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主催講座11 「北海道経済の現状とこれからの展望」

第1回 「北海道の農林・漁業の現状と課題」

2016/09/21

9月15日(木)主催講座11「北海道経済の現状とこれからの展望」の第1回「北海道の農林・漁業の現状と課題」を花川北コミュニティセンターで行いました。講師は、元銀行マンで石狩市産業振興アドバイザーの辻 正一さん、受講者は36名でした。

辻さんは「本日は、最初に北海道農業の現状を示した後、今後の展望を農政、経営、グローバル化の3つの面から見ていきたいと思います」と言ってお話を始められました。
 
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以下はお話の概要です。

◇農業の現状
(1)農業構造動態
1994年と2014年で対比すると
農業総産出額は11兆3千億⇒8兆4千億(△26%)
基幹的農業従事者は263万人⇒約168万人(△36%)
耕地面積は約508万ha⇒約452万ha(△11%)
となっている。
(2)需要者である国内人口は
H25年の総務省推定では、2013年12730万人が2025年には11662万人となり、老齢化率も25.1%⇒31.6%となる。
(3)担い手の老齢化
農業専従者+従事日数の多い従事者の平均年齢は
2000年61.1歳、2010年65.8歳、2017年予想70.0歳となり、70歳は自立の限界点である(高齢化は特に米作において顕著)
(4)経営規模の国際比較
H21年日本が1.9haに対してH19年の各国は
EU全体13.5ドイツ45.1、イギリス58.8、アメリカ198.1、豪州3023.7。
(5)コスト
・日本のコメ生産費は韓国の2倍(2013年)
・日本の使用資材価格は韓国の2~3倍(2015年)
(6)北海道の国内優位性
①比較的規模が大きい
全国比で、農家戸数3%、耕地面積25%(北海道26.5ha、他府県1.8ha)、農業産出額13%、主業農家率7割。
②食糧基地「北海道」
産出額では、米2位、小麦・小豆・馬鈴薯・大豆・牛乳・玉ねぎ・肉牛などで1位。
③高いブランド力
・都道府県名のブランド力の1位は北海道(日経リサーチ調べ)
・人気物産展の1位は北海道(JTBWebアンケート)
・訪問したい地域(日本政策投資銀行調べ)
北海道は、台湾・香港で1位、北京で2位、タイ・マレーシアで3位。

◇農業の展望
 
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1.農政面
(1)農政の軌跡と今日的課題
①戦前の農業の課題
小作問題と現在より零細な農業構造
②「所得倍増計画」と農業政策
国は、農村に滞留していた次三男や子女を工業振興に必要な労働力として振り向けることで農業の規模を拡大しコストダウンを図ろうとした。
③減反政策
・余剰米と減反政策
1960~70年代 食生活の変化、コメ優遇策、生産技術向上などにより余剰米が発生した。
これに対して、減反政策による米価維持、減反補償によるの農業所得維持を図った。 
・減反政策の廃止と転作奨励
余剰米処理の財政負担増などにより、減反政策は2018年に廃止決定となる。
④農政が残したもの
農・組・政・官の助け合い・もたれあい・利用しあいの関係ができた。
(2)農業を取り巻く社会システムの改革
①「農・組・政・官」の四角形の創造的破壊
②農業関連法規、関連組織の改正
・改正農協法
非営利規定を廃止して事業益優先へ。農業事業者にとっての有利販売、有利調達を図る。法人経営能力向上、異業種参入の促進。全中の組合監視機能の排除など。
③改革への胎動
・第28回JA北海道大会
輸出目標19年度100億円、新規担い手倍増を打ち出した。
・農協の事業意欲と経営感覚の目覚め
石狩市農協「とれのさと」の直売事業の成功、「いしかり漬け」の製造事業など。新おたる農協+浅田青果販売(旭川)で台湾へのリンゴ輸出。たいせつ農協+ワッカジャパン(札幌)でタイへコメ輸出。その他にも、農事組合法人による協業の高度化。農業法人化による施設の共同利用。農事組合法人の分社化などが進められている。
・大手企業による道内での農業参入
(株)アレフ、SMBCcf(株)、ワタミ(株)、(株)セイコーマート、(株)ローソン、イオン等など
・大手金融機関参入
三井住友銀行(秋田の農業生産法人)
・農業受託事業
(株)はまほろ(佐呂間町)、(有)ハル(南幌町)
・第6次産業化
(有)レークヒル牧場(洞爺湖)、(有)コントラクター(旭川)
※北海道農業にとって海外は重要市場。
道産食品輸出拡大戦略推進協議会(JA北海道中央会、道漁連、ジェトロ等22団体)
2015年実績773億円(伸び率16.1%)、2018年輸出額1000億円に向けて国別戦略策定。
※この秋が天王山
・JA全農、ホクレン・・法改正により株式会社化も可能でその帰趨が注目される
・JA全中・・一般社団法人化、農協監査権限解放
④霞が関人事の動向
経産省産業技術環境局長が農水省食料産業局長に。
農水省農村振興局長が経産省産業技術環境局長に。
農水省経営局長(農業改革主導実績)が農水省事務次官に。

2.経営面
①農業経営の規模拡大
・農業従事者平均年齢70歳(2017年到達)は、経営持続の壁となる
・日本は、単に大規模化したのでは国際競争力は生まれない
・合理化・効率化と付加価値の向上(高度化)で、どこまでの競争ができるか?
・農地面積は、日本1に対してアメリカ75、オーストラリア1,300倍
・北海道の一農家当たり農地面積は、アメリカの半分
②農業付加価値の向上(経営収益性の向上)
生産段階では10.6兆円(国内生産9.4兆、生鮮品輸入1.2兆)だが、飲食費最終消費金額は73.6兆円(生鮮品等13.5兆、加工品39.1兆、外食20.9兆)となっている。
平成24年の都道府県別食品工業付加価値率で、北海道は27.8%で44位(一位奈良県45%)
※6次産業化先進国(地域)への挑戦
・食品共同開発例・・「赤い小麦ルルロッソ」を理想的な「生パスタ」へ
北海道農業研究センター(北農研)が開発した「北海259号」はグルテンが多くでんぷん質が硬い「超強力小麦」だが、収量性が低く、病害に弱いため小麦優良品種(栽培奨励品種)にはならなかった。しかし、その特性に注目した江別製粉が留萌振興局、JA留萌と共同でパスタ用の小麦として開発。ルルロッソは、留萌のアイヌ語「ルルモッペ」と留萌の夕日をイメージした赤のイタリア語「ロッソ」を組み合わせた造語。
③農業周辺の課題
・物流システムの高度化
地域商社の設立、生鮮輸送技術の向上、社会インフラ(複合機能)の変化。
※農業事業家はアントレプレナー(起業家)たるべし
独創的なビジネスアイデアと技術で新しい市場を切り開く。
④北海道、勇気ある跳躍事例
・「大塚ファーム」(新篠津村):高品質農産物生産⇒高付加価値商品化・ブランド確立「ほし甘いも」⇒大手百貨店や楽天市場など販路拡大⇒燃焼1億700万円。
・ベトナム「IDIグループ」との連携:農業生産法人「谷口農場」(旭川)、「メカトロシステム」(札幌・食品加工設備設計)ほか10数社

3.グローバル化の面
 
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(1)TPPの国内農業への経済的影響について
・政府筋公式見解は、TPPの農業への影響は限定的としているが、反対に農産物生産が1.3兆円減少するという説もある。
農業経営は企業体であり、その存続には諸環境への適応が必要となる。個々の経済主体は、政策変化の阻止或いは好都合な政策を求めがちだが、それのみに終始していては、新たな政策環境への適応機会を逸することになりかねない。
(2)「攻めの農業」は世界を視野に入れる
2015年度農業白書
・農産物輸出額は、ここ3年間過去最高額を更新中
・海外レストランは、13年1月調査に対して1.6倍に増加
・政府目標の20年輸出額1兆円を前倒し
(3)TPP雑話
①FTA(自由貿易協定)EPA(経済連携協定)は世界をからめるように地球を取り巻いている。
②関税と消費税
・貿易自由化への反対がある中で自由化に踏み切ったのは、自由化で社会全体が大きな利益が得られると考えたから。
・コメの関税が778%であるのに、そのコメの消費税について10%を8%に軽減する云々はナンセンス
③食糧安全保障
食料自給率については、カロリーベースで計算され39%であるが、生産額ベースではまったく違ってくる(食料国産生産額9.8兆円、食料国内消費向け額15.3兆円)
④政治家は「保護貿易」を唱えがち
⑤TPPの発効が危ぶまれる(アメリカ大統領候補者の動向)
⑥「総合的なTPP関連政策大綱」(2015,11,25)
成長戦略の切り札としての新輸出大国
⑦保護主義で栄えた国はない
⑧イギリスの後悔(EU離脱決定)

4.「自由貿易」と我が国の農業
これまでの農業は、どちらかと言うと「国内」「地域」で存在していたが、これからは、地球規模の競争の中に生存し、生まれてくる軋轢を克服しながら、新しい可能性を創造し、成長を目指さなければならない。

以上が本日のお話しの概要ですが、これまでの北海道(日本)の農業の状況が良く分かり、今後はどんな方向に進まなければならないかを指し示す非常に示唆に富む内容でした。


















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