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主催講座15「日本への異文化の伝来を学ぶ」

第3回「スパイスの伝来」

2018/02/09

 2月6日(火)、主催講座15「日本への異文化の伝来を学ぶ」の第3回「スパイスの伝来」を花川北コミュニティセンタ―で行いました。講師は、歴史探訪倶楽部 シルクロードの会・主宰の粥見隆雄さん、受講者は52名でした。
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 前回同様、会場には関連の書籍や写真、資料が所狭しと並べられて、受講者はお話が始まる前から様々な事を学ぶことが出来ました。受講者にできるだけ多くの事を伝えようとする粥見さんの姿勢には頭が下がります。

 以下に今回のお話の概要をご紹介します。

◇正倉
奈良・東大寺にある宝物庫。元来は正税を納める倉庫のことで各地にあったが失われてしまい、現在は東大寺の物を指す。
高床式で、南倉、中倉、北倉に別れる。南倉と北倉は校倉造。主に光明皇后が東大寺盧舎那仏に献納した夫・聖武天皇遺愛の品々が保管されている。膨大な宝物と共に薬物60種がある。宝物の由来は、ペルシャ、西域、中国等多地域に及びシルクロードの東の終着点と云われる。
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〇保管されている、薬物や香木、香炉など
・五色龍歯(旧象《化石象》の臼歯で、鎮静剤として使われた)
・桂心(桂皮、保温発汗、解熱、鎮痛)、大黄(消化、胃腸蕩滌)
・紫檀金鈿柄香炉(したんきんでんのえごうろ、僧侶が香を焚き供養するための香炉)
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・漆金薄絵盤(うるしきんぱくえのばん、仏前に備えた香炉)
・銀薫炉(ぎんくんろ、中の鉄炉で香を焚く)
・黄熟香(おうじゅくこう、インド、東南アジアなど南方産香木で蘭奢待《らんじゃたい》とも呼ばれた、足利義政、織田信長、明治天皇などが截香した)

◇香の歴史
1)伝来【飛鳥時代】
538年(552年とも云われる)に百済から仏教が伝来した時、仏像や経典とともに伝わったと考えられている。
日本書紀には、推古天皇3(595)年、淡路島に香木が漂着したと書かれている。
2)貴族の教養としての薫物(たきもの)【平安時代】
奈良時代後期に、住居に香を薫く習慣が生まれた。これは、空薫(そらだき)と呼ばれ、仏の香と区別して薫物が用いられた。薫物とは、種々の漢薬香料の粉末を調合し蜂蜜や甘蔓などで丸薬状に練り合わせたもの。さらに、平安貴族の嗜みとして衣裳にも薫かれるようになった。やがて、宮廷で流行した「歌合」「絵合」など「物合、ものあわせ」のひとつとして、「薫物合、たきものあわせ」が知的遊戯として貴族社会に定着していった。
3)お香の遊戯化―組香【鎌倉~室町時代】
鎌倉時代には、武士の嗜好や美意識によって1本の沈香の香りを聞くこと(聞香、もんこう)が流行した。これは、大陸との交易で香木の入手が容易になったことと栄西による禅宗の影響がある。さらに、一木の沈香を嗜むことから味わいの違う香りの異同を当てる競技「組香」が流行した。やがて、香を聞く形式や様式が整えられ、香は芸道として発展していく。
4)香道の完成【江戸時代】
経済力を持つようになった町人にも香が広がった。歌舞伎などの影響で、「伽羅、きゃら」への強い憧れも生まれた。香を鑑賞するための作法が整えられ、遊戯の香が「道」として確立されていく。
5)和文化の再発見【明治時代~現代】
「御一新」で、これまでの価値観がゆらぎ、茶や香は旧弊として一旦は衰退する。しかし、明治20年頃になり、欧米人による和文化発見に伴って、日本の伝統文化への見直しの機運が高まり、茶や香は、芸道として大成されるようになった。近年は、高度経済成長の崩壊により、本物の生活の豊かさや日本人としてのアイデンティティーが求められ、香は再び人々の暮らしと感性を豊かに彩るためのものとして認識され始めている。
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◇香道のはじまり
室町時代に、香当て競技のような遊びが流行り、応仁の乱後、この香遊びが「香道」と云う座の芸術としての形式を整えていった。三條西実隆により御家流が、志野宗信により志野流が創成された。

◇資料・志野流歴代家元一覧
◇資料・茶道系譜
◇資料・聞香炉のいろいろ
◇三具足
仏への三大供養「香」「華」「燈明」を献ずるための道具である香炉、花瓶(けびょう)、燭台は、三具足と呼ばれる。
◇資料・香りの素材
ウコン(ターメリック)、木香、山奈など18種を紹介
◇用途別香料の種類
焚(ふん)香料、化粧料、香辛料(代表的な4つは、胡椒、肉桂、丁子、メイス)
◇原料別の香料分類
植物由来、動物由来、化学的操作によるもの
◇資料・天然スパイス80種
◇資料・スパイス原料植物
◇資料・主な精油成分
◇資料・スパイスの色素
◇資料・目的別スパイスの履歴書
◇資料・天然スパイスと加工スパイスの比較
◇資料・スパイスの辛味成分
◇資料・スパイスの苦味成分
◇資料・ハーブティーの種類と効果一覧表
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 以上が本日のお話の概要ですが、香料全般のことが大変良く分かりました。特に、仏教の伝来と同時に仏を供養するためのものとして日本に入ってきたお香が、生活を豊かにするものとして発展し、ついに「道」となって極められるまでの歴史をしっかり学ぶことが出来ました。
今回で、「日本への異文化の伝来を学ぶ」講座は終了しましたが、豊富な資料を示しながらのユーモアたっぷりのお話は、受講者の学び心を大いに刺激してくれました。

 その受講者からの声をいくつか紹介します。
「鮮やかな解説、素晴らしい研究の数々、毎回会場に流れる音色、香りからたくさんの本や資料、展示された品々、異文化と云うより日本の歴史となった古の文化を、分かりやすくユーモアあふれる魅力ある講座でした。まだまだ聞いていたいと思う内容の濃い、配布資料共々見事なお話でした」
「私たちの食べ物の中にこのようにスパイスが関係していることを知り、驚きでした。とても良かったです。先生の知識の多さに感心」
「3回とも楽しく面白く受講しました。次年度も世界の文化に関する講座を企画してください」
「話が上手で、資料が豊富に収集されていて、勉強になりました」
「仏教、お茶、スパイス、身近なことであってもなかなか分からないことが多い中、今後今までとは違った意味で見ることが出来ると思います」
「色んなスパイスがあるので、驚きました。お香にも香辛料にも興味があります。頂いた資料を参考に、薬としてのハーブを試してみたいと思います。お話を伺って今年こそぜひ奈良に行ってみます」
「標題がスパイスとあって調理の時に使用するものと思ったが?しかし、「香」の事である。奈良時代に百済から仏教と共に伝えられたもので、初めは仏教儀礼の小道具であったが次第に貴族、武士そして町人と広がり、現代では一つの文化として発達した。とても面白い勉強をした。生活の豊かさと共に感性を豊かにするもので、一つの魔性を持った独特のものと理解した。香料=焚香料、化粧料、香辛料の事も勉強した。後半にスパイスの事が詳しく載っていたので、ようやく標題の意味が分かった。分類、歴史的にも貴重な資料である。植物、動物、化学的に合成されたもの等、本当に詳しく書かれており良い勉強になったと思っている」







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