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講座8 『北のお天気』

第1回 「近年の北海道のお天気は異常気象ですか?」

2013/09/26

 9月19日(木)講座8「北のお天気」の第1回「近年の北海道のお天気は異常気象ですか?」を花川北コミュニティセンターで行いました。講師は、札幌管区気象台に勤務され、札幌管区気象台技術部気候・調査課、地球温暖化情報官の安部俊司さん、受講者は30名でした。

 記憶に残るここ数年の天気を考えるとやはり温暖化を思わせ、突風・集中豪雨が多くなり、北海道でも異常気象を思わせる天候が増えている。講師の安部さんも8月18日の森町の豪雨で函館に行けなかったというお話でした。そこでまず始めに主に北海道の天候を中心に「地球温暖化」ゃ「気候変動」の考え方についてお話がありました。
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 図1の2013年9月10日現在のデータから「2013年に、北海道で1時間降水量の年間記録を更新したアメダス地点」について説明があり、降水量の増加傾向が分かった。
図1
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 北海道に限らずこの夏は全国的に高温であった。南の地方ほど記録的な高温で、雨量は北の地方が記録的多雨で南は記録的小雨である。ちなみに、北海道の高温は史上9位で平年差は+1.2℃であった。
図2
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◇それでは、今年の異常気象ともいえる天気の原因は何か?
下の図に示したように、アジアモンスーン域の積雲対流活動が広い範囲で非常に活発で太平洋高気圧とチベット高気圧が優勢。日本付近の偏西風は北に蛇行するときと南に蛇行することがあった。さらに、インドネシアやフィリピン周辺の海水温の上昇も原因している。この結果、この夏は太平洋高気圧の中心から押し出すようにくるくる回り、高温で尚かつ高気圧の中心はからから天気の記録的小雨を、また、周辺部には記録的多雨をもたらしたようである。
図3
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◇これは地球温暖化のせいなのか!
「地球温暖化」ゃ「気候変動」は年ごとの変化で言わないそうで、少なくとも百年以上の長い傾向で語るべきものだそうである。
 下の図の例でも分かる通り、明治時代の高温も今となっては、単なる「平年並み」となれば、これは明らかに温暖化の影響と考えられる。
図4
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◇なぜ北海道は寒いのか
まず、地球レベルから考える。
・赤道に近いほど太陽高度も高く、空気層も薄い。極に近いほど太陽高度低く、 空気層も厚くなるので太陽エネルギーが減衰して暖まりにくい。
では、北であればあるほど寒いのだろうか。
・ロンドン( 北緯51°09′)と稚内( 北緯45°25′)を例にとって考える。
ロンドンの方が明らかに北にあるが年平均気温が3℃以上高い。その原因が海水温にあることが図5の「海水温の平年値」からも分かる。
図5 
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 稚内に面するオホーツク海や隣接する太平洋は冷たい海で、ロンドンに面する大西洋は緯度のわりに海水温が高い。
  海水温は、それほどまでに気候に影響を与えている。

  図6のように、北海道の気候は、大きく分けて5つに分かれる。図からも分かる通り、内陸部は日本でも一番寒暖の差が大きく、海に面する場所でも面する海によって気候が大きく異なることが分かる。
図6
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 それでは、いよいよ第1回の本題の「その北海道の気候が、今どのように変わっているのか」ということを膨大な資料と分析結果から説明がありました。

 まず、インターネットによって「地球温暖化」で探索するとYahooで414万件、Googleで77万件の情報があり、非常に関心の高い問題であることが分かる。
 世界の年平均気温は図7が示すように100年で0.72℃変化し、誰が見ても気温が上昇していることが分かる。
図7
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 氷床コアの分析結果から65万年前から今までの気候変動が分かるようになった。気候変動自体は温暖化しなくても起こるときには起こる「自然起源の気候変動」(人間のせいではない部分)と「人為起源の気候変動」(人間のせいで起こった気候変動~つまり地球温暖化)がある。
 自然起源の気候変動は地球の地軸の傾きと太陽と地球との距離の変化がそれぞれ何万年という周期で発生する(ミランコビッチ・サイクル)事によって起こる。
 人為起源の気候変動(地球温暖化)は20世紀半ば以降に観測された世界気温の上昇のほとんどは、人為起源の温室効果ガス濃度の増加によってもたらされた可能性が非常に高い。(IPCC第4次評価報告書)
◇温室効果ガスって何でしょう?
主な温室効果ガスには図8に示されている通り、温暖化には二酸化炭素の影響が非常に大きく、次にメタンが上げられる。逆に寒冷化の物質には火山灰、工場の煙、核のごみ等があるようである。
図8
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 また、温室効果ガスにより温度が上昇するしくみは、これらのガスによって温室効果をもたない気体にも作用して気温を上昇させ、地球からの赤外線を吸収して再び地球に放射するなど、特に二酸化炭素はその温室効果が大きい。
 では、温室効果ガスの変化を知るためにどのように観測してデータを取ったのか、図9で仔細に説明されている。その排出量は、工業化以降、人間活動により、1970年から2004年の間に70%増加した。
図9
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   世界各地に温室効果ガスの観測体制はあるが、日本の気象庁では岩手県の綾里、南鳥島、与那国島の3カ所で観測している。
  図10のデータからも分かる通り、二酸化炭素はこれからもまだまだ増えると予想されている。また、ガス濃度が夏にうすいのは木が吸収するためである。
図10
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◇二酸化炭素以外の気体についても、資料より、次のような説明がありました。
・メタン(日本3地点で測定)、一酸化二窒素(綾里で測定)は二酸化炭素同様増え続けている。また、フロン類(綾里で測定)は減っている。

◇では、北海道や札幌の気候はどうなのか?
図11の1898年~2012年の平気気温偏差から、北海道は100年で1.00℃、札幌は100年で2.42℃それぞれ上昇していることが分かる。また、その他の観測データから、札幌の冬日や真冬日は減っている。夏日や真夏日は長期的に見ると変化傾向はない。ソメイヨシノは開花が早まり(3.1日/50年)、ヤマモミジは紅葉が遅くなっている(7.8日/50年)ようである。ただし、札幌の場合は都市化の影響も考えられ「地球温暖化」ともまた、区別が必要である。
図11
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◇都市化(ヒートアイランド)とは?
 「人口が集中してる地域で、気温上昇・湿度低下等の現象が発生する」ことで、「都市がなかったと仮定した場合に観測されるであろう気温に比べ、都市の気温が高い状態」としても定義することができる。
◇気候の都市化(ヒートアイランド)とは?
+ビルの林立による空気抵抗の増加→風速弱まる→熱が逃げにくい
+ビルの林立により天空率減少→放射冷却弱まる→気温が下がりにくい
+地表面からの大気加熱→気温上昇
-植物からの蒸発散→気温上昇の抑制
-ビルが少ないことにより空気抵抗が少ない→気温上昇の抑制
◇観測データの長期変化に見るヒートアイランド
  図12から分かるように札幌と根室とでは明らかに札幌の方が変化が大きい。全国の主要都市の長期的な変化傾向と同様、これは地球温暖化の傾向に都市化の影響が重なって現れているためである。また、札幌の夏と冬を比較すると夏より冬に気温上昇が大きい。ヒートアイランドの影響は高温化だけではなく乾燥化もおこし、道内では札幌や函館の乾燥化が著しい。
図12
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◇次の図13は、 アメダス観測による北海道の1980年以降の年平均気温上昇率(℃/30年)を表している。場所によって差はあるが確実に気温は上昇しているのが分かる。
図13
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◇二酸化炭素はどこから来て、どこへ行くのか 
2002年~2011年で、地球上では、石油・石炭・セメント生産で8.3ギガトン、土地利用の変化で1.0ギガトンの二酸化炭素が増え、木々が吸収が2.6ギガトン、海洋吸収が2.5ギガトンである。おおよそ半分に当たる4.3ギガトンの二酸化炭素が大気中に残存している。

◇海洋の温暖化
海洋が、大気の熱を吸収することで海洋もまた温暖化する。

◇北海道のアメダス観測点における短時間強雨と8月の平均気温の関係
相関係数が0.61で、暑い年ほど多く、洪水をもたらすような豪雨が今後さらに多くなると予想される。

◇網走の流氷
網走では、流氷が見られる期間は、10年間あたり4.2日少なくなる傾向がある。流氷初日は10年あたり1.3日遅く、流氷終日は10年あたり2.3日早くなる傾向がある。

◇なだれ注意報の発表基準を満たした日数の増減
なだれ注意報を出す基準は日最深積雪が50㎝(胆振・日高は40㎝)かつ日最高気温が5℃以上の時であるが、増加しているところはみな気温だけが上がっている状態。

◇海面水位の変動
海面水位が上がる主な原因は、海水の熱膨張とそれに次ぐ陸氷溶解である。20世紀終盤の氷河の消失は、1970年以降の温暖化への応答あった可能性高い。
日本付近では偏西風の影響で海面水位は上がったり下がったりでその変化をはっきり捉えられないが世界的には海面水位は年々上がっている。どのシナリオでも100年後は20㎝前後あがると予想される。

◇では、将来どうなるのか?温暖化にも色々なシナリオがあり・・・    
今後、図14に示した中のどのような社会が進んでいくかによって地球温暖化のシナリオは大きく違う。このままいくと100年後には4.0℃上昇が予想される。
図14
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◇最後に3月15日発行の地球温暖化予測情報第8巻の色々な気象現象の100年後の予想についてお話がありました。
・将来、気温はどうなるか?
  北ほど気温上昇、オホーツク海の海水温の変化が大きい。

・将来、真夏日はとうなるか?
 真夏日は少し増える。沖縄は常夏に、札幌・石狩は10日くらい増える。

・将来、真冬日はどうなるか?
  北海道ではかなり減る

・将来、降水量(雨雪)はどうなるか?
  年間では増える。秋以外は全て増える。台風の数は減るが大型台風が増える。

・将来、短時間強雨はどうなるか?
  少し増える。

・将来、無降水日数はどうなるか?
  夏は雨日数増加、それ以外は乾燥化
・将来、積雪はどうなるか?
  積雪は減る。雨に変わる。

・将来、降雪量はどうなるか?
  どの月でも札幌~千歳~苫小牧ラインは減る。

・将来、EHIはどうなるか?
  夏は数値が上がる。特に日本海側は増える。
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◇受講生からの質問
・日本で最も古い気象観測所はどこで、また、温度計はどんな物ですか?
  日本で初めて観測したのは函館で、その時の温度計は推定ではあるがやはり ガラスのような細い管に水に何かを混ぜた物ではと言うことである。
・今年の夏は異常気象だったのか?
  気象庁で異常気象検討会を設けた。北海道も含めて、全国で異常気象と思われる高温、集中豪雨、竜巻などが起こっている。
・札幌近郊のアメダスの測定地点はどこか?
  小金湯、西野幌、生振
  この他にも活発に質疑・応答が行われました。

 膨大な資料を用意していただき若干時間不足を心配しましたが、分かり易く尚かつ手際よく説明していただき、質問の時間も充分確保することができました。地球温暖化の考え方も理解し、異常気象の原因も分かった気がします。
地球の温暖化は確実に進んでおり、それに伴って異常気象現象も威力を増してきています。100年後、200年後の社会を考えると恐ろしい気もします。
温暖化が人間生活に大きな影響を与えていることから、国やもっと大きな組織でしっかりした取り組みの必要性を強く感じました。




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