧米人に読まれるようになったきっかけ。
◇新渡戸が説明する武士道
・武士道とは、武士がその職業及び日常生活において守るべき道、掟、義務
・武士道には、仏教、神道に加え儒教が大きな影響を与えたが、特に王陽明の知行合一説が深く入り込んでいる
◇「葉隠」的武士道とは一線を画す
・「葉隠」的武士道は、「武士道と云は、死ぬ事と見付たり」⇒忠義の為には命を捨てる
・明治武士道も「葉隠」の延長線上にあった
※新渡戸の「武士道」はそれらとは一線を画す。

この後は、現代の風潮とも対比しながら「武士道」の内容が紹介されました。
◇戦後失われた新渡戸の「武士道精神」
1)義または正義及び勇気(第3章「義または正義」第4章「勇気、敢為堅忍の精神」)
・武士にとって卑劣な行動や不正な行為ほど忌むべきものはない
・勇気がなければ義は実行できない
※現代の日本人は、義や正義はあっても実行する勇気に欠ける⇒見て見ぬふり
2)仁・惻隠の心(第5章)
・惻隠の心とは、あわれみの気持ちで他者特に弱者に対する愛の心
・仁は、母の心のような優しく和やかな徳
・弱者、劣者、敗者に対する仁愛は、武士の美徳と称えられた
※「仁・惻隠の心」を新渡戸が高く評価するのは、クリスチャン(クエーカー教徒)である稲造の優しい感情の発露がある
3)礼儀(第6章)
・まことの礼儀は、他人の感情を察する同情的な思いやりが外に現れたもの
・他者への愛、同情、尊敬、謙虚さなどが伴うのが礼の本質。「有難う」「戴きます」「御馳走様」「謝辞」
・武士の家庭では、「若者に社交上の正しい振舞い方を教えるための詳細な行儀作法」「挨拶のときの頭の下げ方、歩き方」が細心の注意をもって教えられた
※現代では、挨拶をしない若者が増えている。家庭、学校、スポーツ活動などで教える必要がある
4)真実および誠実(第7章)
・嘘の言葉と逃げ口上は卑怯なものとされた(「武士の一言」)
・武士が二言、すなわち嘘をついたり二枚舌を使った場合は、死をもってその罪を償った
※現代の、コピペ、事実歪曲、論文・文書改ざんなどに痛みを感じない者は「誠の精神」が欠けている
5)名誉―恥を知る、恥知らずを嫌悪する(第8章)
・HONOURの訳語として用いられる名誉と云う言葉の観念は、「名」「面目」「外聞」などと云う言葉であらわされてきた。名声は人の体面で「自分に備わった不滅のもの」とされ、それを侵されることは最も恥とされた。「笑われるぞ」「体面を汚すぞ」「恥ずかしくないか」などの言葉は、少年に対して正しい行動を促すいましめだった
※現代の若者からは恥の心が薄れている。また、元来一定の地位の人は、体面を汚さぬよう常に自重を求められるが、現代人にはそれが欠けている
6)克己―繊細な感情とその抑制(第11章)
・日本の少年少女は、幼い時から自分の感情を押さえて、いたずらに涙を流したり、苦痛の声を出さないように教育された
※現代では、人前で涙を流すことで他人の涙を誘うのが普通となっている。喜怒哀楽は人間感情の自然な現れだが、感情のコントロールはプロフェッショナルな人々においては絶対条件
7)笑いと平静な態度(第11章)
・日本人は、厳しい試練に会った時、常に笑いに頼る傾向がある。笑いは、心の平静を保とうとする努力を人前で隠そうとするためで、悲しみや怒りとのバランスを取るためのもの
8)「武士道」から「平民道(Democracy)」へ(第17章・最終章)
・武士道は、一個の独立した掟としては消え去ってしまうかもしれないが、その力はこの地上より滅びはしないであろう。武士を象徴する桜の花のように、四方の風に吹かれて散り果てても、その香気は人生を豊かにし人類を祝福するであろう
・民を根拠、標準とし、これに重きを置いて政治も道徳も行う時代が到来した。故に武に対して平和、士に対して民と、人の考えが広く且つ穏やかになりつつある今、今後は武士道よりも平民道を主張することが時を得たものと思う。この平民道は、予て主張した武士道の延長である
※ここで言う平民道とは、Democracyのことであるが、明治憲法下では、民主主義と云う言葉は使いにくかった
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◇新渡戸稲造から学ぶ日本人の精神的特質
1)鋭敏な知覚力と現実主義
・日本人は鋭敏な知覚力を備えていて現実主義に傾く傾向
「論より証拠」「百聞は一見にしかず」
・日本人は、聴覚型より視覚型
2)あわれとなさけ
・日本人にはなさけ、あわれと云う伝統的に受け継いできたメランコリーな気質がある
3)他人を気にする、共同体志向
・日本人は他人が何を言い何を考えるかに、大変敏感である
4)他人の感情を害さず、謙譲な特有の精神
※日本人は謙譲の美徳に価値を置いてきたが、現代では、他人を押しのけ競争に価値を置くようになった
5)理性的認識度
現代では、感覚的認識に留まり理性的認識に向かわない人が多い(特に若者)

以上が本日のお話の概要ですが、日本人の本質を欧米人に紹介しようと努めた新渡戸稲造の考え方が大変良く分かるもので、「武士道」の内容についても充分理解する事が出来ました。

最後に受講者から寄せられたコメントをいくつかご紹介します。
「武士道は、武士、軍人、男性に当てはまるものと思っていたが現在の私達の生活の基となっていると認識した。『克己心』『平静な態度』は、日本人の特徴であると思った。他にも日本人の特質が書かれていて面白かった」
「今日のお話で、新渡戸稲造先生が今まで私が考えていた以上に、礼儀正しく、人間としての生き方を深く考えていた人だったことを知りました。今の政治家、役人など、上の者に忖度し自分の保身ばかりを考えた行動を撮っている人達がとても多いことに絶望してしまう。新渡戸先生が今生きて居られたら"真の武士(平民道)道精神"を国民に向けてお話して欲しいと思った」
「なぜクリスチャンの新渡戸稲造が『武士道』的日本的文化を書いたのか良く分かった。武士道は、ややもすると明治政府が強制した精神が前面に出てきている現代で、新渡戸稲造が描いた『武士道』を一度見直す必要があるのではないか」
「自分には武士道の心が欠けているなあ~とつくづく思いました。これからは、自分に素直になり何事にも知った以上は実行(行動)をする事にします」
「武士道とは難しい事と思っていましたが、私達が子供の頃から親やまわりの大人に優しい言葉で教えられた積み重ねなのですね。成長して忖度を覚えいつの間にかごまかす事が身についえつぃまったのでしょうか?時代の流れで仕方ないではなく今一度武士道、平民道を学ぶ必要がありそうですね。楽しい講義でした」
「『武士道』『平民道』について大変興味深くむしろ新鮮に思いました。新渡戸稲造との関連で儒教+キリスト(クエーカー)教からの信念(心)で起きていることが理解できました。『道』と呼ばれるすべてに伴っている行為、これは忘れてはいけない人としての立ち歩く道と改めて思った時間となりました。大変有意義でした」





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