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主催講座9「地震予測研究と石狩市の防災の現状」

第1回「胆振東部地震をどう見る!」

2019/09/26

令和元年9月19日(木)、主催講座9「地震予測研究と石狩市の防災の現状」の第1回「胆振東部地震をどう見る!」を花川北コミュニティセンターで行いました。講師は北海道大学大学院理学研究院附属地震火山研究観測センター長・教授(理学博士)の高橋浩晃さん、受講者は40名でした。
先生は、「今日は、昨年起こった北海道胆振東部地震についてどういうことが起ったのかを説明させていただこうと考えています」と始められました。以下その概要を紹介します。
19,9,1,1.jpg
地震はどこで起こる?
・基本的には、どこでも起こります
・活断層がなくても起こります
・海岸で起これば津波が来ます
いつ起こるの?
・いつ起こるかわからない  予知はできません
・事前の対策しかありません
地震と気象災害の大きな違い
・風水害や台風、暴風雪などは、現在は1週間前ぐらいから予測でき、気象庁はメディアを通じて発信するので事前の対策を講ずることが出来る
・地震は予知が出来ないために起こってから何かをやるということはできない。被害に遭わないためには事前に何らかの対策をしておくしかない。19,9,1,2.jpg胆振東部地震の災害
・胆振東部地震のとき、石狩は震度5弱程度であったが皆さんが経験した地震の中で一番強い揺れであったと思う。
・北海道で震度7を観測したのは初めてで、気象庁のデータが残っているのは戦後以降、戦前の記録を調べても明治以降で一番強い揺れであったことは間違いないだろうと考えている。
胆振東部地震で何が起ったか
・同時多発斜面災害
斜面が崩れ、地すべりが起こり、多くの死者が発生
・ブラックアウト
厚真には北海道最大の石炭火力発電所がある。送配電網の破損により全道295万世帯が停電し、被災地が全道に拡大した。
・液状化
札幌市の清田区や北区などの宅地で甚大な被害
・家屋全半壊
地震発生が未明でもあり人的被害なし
地震による斜面崩壊・地すべり
・地震では普遍的に発生
2004年新潟中越地震  2007年岩手宮城内陸地震
2011年東日本大震災  2016年熊本地震
・防ぐのが難しい災害
地震発生と同時に発生 ハード・ソフトともに対応が困難
中山間地での共通課題
どんなところで地すべりが起こったか
・同時多発斜面崩壊simin.png左が地震前の写真で、右が地震後の写真。50%以上が崩落
・被害の大きかった厚真町吉野地区simin2.png右が地震前で、左が地震後の写真
・なぜ山際に住んでいたか
流れていている川がしばしば洪水を起こすので、洪水のリスクの少ない山側に家屋を建てた。そのために被害が大きかった。
・送電網の被害simin3.png大きな岩が500mほどずれたことにより鉄塔も500m移動し切れてしまった。
様々なことが発生したため電力の融通が出来なくなりブラックアウトにつながった。
斜面崩壊による人的被害
・避難時間は「なし」
京大防災研の竹林先生のシミュレーションでは地震発生後6秒で家屋に到達
・土砂災害警戒区域での居住制限以外の具体的な対策は難しい
なぜ厚真で地すべりが起こったのか
厚真町付近の地層を調べた結果、表層に柔らかく厚い火山灰が堆積していたことがわかった。
・厚真から新千歳空港まで火山灰が堆積していることが知られている。
・原因は2つの要素が重なり合ったために起ったと考えられる。
①震度7という強い揺れ
②その場所にもろい火山灰土が表層に堆積していた。
厚真町吉野地区の指定状況
・「急傾斜の崩壊」指定地なっている(国が法律で指定)
厚真町の山中の厚幌遺跡(4000年前の遺跡)が今回とは別の地すべりによって埋没していたことが2012年にわかっていた。
数千年単位で起こる災害にどう向き合うかという社会の問題。
石狩市の災害警戒区域simin4.png・石狩市花川などの平地にはない
・厚田や浜益の傾斜地には急傾斜地指定個所があり、地震の時には崩れる可能性がある。
揺れについてsimin5.png・今回、石狩花川では震度5から5弱
・震源の近くでは震度7から6強と非常に強い揺れ
・札幌や石狩付近では揺れすぎているという問題あり
上の図、右側は今回の地震の分布、左側は震度の予測(国の想定)
もし、今回と同じように厚真町付近にある断層が動いて地震が起きたときに、どういう震度になるかをシュミレーションして出したもの。
・赤いところが震度6より強い範囲
・注意点は、今回の地震のマグニチュードは6.7、左側の国が想定した大きさは7.7
・その場合でも札幌や石狩は震度4ぐらいにしかならない(緑のところ)と想定していた。しかし、札幌東区や石狩などでは震度6とか震度5になった。【揺れやすい】
揺れやすい原因simin6.png・揺れやすさマップ(国)
地震の波がどれぐらい増幅されるかを示したもの
赤いほど揺れやすい、石狩は黄色、赤と黄の境が札幌と石狩の境界。札幌は他地域に比べて1.5倍~2倍、石狩は1.2~3倍揺れやすい。
①地盤が悪い泥炭地が広がっている
②柔らかい堆積層が5㎞ぐらいの深い所まで堆積している
・柔らかいものが厚く溜まっていると地震の波が増幅される
・札幌駅の南側は地盤が良く揺れにくい。駅より北は泥炭で地盤が悪く揺れやすい
・石狩が黄色くなっているのは砂丘があり地盤的にはよい
・石狩低地帯は揺れやすいことを念頭に置いて地震の揺れの予測などをやり直すことも必要
軟弱地盤が揺れを増幅
・軟弱地盤では地震の波が伝わる速度が遅くなり揺れが大きくなる。simin7.png液状化はなぜ起こったか
・石狩市でも液状化は発生したが大きな被害にはならなかった
・札幌市では東区、北区、清田区里塚では震度5強で大規模な液状化が発生した
どんなところで
・地形図で見るとよくわかる
2018年の地形図との比較でみると、1916年の地形図では等高線がはっきりと書かれており、国道36号線が曲がっているところは谷地形のところである。今回、谷埋め盛り土のところで液状化が発生した。
液状化は繰り返す
下の図は地形を色で表したもので、赤い丸で囲んだところは今回液状化が起こった場所。simin8.png・昔、川だったところで2018年の液状化が発生している
里塚や清田では昔から何回も液状化が発生していることが知られている。
・周りの高い台地を削って谷を埋めて(谷埋盛土)宅地化
柔らかい土で埋めても水が溜まって地下水面が上昇し、流動性を持つ。
今後もより強い地震が起こった場合は液状化するのは間違いないと考える。
人工衛星による地盤監視
・人工衛星で写真を撮り、地震の前後での地盤変化を見る技術
・液状化を衛星データで即時把握
国土交通省国土地理院では4日後の2018年9月10日に公表。simin9.png札幌市の対策
・札幌市は公費を投入して地盤強化工事をしている
・もっと大規模な地盤沈下が起ったときにも出来るか19,9,1,2,1.jpg石狩市には大規模な盛り土造成地はありません
・液状化の跡はあります
・液状化は盛土がなくても自然のところでも起こる
北海道では、千島海溝で大きな地震が起こるとが予想されている。地震が起こると札幌や石狩では震度6以上の地震が5分~10分揺れ続ける。いたる所で家が傾いて大きな社会的問題になるのではないかと危惧される。
・宅地の問題は以前からあった
2011年の東日本大震災では仙台市内や東京湾岸の埋立地でも大規模な液状化が発生している。
・地盤の悪い地域は市街化調整区域に指定
住めないようにする取組が進む
今回の地震はどんなところで起こったか
・特異な深さでの地震
大きな特徴は、深さ35㎞の所で起こったこと
普通25㎞までの深さで起こる
・原因は、地下構造の複雑さに特徴があるsimin10.png北海道の中央部にある日高山脈は、1500万年前くらいに、東と西から強い力で押し上げられて盛り上がって出来た。下の方にも盛り下がってできた構造がある。今回はこの深い所で起こったのが原因ではないかと考えられている。
石狩低地東縁断層帯との関係simin11.png今回の地震の場所は厚真町のあたりで、隣には主要活断層(石狩低地東縁断層帯)がある。
・地震はこの石狩低地東縁断層帯で起こったのではない
余震を調べてみると、国(地震本部)が想定したものと形も深さも違う。
・活断層が動いていないということは、溜まっている活断層のエネルギーは使われないで残っていることになる
○地震のエネルギー
・石狩低地東縁断層帯付近では過去にマグニチュード7.7の地震が何度も起こっていることがわかっている
・今回の地震は、マグニチュード6.7であった。マグニチュード7.7の地震と比較すると30分の1の大きさであるsimin12.png○冬季にブラックアウトが起こったらsimin13.png・平均気温がマイナスの場合は、室内にいても低体温症になる
停電の災害対応へのインパクト
・札幌市直下地震の被害想定(月寒断層)表.png・冬季避難者の増加は、停電で暖房器具が使えないことによる
・停電の場合、避難所でも暖房利用は限定的となる
停電で懸念される2次災害
・北海道の家は高性能・気密性・高断熱
・北海道のストーブは煙筒かFF暖房
・道民は「換気する」意識が低い
・換気せずにストーブ・発電機をたくと一酸化炭素濃度が上がる 
静かに死亡
・北海道胆振東部地震でも屋内で発電機使用によるCO中毒で死者2名発生
何から情報を得たか?
・ラジオ  家族・友人  防災アプリ  テレビ
・ラッジオは必須アイテム  電池で動くラジオの常備
・情報の「信憑性」の確保をどうするか
胆振東部地震の「うわさ」
SNSや口コミで流れた「うわさ」
・これから断水する・自衛隊情報 8日朝に本震が起きる・苫小牧で地鳴り 地震が起きる
善意のツイート・LINEが大多数か
時に正しい情報も含まれている
今後も、SNSで「うわさ」は流れるsimin14.png気象庁の余震情報
・余震は、地震の直後(1週間程度)が多く次第に減っていく
・減り方は、地震によって異なるのでしばらくデータを見ないとわからない
今回の地震の災害報道でのポイント
⒈地震の規模(マグニチュード)が、国の想定より1小さかった
今回M6.7 ⇔ 国指定M7.7・マグニチュード1増はエネルギー30倍
⒉より多くの地震がたて続けに起こるケース
2016年の熊本地震では、震度7の地震が2回発生。1回目の地震で油断して、2日後の本震で大きな人的被害
⒊余震の減り方は普通
余震は必ず起こる 1週間以内は可能性大
災害報道についての2つの考え方
人命優先の立場(気象庁等)
・科学的に、命に関わる被災の可能性がある事案・事例は強く伝える
←より大きな地震発生の可能性に言及(地震後1週間程度は強く、その後は徐々に弱いトーンに。今回の私のスタンス)
経済優先の立場(経済学者等)
・大きな余震発生への言及は風評被害を誘発する可能性があるので控えた方が良い
・あたかも余震が「風評被害」を誘発したかのような物言い
耐震基準と建築基準法
・建築基準法では、震度7に1回は耐えること
・地震の特徴 余震が必ず起こる
・余震で壊れてもOK  余震の震度4で壊れる可能性も
こういうことがあるので「余震に注意してください」と言う
震度6以上では絶対に建物に入らない
・応急危険度判定を待つ
地震の予知予測はできません
日に地震が起こる」はデマです
地震経過日数で発言を変化させた
最初の1週間:危険性を強く指摘
1週間目以降:経済復興押しへシフト
なぜトーンを変えたのか
優先順位に従った対応である
・まずは人命第一   2次災害は必ず防ぐ
・「復興」は経済復興である
どのように伝えるのが良いのか
災害が起ったときにできるだけ声を大にして叫ぶのが良い
・災害救助法  激甚災害の指定が重要←声が霞が関に届く、
今回千葉県では激甚災害に指定されていない
・北海道の場合は全道が適用 避難所開設や経費はほとんど国が拠出
厚真町の復興は、厚真町や道の資金だけでは無理←国費投入
「北海道胆振東部地震」
地震の名前の問題   賛否両論
・北海道全体が被災地と見られる 観光客が自粛して来ない
・「北海道」があるのがいけない 風評被害
・[胆振」なんて誰も知らない 「北海道」だから全国が応援
・「北海道」とあるから激甚災害がつき、復興割もついた
災害復興のためには国からお金を持ってくることが重要だと思っている。
住宅の再建
基本的に個人の資産には公的な補償はしないのが国のスタンス
・自分で防衛しないと誰も守ってくれない
・事前に経済的な備えをしておく 
災害対策の転換
事前復興
・もし被災したら、どのように復興するかを決めておく
・被災後に合意を得るのは極めて困難な作業
・「事前復興」の視点で合意を得て進めていくことが重要
東日本大震災から9年経ってやっと土地のかさ上げや造成が終りつつあるが、住民が居なくなった。
・どう復興するかという合意を得るのに時間がかかったため
個人でも行政でも事前に準備しておくということが、被害を最小限にする有効な手段である。
最後に、今回の教訓を生かすことが大事だと思っています。特に、家の再建が非常に大きな問題になってくるので、個人としては経済的な備えをきちっとしておくことが大切であると思います。
以上で講座は終了しました。今日の講座で、地震や自然災害多発する中で生活している私たちが、知っておくべき知識と持つべき防災意識や備えについて理解を深めることができました。
終わりに受講者の感想を幾つか紹介します。
「どうして胆振東部地震が起きたのか、清田の液状化が起きたのか、わかりやすく説明受けました。花川が揺れにくいことがわかって少し安心しました」「地震についての理解が非常に進みました。今後の対応について明快な解説を頂き大変役に立ちました」「北海道のどこでも起こること、予知はムリ、事前の対策をしっかりする大切さ等を詳しく説明して頂き、大変良い講座で感謝申し上げます」「地震に対して最低のものは用意しておきたい。叉家族にも話しておきたい」「大変わかりやすいお話でよかった!日頃雑多な(地震に関する)情報しか持っていませんでしたので、ポイントを押さえた講座は勉強になります。地震に対する正しい知識を得てはじめて冷静に対応策(予防策)をとることが出来ると思いました。やはり生の声(研究者)を聞くと切迫感があります。自己防衛策たてます。」「土地を販売したり、まちづくりにマイナス面の急傾斜地、沢、谷などに知らずに住まわせるのは人災です。建築基準法の見直しが欲しい。二次被害をどう防いだら良いのでしょうか。油断大敵!そなえよ常に!」「石狩には大規模盛土造成はないと、石狩のホームページには書いてあるそうですが、油断することなく地震に備えたいと思います。ニュースや新聞で地震の報道は理解しているつもりでしたが、今日の講座で改めて緊張感をもって拝聴しました」
           
           



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