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講座16 『お茶の間目線の経済談義』

第2回“「TPP」を考える”

2012/02/16

 2月14日(火)講座16『お茶の間目線の経済談義』の第2回"「TPP」を考える"を花川北コミュニティセンターで行いました。講師は元銀行マンの辻正一さん、受講者は30人でした。

 今日のお話は前段と後段に分かれていて、前段はTPPに関わる用語の解説やTPPと云う考え方が生まれた社会背景などについての説明、後段はTPPと云う問題をどのように考えたら良いかについてのお話でした。

 辻さんはまず、今はそれぞれの立場で賛成、反対の議論があり、混沌としているが、そのような混沌の中でも、良い悪いは別にして、世の中の情勢としてTPPは進んで行くのではないか、と話されました。

16-2-2.JPG前段
1.TPPに関わる語句について
APEC・・アジア太平洋経済協力会議。加盟21カ国(豪州、ブルネイ、カナダ、チリ、中国、香港、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、ロシア、パプアニューギニア、フィリッピン、シンガポール、台湾、タイ、ベトナム、米国)
ボゴール宣言(1994)2020年までに域内投資、貿易の自由化を達成する。
FTA・・特定の国、地域間でモノ・サービスの移動に対する関税の削減・撤廃に関する協定。
EPA・・FTAを核にして人的交流、投資機会、知的財産保護、紛争解決など、幅広い経済交流自由化、経済関係強化を目指す協定。
ASEAN・・東南アジア諸国連合、現在10カ国が加盟(インドネシア、マレーシア、フィリッピン、シンガポール、タイ、ブルネイ、ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジア)
ASEANプラス3・・EAFTA,ASEANNプラス日本、中国、韓国。東アジア貿易経済連携構想。中国がロードマップを提出。
ASEANプラス6・・CEPEA、ASEANプラス日本、中国、韓国、インド、ニュージーランド、オーストラリアを含む貿易経済連携構想。日本が提唱。

2.TPPとは
多国間FTAのこと。特徴は、「高いレベルの協定」を目指すことにあり、「広範囲な・・」「例外なき・・」「関税及び非関税障壁の撤廃」を内容としている。
起源・・2006年にシンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイの4カ国が締結したFTA。これにアメリカを含む4カ国、さらにブルネイが参加を表明した。
特徴・・原則、即時ないし10年以内に加盟国間の関税の100%撤廃。非関税障壁(労働分野、制度問題など)の撤廃。ネガティブ・リスト(原則として規制がない中で、例外として禁止するものを列挙した表)方式。
背景・・これからの経済成長のセンターとなる東アジアに向けたもの。(世界経済交流の中心は大西洋から太平洋に移った)
内容は、21分野、24部会。

3.FTA、EPAについて
主要国のEPA、FTA
2国間或いは地域内のEPA、FTAが増えてゆくと、異なる内容の貿易ルールや自由化の例外措置などが入り乱れ、結局国際貿易システムを複雑にし、貿易を阻害することにもなる。(スパゲティ・ボール)
日本のEPA、FTA
発行済み―シンガポール、メキシコ、マレーシア、チリ、タイ、インドネシア、ブルネイ、ASEAN、フィリッピン、スイス、ベトナム
合意済み―インド、ペルー
交渉中―オーストラリア、GCC(サウジアラビア、クウェート、オマーン、カタール、バーレーン、UAS)韓国(中断)
アジアをめぐる模索
「日・中・韓」連携、「ASEAN+6」構想、「ASEANプラス3」構想、「4P(環太平洋戦略的経済連携協定)」発効、2006年FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)、2010年横浜ビジョン。

4.我が国におけるTPP論争
TPP論争には、正鵠を欠くものが少なくない。それぞれの立場で平衡感覚に乏しい試算が発表され、国論の収斂を混乱させている。また、輸出製造業と農業界で国論が2分している。
北海道への影響
北海道では、TPPが第1次産業に与える打撃が他府県より大きい。第1次産業が基幹産業であるばかりでなく、製造工業でもその40%が食品加工業である。国内競争で強い農業も、国際競争力は弱い。日本が比較優位にある製造工業においては、国内比較劣位である。北海道農政部はTPPの影響を1兆1,254億円と試算している。確かに、ミクロの影響は深刻と思われるが、マクロの影響については、時間をかけて考えていかなければならない。
北海道農業の重要性
北海道農業は、日本で重要な位置を占めている。特徴は、労働生産性は高いが、土地生産性は低い。
食糧安全保障と北海道
「強い産品」・・野菜、果樹
「弱い産品」・・小麦、大豆、甜菜、ジャガイモ、酪農、畜産
国家戦略としての北海道戦略が必要
農業に対して、北海道に対して、国の対策が遅れている。

後段
TPPを考える

1.自由貿易を巡る歴史的・地理的潮流と我が国

1930年の世界恐慌と保護貿易主義の台頭が第2次世界大戦の背景であるという認識と反省に立って、1944年ブレストンウッズ体制の枠組みとして「国際通貨基金(IMF)」「国際復興開発銀行(IBRD)]とともに、1948年「関税と貿易に関する一般協定(GATT)]が締結され、さらに1995年「世界貿易機関(WTO)]に引き継がれている。しかし、加盟国数の膨大なWTOは、各国の利害調整が進まないことから、「関税及び貿易に関する一般協定24条」に基づく、個別的FTAあるいはEPAの提携が盛んに締結あるいは折衝・研究が進められている。
その中で、TPPは、これからの東アジアの成長をにらみつつ、経済交流の表舞台となる太平洋を取り巻く位置にある各国が参加するFTAとして脚光を浴びることになった。

成長センターは、東アジアに移っている。
東南アジアの国々は、過去の歴史的経験から「地域連携」の大切さを知り、その一つの顕れがASEANである。ASEAN各国は、地域内FTAと併せ、地域の成長にとって経済先進国との繋がりが重要であるという認識の中で、域外FPAあるいはEPAの締結を研究している。また、大国との連携を希求しながら、一方で強い警戒感を抱いている。
中国は「東アジアの盟主」を目指して経済的影響力の構築と軍事プレゼンスの強化へ動いている。
アメリカは、雇用拡大などの国内事情からも東アジアとの関係強化は欠かせない。
中国とアメリカは、依存と警戒の関係にある。
中国は、最大のドル保有国であり、最大の対アメリカ輸出国でもある。
ロシアは、中国とのバランス維持のために日・米との関係を強化しつつ、中国との接近も図っている。
日本の成長戦略には、ASEAN諸国の成長を取り込むことが不可欠である。国際感覚と世界平和への哲学を実現する交渉能力が求められる。世界のバランスゲームを適切に乗り切り、尊敬され、影響力を持ち得ることが真の国益につながる。求められるのは、国内調整とあわせ英知ある外交力である。

16-2-5.JPG2.TPPと農業問題

日本が、TPPに参加した場合の最大の影響は、国際競争力に劣る農業問題である。しかし、農業問題は、TPP以前に解決を避けることのできない問題である。
日本の関税は、単純平均関税率4.9%と、そもそもそれほど高くはないが、778%の米は問題である。
これまでの農業政策は決して成功しているとは云えない。
構造的な問題として人口減少と後継者不足がある。
可能性としては、・安全高品質技術・耕作地集約によるコスト低減・株式会社化や農業工場など経営近代化・東アジアの富裕層向けの輸出促進・6次産業化(1次産業が食品加工、流通販売にも業務展開する経営形態)などがある。
変化の兆し
農業法人の萌芽、海外進出、小売業農家(低コスト農業、セブン&イレブン、イオン)、植物工場など

北海道とTPP
国内優位性を持つ北海道農業に対して、全国一律でない農業国家戦略が求められる。北海道では、農業の「大規模化」「第6次産業化」「輸出の育成」などの可能性が高い。
現在農業の近代化を遅らせている法律的、制度的、社会システム的な諸要素を北海道において排除する「農業特区」の考え方が必要である。
求められるのは、農業イノベーションを起こす起業家である。
面積約23%の北海道を日本にとってどういう役割を果たす地域にするかと云う国家的ビジョンが必要である。

16-2-7.JPGまとめ
TPPは論議を置き去りにしても進んでいくと思われる。TPPに留まらない戦略が必要である。

TPPについての3つの視点

1.TPPと関係なく国内改革が進められるべき問題が、TPPの問題として議論されている。その最大のものが、農業問題である。

2.我が国の将来は世界の地殻変動と無縁ではあり得ない。グローバルな観点から「したたかな計算高さ」が必要で、情緒的な論議を超える冷徹さが求められる。

3.TPP参加を別にしても、世界的視野からの国内改革がもとめられているが、その改革には痛みも伴うことも覚悟しなければならない。リーダーシップを取るひとびとは、"生まれる痛み"を説明し、そのことにどう立ち向かうかを説くべきである。

辻さんは、豊富な資料に基づき、順を追って丁寧に説明されたのでTPPと云う問題について大変良く理解することができました。次回の、これから何が起きるか、という講座も大変楽しみです。

 

 

 

 

 

 




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