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主催講座5「人生100歳時代~100年人生を有意義に生きるために~」

第2回「人生をもうひとつ~若返る高齢者~」

2020/11/28

 11月26日(木)、主催講座5「人生100歳時代~100年人生を有意義に生きるために~」の第2回「人生をもうひとつ~若返る高齢者~」を石狩市花川北コミュニティセンターで行いました。講師は、元北海道新聞社・編集委員でフリー記者の福田淳一さん、受講者は35名でした。

 福田さんは「みなさん、おはようございます!前回は朝倉先生が高齢社会について広範囲にお話をされましたが、私は、報道する立場から見た高齢社会ということでお話したいと思います」と言って、お話を始められました。
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 以下は、お話の概要です。

1.高齢化社会とは
(1)日本が高齢化社会に足を踏み入れたのは50年前の1970(昭和45)年
この年の出来事は、大阪万博開催(高度経済成長の象徴)、よど号ハイジャック事件、日本の人口1億人超え、札幌市100万人超え、三島由紀夫事件など。
これ以前の日本は、人口構成が若く、豊富な若い労働力や旺盛な消費力、人口構成が若いことによる社会保障費の少なさなどが高度成長を助けた。
(2)高齢者とは
・先進国や国際機関の定義では、65歳以上が高齢者
・高齢化社会―高齢化率が7%超え
・高齢社会―高齢化率が14%超え
・超高齢社会―高齢化率が21%超え
・高齢社会になったのは、1994(平成6)年
・超高齢社会になったのは、2007(平成19)年
高齢社会になってからたった13年と、急激に高齢化が進んでいるが、これは一方で少子化が急速に進んでいることも起因している。また、日本を追い越す勢いで高齢化が進んでいるのが中国や韓国。
・2020(令和2)年時点での高齢化率
日本全国で28.4%(4人に1人超え)、北海道は、31.7%(全国18番目)
・長寿社会と云う言葉もあるが、これは人の寿命が長くなった社会と云う意味で使われることが多い

2.老いのイメージ
(1)磯野波平さんは、何歳か?
漫画「サザエさん」のお父さん磯野波平さんは、54歳(55歳定年の1年前)に設定されているが、現在54歳の有名人の長嶋一茂さん、東山紀之さん、小泉今日子さんなどは波平さんより随分若い印象がある。⇒この数十年で、日本人は若くなった!
(2)日本での「老い」のイメージ
・江戸、明治時代は、老師、老中、大老、家老、元老など成熟を意味する肯定的なイメージ(反面、姥捨て山などのイメージも)
老人には、一次産業に役立つ知識、知恵がある。
・戦後の近代化の中で、その価値が減少
・最近ではさらにイメージがダウン
(3)エイジズムと高齢者神話、年齢差別
・エイジズム―年齢差別、特に高齢者に対する差別、人種差別に次ぐ第3の差別?
・高齢者神話(金子勇「高齢期の社会保障」より)
老化は年齢で決まる、健康を害している、非生産的、頭脳は若者のように鋭敏でない、誰もが同じ、恋愛や性に無関心など。
(4)マスコミの高齢者、高齢社会報道
「漂流」「難民」「下流」「逆走」「認知症」「老々~」「孤立」「無縁」などマイナスイメージの用語が多い。これは、介護、認知症、スーパー老人など極端なものに反応するマスコミ報道の特徴。平凡なものはニュースにならない。

3.寿命と人生100年
(1)平均寿命
女性87.45歳、男性81.41歳(2019年)
※どうして平均寿命が延びたのか⇒子どもの死亡率の低下も原因
(2)平均余命~各年齢から平均的に生きられる年数(厚生労働省 2019年簡易生命表より)
・男性
60+23.97=83.97、70+15.96=85.96、81+8.59=89.59、90+4.41=94.41
※平均寿命まで生きた男性の平均寿命は約89歳
・女性
60+29.17=89.17、70+20.21=90.21、80+12.01=92.01、87+7.30=94.30、90+5.71=95.71
※平均寿命まで生きた女性の平均寿命は約94歳
(3)「人生100年時代」
・「ライフシフト 100年時代の人生戦略」(東洋経済、2016年)
2007年生まれの半数が達する年齢は、日本107歳、アメリカ、イタリア、フランス、カナダ104歳、イギリス103歳、独逸102歳。
(4)人生の10万時間
・成人になるまで
14時間×365日×20年=約10万時間
・現職時代の労働時間(実労働+通勤など拘束時間)
10時間×260日×40年=約10万時間
・リタイア後の自由時間
14時間×365日×20年=約10万時間
※一つの道のプロになるのに1万時間かかると云われるが、リタイヤ後には、それの10倍もの時間がある
(5)高齢者は75歳から(日本老年学会の提案、2017年1月)
・65歳~74歳
准高齢者、准高齢期
・75歳~89歳
高齢者、高齢期
・90歳以上
超高齢者、超高齢期
(6)「歯」+「令」=「齢」
・日本歯科医師会の8020運動
80歳になっても20本以上自分の歯を保とう。
・歯20本の年齢
1957(昭和32)年―男性55歳、女性48歳。2011(平成23)年―男性、女性とも68歳。
(7)歩くスピード
老化の指標のひとつだが、今は昔より10年若返っている。

4.変わる高齢者
(1)ジーンズを持っている人は?(北海道新聞 2018年9月17日朝刊より)
・1992(平成4)年
ジーンズを持っている人は、20代(全国)93.2%、60代(札幌)24.7%。
・2018(平成30)年
20代82.8%、60代75.3%と高齢者の意識が変わっている。
(2)札幌の60代の好きなテレビ
・1998(平成10)年
①大相撲(2018年29位)②旅行・紀行もの③プロ野球④ニュース④報道番組(含む討論会)⑥時代劇(2018年13位)⑦ドキュメンタリー・ルポ⑧ホームドラマ⑧洋画⑧演歌(演歌・民謡・浪曲2018年53位)
・2018(平成30)年
①気象情報・天気予報②国内ドラマ③国内ニュース④洋画(欧米)⑤プロ野球・パリーグ⑥情報バラエティー⑥ドキュメンタリー・ノンフィクション⑧邦画⑨ワイドショー⑨旅行・紀行番組
※志向が大きく変わった

5.高齢者の能力
(1)高齢者の能力
・流動性知能―新しいことに対応する能力
60代から緩やかに低下。80代で20代の8割。
・結晶性知能―問題解決の能力など
60~70代前後まで緩やかに上昇。80代で少なくとも若者と同程度。
※この能力は若者に勝る
(2)知的能力を維持するには(北海道新聞2014年1月11日付け夕刊、高山緑・慶応大学教授)
・キーワードは、「人とつながる」
知恵のレベルの高い高齢者は、同世代だけでなく若い世代ともつながりを持つ傾向がある。読書、好奇心、開放的な性格が必要。
・有酸素運動(歩く、走る、泳ぐ)を行う
脳の血流が増し認知機能が改善されるといわれる。
・使い続ける事が大事
流動性知能は、60代から落ちるが、リタイア、子育て終了も理由。使い続ける人は、60代、70代でも高く残る。
(3)「すぐ死ぬんだから」(内館牧子著)から学ぶこと
「60歳を過ぎたら、年齢相応に見られてはならない」を信条とする忍ハナが主人公(78歳)。内館さんの後書き~年齢を取れば取るほど、見た目に差が出る。「すぐ死ぬんだから」は、セルフネグレクト。

6.「健康寿命」と「平均寿命」
・健康寿命
健康の理由で日常生活が制限されることなく生活できる期間。2016(平成28)年で、女性74.79歳、男性72.14歳。国民生活基礎調査によると、65歳の人は、女性であと16年、男性であと14年は、健康寿命がある(研究者試算)。
・日常生活に制限のある不健康期間
平均寿命から健康寿命を引いたもの。厚生労働白書によると、女性~87.14-74.79=12.35(年)、男性~80.98-72.14=8.84(年)。おおまかに10年前後の不健康期間がある。なお、不健康期間は、要介護や寝たきりだけではなく、外出、仕事、学業など日常生活が制限される期間も含む。
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7.外国人から見た日本の高齢化社会
「コロナ後の世界」(文春新書)より
・ジャレド・ダイヤモンド(米国カリフォルニア大ロサンゼルス校教授82歳)
「日本の高齢者の健康状態はエクセレント(優秀)。問題は、日本の高齢化ではなく定年退職というシステム(アメリカでは一部職種を除き定年制度は違法)。開国⇒敗戦⇒新たな価値観を」
※社会を活性化する方法の一つは、若い人の活躍の場を奪わない条件下で、元気な高齢者に社会参加してもらうこと
・リンダ・グラットン(ロンドン・ビジネススクール教授65歳)
「60歳は年寄りではなく、年寄りと言えるのは80歳以上。日本の健康寿命は各国に比べ非常に長い。年を取るのは、わくわくすることでなければならない。戦後の再建と同じエネルギーを個人、家族、健康に注ぐこと」
※国内では、高齢化は困った事と受け取られるが、見方を変える(外国から見る)とけっこう肯定的な面もある

 以上が本日のお話のあらましですが、福田さんは最後に、米国の詩人サムエル・ウルマンの「ときには、20歳の青年よりも60歳の人に青春がある。年を重ねただけで人は老いない。理想を失うとき初めて老いる(角川文庫"青春とは、心の若さである"作山宗久訳より)」と云う言葉を紹介してお話を閉じられました。

 高齢化社会が始まった50年前から超高齢社会となった現在までのお話は、具体例を挙げながらの分かりやすいものだったので、私たちができるだけ健康寿命を延ばして生き生きとくらす為にはどうしたら良いかを知るうえで大変参考になるものでした。

 最後に受講者から寄せられたコメントをいくつかご紹介します。
「今日のお話で、高齢、超高齢になることは悪いことばかりではないと言うことで少し安心。健康寿命を長く保つことでまだまだ若い人達への助言や手助けができるのではないかと思い、自分自身の努力が必要だと考えています。年をとっても何か社会の役にたてるボランティアなどしたいと思っています」
「平均寿命という考え方で今後の人生が思った以上に長生きすることを知った。これからの生き方を考えなければ。米国に定年がないということ、驚きでした」
「各種のデータを使って高齢者像の変化の解説で面白かった。改めて寿命、特に健康寿命が伸びていることが分かった。参考になりました」
「『青春とは、心の若さである』と自分に言い聞かせて生きていきたいと思っています。本日の講座は、参考になりました」
「現代は、高齢者75歳から、超高齢者は90歳以上。2000年代生まれの方は、100歳超えるのは当たり前の時代になるそうですね。リタイヤ後の自由時間を健康寿命を保ち(エクセレント)優秀で質の高い世の中に貢献していける様暮していく大切さを学びましたよ。有難うご座居ました(藤田様始め委員の皆様)」
「大変聴きやすく分かりやすく楽しいお話、ありがとうございました。次回もとても楽しみにしています。納得の一言!!日々実感しているところです」













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