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講座14 『いま、日本国憲法を読んでみませんか』

第2回 「日本国憲法改正の論争点は何ですか」

2014/12/14

 講座14『いま、日本国憲法を読んでみませんか』の第2回「日本国憲法改正の論争点は何ですか」を花川北コミュニティセンターで行いました。講師は、北海商科大学教授の堂徳将人さん、受講者は43名でした。

 本日のテーマに入る前に、前回時間が足らずに残ってしまった「改憲派の論点」についてのお話がありました。

改憲派の論点
①改正しないことの弊害
日本国憲法が制定されてからすでに67年経ち、時代は日進月歩で変わっている。「憲法制定時の国民が後の時代の国民をしばってよいのか?」同じ敗戦国のドイツは58回、イタリアも15回改正している。
②制定過程の欠陥
戦勝国は占領地の現行法を尊重すべし、と云うハーグ条約(1907年制定)に日本もアメリカも批准加盟している。
③形式上の欠陥
28個所の翻訳の誤りがある。「放棄」は「否認」ではないか。
④内容上の欠陥
権利が厚く、義務が薄い。
⑤緊急事態(危機管理)規定の欠如
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本日のテーマについてのお話
1.いま、なぜ改憲を急がなければならないのですか
(1)日本の安全保障環境の変化に応じた集団的自衛権の容認
・北朝鮮(弾道ミサイル)、ロシア(領空侵犯)、中国(太平洋進出、領空侵犯、防衛費増加)の脅威が増している。
・対策として、積極的平和主義を唱える(安全保障政策の転換)⇒集団自衛権の行使容認、武器輸出三原則の撤廃、日米同盟の強化(米軍を後方支援)
(2)憲法改正のための手続(第96条)
改正手続きの先行改憲として、憲法第96条(各議院の総議員の3分の2で発議して国民投票で過半数が必要)の改正を目指すが、これには改憲派からも異論が出ている(立憲主義に反する)
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2.近代立憲主義とはどのようなことですか
(1)近代立憲主義の基本的な考え
①立憲主義確立への道筋
・絶対主義―法は皇帝の意思により制定される(ローマ法)
・中世的立憲主義―国王も神と法の下にあり、国王が慣習法に違反すれば抵抗権(法の支配)がある。
・啓蒙思想―「統治契約論」王権神授説等(中世的)、「社会契約論」自然権・抵抗権→市民革命。
②近代立憲主義の条件
・「憲法に従って政治を行う主義」(形式的立憲主義)→プロシア憲法・大日本帝国憲法。
・憲法は権利を保障、個人の権利・自由を確保するもの→フランス人権宣言第16条
・近代立憲主義憲法は、個人の権利・自由を確保するために国家権力を制限することを目的とする→近代立憲主義の条件
③近代立憲主義の構成要素
・権利(自由)の保障・権力分立・法の支配・人民主権
(2)改正案と立憲主義とのかかわり
①根本法的性格・原理性の消滅
前文:「これに反する一切の憲法を排除」を削除→普遍的原理性消滅の恐れ。
②個人から人へ
第13条:「個人として尊重」が「人として尊重」に→権利主体の個人が、抽象的な人になる恐れ。
③憲法の最高性
第97条(98条がセット):「普遍的原理・永久不可侵性」の削除→実質的・形式的最高性の分離の恐れ
⇒近代立憲主義の危機
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3.改正案の主な論争点にはどのようなことがありますか
(1)解釈改憲の明文化:天皇の元首化(第1条)→天皇の政治利用の懸念
(2)例外の条文化:表現の自由を保障した第21条にそれを制限する条項を追加→表現の自由の制限の懸念
(3)憲法の原則の転換:緊急事態の新設(第98・99条《新》)→緊急事態宣言の懸念
4.第9条改憲をめぐる論争点は何ですか
(1)集団的自衛権の解釈改憲の問題
集団的自衛権の概念は、国連憲章第51条に由来する。しかし、国連憲章で定める集団的自衛権には、もともと第2条(武力不行使原則)や第41条、第42条などの前提条件がある。
(2)自衛権の行使(第9条平和主義)
現憲法第9条(平和主義)
「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」
⇒改正案では、「永久にこれを廃棄する」を「用いない」とし、2「前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない」を追加。
(3)国防軍の保持(第9条の2国防軍《新》)
改正案では、第9条の二で国防軍の保持を明記し、追加事項2~5では、国際社会の平和と安全を確保するための活動、機密保持、国防軍に裁判所の設置等が書かれていて、国防軍の海外派兵や軍法会議が懸念される。
(4)国民と(の)協力(第9条の三、領土等の保全等《新》)
「国は、主権と独立を守るため、国民と協力して」と書かれている。「国民と協力」は何を意味しているかはっきりしないが、ひょっとすると徴兵制などを指しているのではないかと疑われる。
※現行の第9条は、すくなくとも戦争への道の制約やはどめを果たしてきた意義や役割があるが、改正第9条の国防軍は、どのような意義や役割を担ってくれるのだろうか?
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 以上が本日のお話の概要ですが、近代立憲主義とは何か、憲法改正案の内容はどのようなものか、改正されるとどのような事が起きるか等が良く分かるお話でした。

 受講者からも、たくさんのコメントが寄せられましたので、その一部をご紹介します。
「分かりやすい説明。護・改憲の主張がよくわかった。2回では短すぎる」
「護憲、改憲の考え方が判り、現憲法と改正憲法の内容が大分理解出来ました」
「憲法は難しいので再度この講座を設けては。時間も短すぎる。」
「論理的な流れに沿った分かりやすい説明でした。憲法を考える基本的な知識を得ることができて満足です」
「毎回大変勉強になります、講座の内容が充実していると思います。体調に合わせていつまでも参加したいと思っています」
「タイムリーなテーマなので興味深くお聞きしました」
「前回残ったお話の資料を本日の資料に挿し込んで頂けるなんて初めてでびっくりしました」











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