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主催講座1「誰も知らない石狩海岸の素晴らしさ」

第1回「全国的にも貴重な石狩海岸を知っていますか?」

2019/05/14

 5月11日(土)今年度最初となる主催講座1「誰も知らない石狩海岸の素晴らしさ」の第1回「全国的にも貴重な石狩海岸を知っていますか?」を花川北コミュニティセンターで行いました。講師は、北海道大学大学院農学研究院 花卉・緑地計画学研究室講師の松島肇さん、受講者は51名でした。

 お話に入る前に「海岸と言われて、皆さんはどんなイメージを持ちますか?」との問いかけがありました。「多くの人は、自然な砂浜をイメージするのですが、実は自然な砂浜は少ないのです。今日はそんなお話をしたいと思います」
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 本日のお話の主なポイントは
1)海岸という景観
2)日本の海岸・北海道の海岸
3)砂浜海岸:海岸砂丘系という景観
4)石狩海岸がなぜ貴重なのか?
の4つ。

1)海岸という景観
・海岸の景観は色々
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・また、離水海岸(海底が隆起あるいは海面が低下した)と沈水海岸(陸地の沈降あるいは海面が上昇した)に分けられる
・沿岸流による地形
砂嘴、砂州、陸繋島、潟湖など
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・海岸の定義―通常大波の限界線(後浜の陸側まで)まで
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・海岸は、自然海岸、半自然海岸、人工海岸に分けられる
自然海岸―海岸線に人工構造物がない海岸
半自然海岸―海岸の一部が人工で潮間帯は自然な海岸
人工海岸―埋立等により人工的につくられた海岸
※定義されている海岸より内側については考慮されていない(海岸の内側に人工物があるかどうかは考慮されていない)
2)日本の海岸・北海道の海岸 
・日本の海岸は、海岸線が長い
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・世界の海岸線比較
トップはカナダで日本は6位
・日本では、古くから海岸地域に人々が定住。日本庭園にも海岸を模したものが多い
・全国と北海道の比較(1998年)では、北海道は砂浜が多く、自然海岸の比率は60%くらい、全国では55%くらい。今はもう少し低下
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・北海道では、自然海岸の比率は、古くから人の住む胆振、渡島などは少なめ、根室、北見などは多い。石狩も多い。人口密度の多い所ほど自然海岸が少ない傾向だが、石狩は例外で密度が高いのに自然海岸が多い
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3)砂浜海岸:海岸砂丘系という景観
・海岸砂丘系(砂浜海岸の本来の姿)
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・回復力(レジリエンス)を持つ
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但し、このような回復力を持つためには、砂が供給される必要がある
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※近年は、川の護岸工事、ダムの設置などにより供給される砂が少なくなっている。 
・回復力を持つには、海浜植物の存在も大きい
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※海浜植物は、乾燥、塩分、飛砂、貧栄養等の環境には強いが、背の高い植物との光の奪い合いには弱い。
存続するためには、攪乱が重要となる。
4)石狩海岸がなぜ貴重なのか
大都市近郊に位置しながら、自然度の高い砂浜海岸(自然草原である海岸砂丘と天然の海岸林)が存在する。砂浜と海岸草原、森がバランスよく残されている。
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・石狩海岸が自然度の高い砂浜海岸であることは、上空から見ると、帯状に色の変化があり植生の変化が成帯構造を形成していることからも分かる
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・石狩海岸には、海浜植物群がひろがり、アカダマスッポンタケやイソコモリグモ等貴少な絶滅危惧種も生息している
・日本の土地構成で、自然草原は1.1%。海岸草原になると0.1%しかない
・植生自然度10(自然林は9)とされる自然草原が30%以上残されている海岸は、北海道以外は下北半島(猿ヵ森砂丘・自衛隊の弾道試験場)や離島地域を除いて本州にはほとんど残されていない
・自然堤防としての海岸砂丘の役割
石狩の海岸には、4~6mの第一砂丘とその後ろに8~12mの第二砂丘があり、云わば自然の防潮堤となっている。これは、コンクリートの防潮堤とは違い、自然回復力があるので維持管理を必要としない。
5)海岸砂丘の生態的サービス
自然堤防として防災・減災機能を持ち、レクリエーションの場を提供してくれ、地下水を涵養、動植物の生態基盤となっている。
6)他地区の事例
・宮城県名取市閖上地区
東日本大震災の後、海浜植物は回復していたが、結局それを削り防潮堤が設置された。設置後もメインテナンスの必要な防潮堤ではなく砂丘を活かす方法はなかったのか?
・オランダの事例
海面より低い国土が多いので、砂丘を利用している。

 以上がお話の概要ですが、最後にドローンで写した石狩海岸の映像が流されて、本日のお話の内容を目で見る事で実感、納得することができました。
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 石狩海岸の貴重さや素晴らしさが良く分かるお話でした。

 受講者からも多くのコメントが寄せられましたので、その一部をご紹介します。
「ドローンの画像を見て、一目瞭然でした」
「分かりやすい講座でした。改めて大切にしなければと思いました」
「石狩の海岸は貴重なことが解りました」
「自然の生態系の素晴らしさに感動しました。ありがとうございました」
「海岸が貴重な石狩の宝であることがよくわかりました」
「心のこもるお話で、石狩浜の事がよくわかりました。石狩は、はまぐりやほた貝やその他の動物が沢山住みお花もとてもきれいな浜です。この浜は長くずっと連なって行く事を本当に願っています。私はハマナスの花で果実酒を作って函館の友達に石狩の良さを知ってもらっています」
「石狩に住んで40数年、知らなかったことが多く大変良い話でした。こんな良い話の内容の項目を選択された事務局に感謝します」
「小学二年の時から札幌より石狩本町へ来ました。成人して約60年前に花畔に移住しました。その後何度か訪ねましたが、砂丘が近くに感じ不思議に思っていました。とても分かりやすいお話でした。ただただ風が強く寒い印象でしたが誇りに思われました。新しい知識、ありがとうございました」
「車道の中央分離帯にこんもり繁ったハマナスを見かけますが、はまなすの丘公園のハマナスは何故地面を這っているのか?砂と塩の影響かとは思っていましたが松島先生の講義で納得しました」
「貴重なお話を聞けて良かった。オランダの例は興味深かったです。石狩海岸を愛を持って大切に研究されていることが伝わりました。石狩浜海浜植物保護センターの活動やファンクラブの皆様やボランティアで協力している人達の努力を感じると共に敬意と感謝で一杯です」
「美しい景観の映像がプロジェクターのせいか、あまりはっきり見えなかったのは残念!」




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