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講座12 『宗教がわかると人間と世界がわかる』

第1回 「宗教の普遍性~特殊な人が信じるのではない」

2014/10/28

10月23日(木)花川北コミュニテーセンターで主催講座12『宗教がわかると人間と世界がわかる』の第1回「宗教の普遍性~特殊な人が信じるのではない」を行いました。講師は北海道大学大学院文学研究科 特任教授 宇都宮輝夫氏です。受講生は51名でした。
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1. 宗教の普遍性
近年、メディアからの悪いニュースに影響されてか、宗教を信じる人達への評価があまり良くないが、現実的には世界の宗教人口統計(2006)では、世界人口の98.9%の人が宗教信者である。以下はその内訳である。
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1)宗教は衰退している
「社会が近代化、合理化するにつれ、宗教は衰退する。したがって現代社会は非宗教的・世俗的社会である」これを裏付ける根拠は多い。
a)昔は現実の世界の他に別な世界があると信じられてきた(これは世界共通している)。しかし近代化・合理化した現代では、感覚で捉えられる現実の世界の他に別な世界があるとはほとんどだれも想定していない。科学の発達した現代では、多くの人が宗教を時代錯誤だと見なしている。
b)社会学的統計からも衰退は裏づけられる。
 ァ)西洋ではキリスト教会の礼拝への出席率が低下している。
 ィ)西洋では教会の儀式参加率が低下している。
 ゥ) 宗教集団の組織力が弱まっている。
 ェ)宗教集団の経済力も弱まっている。
 ォ)総理府が実施した世界青年意識調査の結果では、「宗教に無関心」「神など信じられない」という2項目で8割を超える。

2) 宗教は衰退していない
a)科学の進歩とともに非合理的なものが減少するというのはどこまで本当か。
 ●オカルト映画やテレビの心霊番組の多さ。
 ●星占い・血液型、念力・念写などが依然はやっている。
 ●水子供養の繁盛。
b)社会学的調査・統計は数字のトリックがある。
 ●西ヨーロッパ諸国では教会の礼拝出席率は低下しているが、アメリカではこの現象が見られない。
 ●儀礼への参加が減少しているとは言えない(日本人の宗教儀礼への参加は依然として多い)。
 ●宗教集団の組織力も弱まっていない。
・文化庁『宗教年鑑』によると信者数は神道系約1億600万人、仏教系9600万人、キリスト教系200万人、その他1100万人となり、日本の総人口の2倍弱になる(集計方法に問題があるが)。
・活動力は目を見張る。
    モルモン教・ものみの塔・等々。
・政治力。
    公明党の議席数。宗教集団の集票力はすさまじい
 ●宗教の経済力。
・全米の教会・修道院の固定資産評価額は天文学的である。
・アメリカにおける宗教献金推定額は、福祉などへの全寄付金の半分以上。
・新・既成宗教の財力
  創価学会、天理教などの経済的な力は大きい。しかし、伝統的既成宗教の財力も巨大である。
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2. 愚か者が宗教を信じるのか
現代の多くの日本人は「宗教を信じるのは合理的批判的思考力にかけた人、愚かな人」と心のどこかで考えていないか。これは偏見ではないだろうか。人間の非合理性ないし限定された合理性を示す実例を取り上げてみたい。

3. 宗教を信じる人は非合理的なのか、あるいは人間はそもそも合理的か
人間がどれほど不合理かを論じた研究は山ほどある。ここでは3つの領域からその種の議論を取り上げる。
1)行動経済学
人間は合理的計算に基づいて自己の物質的利益が最大になるよう行為する。しかし、本当に正しい計算など出来るのだろうか。行動経済学の実験例を紹介しておく。
2)人間はだまされやすい
インドで発見されたオオカミ少女の例からは、根拠も検証もせず他人の話を真に受ける不合理な人間像が見える。
3)疑似科学
現代社会においてはニセ科学、疑似科学という非合理が多くまかり通っている。
    
4. 信は知に先行し、知は信に基づく
私たちが「知っている」というのは実は「習った」ということである。習う根底には信ずるということがある。学習は人が何かを信頼する場合のみ可能であって、学習は信ずることから始まる。その意味で、知は信に基づくといえる。人間は信じることを先行条件として生を構成している。
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5. 人間は心理に基づく自己肯定を求める
宗教が有史以来広く人類社会に存続してきた以上、宗教の存在には積極的で普遍的な理由があると考えたほうが自然である。
第1命題  
社会の法律には矛盾がなく諸法は全体として整合的に組織されて、1つの統一的体系をなしている。
第2命題  
法律と倫理観の間には基本的には齟齬はない。
第3命題  
体系をなす法律と倫理観とが相即しているのであれば、倫理観自体も統一的体系をなす。
第4命題  
統一的な倫理観に生きる限り、人間の生活は整合的・統一的である。
第5命題  
人間は、自分たちの倫理観が相対的・人為的な取り決めであるとはみなさない。倫理とは、「そうあらねばならないもの」であり、真理である、と見なされている。この真理主張こそがそれぞれの世界の宗教である。
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人間は自己の行為と生活を意味のないものと考えながら生活をしているわけではない。同じことだが、人間は自分の生にいかなる意味があるのかを感じない生き方を受け入れることができない。どのような内容と形であれ、真理と確実さを求める人間の要求こそ、人間の宗教性そのものである。人間は押しなべて宗教的なのである。

最後に宗教は非合理的でもなく愚かなものでもなく、形と中身はまちまちでも、人間に普遍的なものであると強調され第1回の講座を終わりました。




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