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講座8 『石狩湾新港の最先端技術を学ぶ』

第1回 「超電導直流送電とは」

2014/08/05

 7月23日(水)講座8「石狩湾新港の最先端技術を学ぶ」の第1回「超伝導直流送電とは」を花川北コミュニティセンターで行いました。講師は、石狩市のサイエンスアイで実験教室などを開き活躍されている北海道大学名誉教授の山谷 和彦さんと石狩市環境政策担当兼環境保全担当主査の宇野 博徳さん、受講者は51名でした。

 講師の山谷さんには超伝導及び超伝導直流送電について、宇野さんには石狩市における超伝導直流送電システムの実証研究の取り組みの現状と何故実験検証地区に選ばれたのか等についてお話しをしていただきました。
まず、はじめに山谷さんから、第1回の講義内容の①~③の概要について説明がありました。
①超伝導とは
②なぜ直流送電なのか
③超伝導直流送電は夢の技術
④なぜ石狩なのか
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 電気は私たちの日常生活には欠かせないものです。その電気は発電所でつくられて、そして送られてくる。送電には銅線が使われ、そのシステムは今から遡り100年ほど続いているそうです。
しかし、今考えられているのはそれに代わり、送電線は銅線ではなく「超伝導線」に、送る電流も交流電流ではなく「直流電流」という夢の送電です。
 現在、送電線材料に「銅」が使われているが送電線の中で熱エネルギーとして5%程度の損失がある。そこで、エネルギー損失を「0」にするものとして考えられたのが「超伝導線」です。
 また、現在行っている交流送電では、用途に応じてその都度電圧を下げて利用しているが、変圧器(家庭ではACアダプター)によってもエネルギーの損失がある。最近の家庭電化製品には電子機器を搭載した物が増え直流電流の需要が増している。現在の送電システムでは送電中と電圧変換の度に熱エネルギーとしてロスが増えていく。現在の日本で見ても年間で、原子炉発電所にして3~4基から5~6基分もの電気を損失しているそうです。

 次に太陽光発電についてお話がありました。
太陽電池は、2種類のシリコン半導体を接合し、下に電極、上に光の反射防止板と電極を貼り合わせた構造になっている。貼り合わせた上下の半導体の接合面に光が当たると発電されるようである。
 長所は、太陽光を直接電気に変えられ、効率がよい。また、短所は、光が当たらないと発電されないことと大出力のものは出来ないと言うことです。

 図P12については後からも話に出てきますが、現在石狩市で行っているこの太陽光直流発電と多数のサーバーがあるさくらインターネット会社間を超伝導線で結び超伝導送電の実証研究のイメージです。
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 つまり、実際にあるコンピュータをこのシステムで動かすことが出来るかどうか。まずは、500mの長さで。つまり、会社の敷地内程度で基礎研究をしっかりやってみる。さらに、問題を整理して1㎞程度の長さで行う構想のようです。

 図P14のような種々の物質の電気抵抗率についてもお話しがありました。
図からも分かるとおり銅は非常に電流を通しやすい金属ですが、その銅線での送電でも5%の損失があると言うことです。それに対して超伝導線は「0」であるので、100%利用できる。
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 また、物質は温度によっても抵抗値が変わる。原子は原子核とその周りに電子があるが、銅に代表されるように、良く電気を通す物質は一番外側の電子が自由電子になりやすく、温度が低くなると自由電子の散乱が少なくなり、抵抗は減少する。図P15は、その様子とグラフは温度と抵抗値の変化の関係を表しています。
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 以上、本題の「超伝導」の説明に入る前に超伝導システムと対比させるため
に必要な物質、現象、システム等について説明して頂きました。

 本題に入り、まず、超伝導の発見についてお話しがありました。
図P16のオランダのオンネスという科学(物理)者がヘリウムというガスを圧縮して液体ヘリウムにしたものを使って温度を極低温まで下げて、水銀の電気抵抗を測定したところある温度で抵抗が「0」になったのを発見した。これが超伝導の発見である。こういう状態のことをオンネスさんは「超伝導」と名付けたそうである。
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  超伝導現象は人間が日常生活する温度では起こらず、その物質は通常の性質を示す正常状態である。
 
 次に、何故そのような「超伝導」が起こるのか、下の図により説明がありました。
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 前述にもあったように金属の電気抵抗は温度を下げると電子の散乱が小さくなり、抵抗が減少したが、さらに温度を下げ超伝導状態になると、それまでの電子が粒子の状態から電子対の波の状態に変化することにより電子の散乱がなくなり、「0」抵抗になるそうである。

 図P18は超伝導体探索の歴史を表したもので、オンネスさんによって1911年に発見されて、その後100年かけていろいろな物質が研究されている。身近なものでは、鉛、アルミニウムなどが上げられるが、みな液体ヘリウムを使用した極低温温度で超伝導状態になる。
現在使われているMRIも超伝導体が利用されているが液体ヘリウムに浸かっている仕組みになっているそうである。
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 1987年に始めて複雑な物質で液体窒素温度を超える物質が見つかった。
さらに研究され、いろいろな物質か見つかっているようである。
図の中の上から3番目の超伝導体:Bi2Sr2Ca2Cu3O10は日本人が考えたものだそうです。

 ここで重要なのは、冷却が空気中に8割近くある窒素を液化すれば良いことである。
 したがって、将来的にはMRIも液体窒素を使ったシステムになることが期待されるだろうとのことでした。

 図P19は高温超伝導体:YBa2Cu3O7の温度変化による抵抗値の変化と液体窒素温度より20度高い温度でゼロ抵抗になった様子を表わしている。

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 超伝導体のもう一つの特徴として、磁石を近づけると反発を受ける。このことをマイスナー効果という。リニアモーターカーなどに利用されているが、当然、超伝導体の温度が低くないとだめである(液体ヘリウムを使用)。

 次に送電に重要な超伝導線にいてお話しがありました。
図P21は住友電工(株)さんが開発したものを図式化したもので、Bi系高温超伝導線材である。
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 図にあるBi, Sr, Ca, Cuの四種類の酸化物を化合させ、できた超伝導粉末を銀のパイプに入れる。この物体を幾つかの工程にかけてテープ状に加工したものが超伝導線である。

 最後に、住友電工(株)さんと新エネルギー・産業技術総合開発機構さんが試作した超伝導ケーブルについて説明がありました。
 図のように、中心に銅で巻いた穴の開いたコアを作って、その周りにテープ状の超伝導線を巻き付け、中心に液体窒素を流して蒸発しないように断熱管を作り、さらに設置しやすいように外側に色々な保護管を付けて作られているようである。
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 このことからも超伝導線やケーブルは銅線に比べてお金がかかって構造も複雑なことが分かると思います。
それでも、こういう次世代の発電と言われている太陽光発電を使って、そしてこれからますますコンピュータが使われて行くだろうし、電源喪失が起こっても、うまく利用できるのではないだろうかということでした。

 次に宇野さんより、石狩市で現在行われている「高温超電導直流送電システム」の実証研究についてお話しがありました。
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 高温の超伝導と直流の2つのキーワードがあり、山谷さんから説明のあった通りですとのことでした。
ただ、改めて申し上げたいのですがと言うことで、この超電導という特性と直流という特性を送電に使うことによってより効率の良い送電を行い、ひいては電力システム全体を省エネ化あるいは効率化にすると言うことでした。
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 図P2は送電イメージですが、超伝導直流送電を行うことによって右枠の説明のようなロスの軽減が考えられるとのことでした。
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 「なるべくロスの少ない直流」これをエンドユーザーが直流で動くものなら直流で送れば交流から直流への変換のロスが少なくなるので直流での実証を行うこととなったとのことである。
 まだまだこの超電導直流送電システムというものが実用の段階でないと言うこと、これを早く実用化するためにはどのような課題があるのか抽出し、整理をして、課題解決に向かうためにこの実証研究を行っているとのことでした。

 今回の実証研究は、経済産業省の委託で事業として行われている。
石狩市が選ばれた理由は以下の3点が主であるそうです。
①LNGを-170度でガス化するときに出る気化熱を冷却に利用できる。~可能性がある。
②さくらインターネット石狩センターのサーバーで大量の消費が見込まれる。~現存する。
③石狩をはじめ北海道は再生可能エネルギーの豊富な地域である。

 実証の概要についてお話しがありました。

 実証期間は、25年・26年の2カ年。
・25年度は超伝導線や冷却装置などの機材の準備をしています。
・26年度はこのシステムを実際に試作しています。
最初は500mの長さのケーブル行い、次の段階として1km程度の長さのケーブルで行う計画だそうです。

 下の図P5は、超電導直流送電技術実用化イメージを表している。
今回石狩で行うのは、すでに中部大学さんで200mで実証あるものを500m、1kmに延長して、より長尺化を目指して行うそうである。
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 問題点としては
・コストをどう抑えるか
・熱収縮が500mで1.5m収縮するダメージをどうするか
・外からの熱断熱
・つなぎ目からの熱放出
・長距離の冷媒循環
等が考えられ、これらの技術的課題を検証することによって、さらに20㎞、200㎞の長尺の目途がつくのでないかと言うことです。まずは、さくらインターネットさんの敷地内において500mで、次に石狩湾新港内で1km程度に延長して実証研究を行います。

 図P6は、これも超電導に関連した1つの展開のイメージで、可能性のある話と言うことでした。
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 超電導は抵抗がゼロであることと非常に強い磁場を発生するするという特性を使って(リニアモーターカー・MRI)地域でどのような使い道があるか概念図として表してみたものだそうです。

 図P7は石狩超電導直流送電プロジェクト関係図で図P8はプロジェクト推進体制を表したものである。両方の図からも分かるとおり、この実証研究は千代田化工建設株式会社さん、住友電工株式会社さん、さくらインターネットさん、中部大学さんの4者が主体になって行っているそうです。
その他、いろいろな機関から後方支援を受けていることが分かると思います。
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 図P9は、地域にあるエネルギー資源にはどのようなものがあるか、それがどのように変わっていくか表したもので、そのエネルギーをどう生かしていくかイメージしたものである。一番外側はエネルギー資源として考えられるもので、これらを熱エネルギーや電気エネルギーに使えると低炭素社会あるいは地球温暖化という観点からも地域での阻止にもつながる。
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 最後に、図P10の石狩版コージェネミレーションシステムについて説明がありました。
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 自然エネルギーや超電導送電も組み合わせながら地域におけるエネルギーをどう効率よく使っていくか。
電気や熱を使うところで作る、作ったところで使う、という地域分散型のエネルギー供給ができないか、検討中とのことでした。
超電導技術というものが、この実証を通して士気が高まって図のようなエネルギーシステムにも活用されて行くと、地域としてもさらに発展の可能性があるのではないかというお話しでした。

講義の終了後、山谷さんと宇野さんにふたつの実験をやっていただきました。

 山谷さんの実験は「物質の温度変化と電気抵抗の関係」を調べるものです。
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 実験 
銅・ニクロム・超伝導物質の3種類の金属の室温(約25℃)と液体窒素温度(-196℃)に下げたときの抵抗値を比べました。
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 超伝導物質は室温でも抵抗は少なかったが、液体窒素温度で「0」になるこ
とが分かった。また、銅とニクロムを比べると液体窒素温度にすると金属の抵
抗の変化に大きな違いがあることが分かった。

 実験は和気藹々の中で行われ、受講されたみなさんも目の当たりに超伝導物質のゼロ抵抗の現象を見て納得されたように思います。

 宇野さんの実験は、超伝導物質の「ピン止め効果」を利用し、宙に浮くミニリニアを走らせる実験です。
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 実験 
 ネオ磁石をレール上に2列に貼り付けたレールを作り、ジェットコースターのレール風にひねりを入れて上から滑り落ちていくように配置したものを用意する。
次に超伝導物質を中心に入れたミニリニアを液体窒素温度まで下げる。
下げたものをレールのスタート地点につけると張り付いた状態になる。
物体を軽く押すと超伝導物質の「ピン止め効果」により磁石のレール上を滑り出し下まで滑り落ちてくる。このとき、横になっても、逆さになっても落ちたりしない。
 今回の実験でもおよそ滑り落ちていく様子が観察できたので、受講さた方もリニアモーターカーの仕組みを理解されたのではと思います。こちらの実験も和やかな雰囲気で行われていました。

 講義、実験を通して、超電導が将来更に活用される物質であることを理解さたように感じました。
 今回、石狩市で行われている実証研究が成功し、課題解決に向けて更に多くの方の英知によって1日でも早く実用化されることを期待しています。

 




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