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講座8 『北のお天気』

第2回 「天気予報を伝える報道の最前線から」

2013/10/21

 9月26日(木)講座8「北のお天気」の第2回「天気予報を伝える報道の最前線から」を花川北コミュニティセンターで行いました。講師は、気象を伝えるという、その最前線で仕事をされているHBC気象キャスターで気象予報士の近藤 肇さん、受講者は34名でした。

 講師紹介の後、自己紹介の中で職業柄常に空を意識して生活している様子や「テレビやラジオの天気予報を見る上で、役に立つ情報が提供できればと思っています」と言うお話が有りました。また、「本日のお話しする内容は①~④」と言うことで
①放送と気象情報
②気象キャスターとその役割
③気象情報の見方
④天気予報
最後に、天気予報について、この頃感じていることお話されるとのことでした。
25,8,2,1.JPG
 まず、はじめに第1回講座の中でも説明がありましたが"気象庁は、気象などの観測の成果・予報・警報などを、報道機関の協力を求めて、公衆に周知させるよう努めなければならない"という気象業務法についてお話がありました。

 次に天気予報の歴史についてお話がありました。
◇天気予報の歴史
・ラジオ初の天気予報は88年前の1925年3月22にNHK(東京)が1日に3回放送したのが始まりである。
・テレビ初の天気予報は60年前の1953年3月に放送したのが最初で、その後8月に民間放送でも放送されるようになった。

  では、現在の天気予報はどのように変わったのか?
◇現在の天気予報
・現在では天気予報の入手手段としてテレビが一番である。
・テレビでの天気予報の1日の放送回数はNHK(関東)で16回、民間放送では局によってかなり差があり5回~21回である。
・内容も変化し
   昔 →アナウンサーが気象庁発表の予報を読む
     現在→気象キャスターが豊富な資料を使って解説
・ニュース題材としての気象情報
  災害発生時(VTRや現場からの中継)~防災意識を高めるのに役立つ、   特に台風襲来時に威力を発揮
      気象に関する記録の更新~最高気温、最低気温、降水量など
      季節の話題~サクラ開花・紅葉前線・初雪

※最近、民間の気象会社が細かく測定し、表すようになった。

   特に、防災情報の伝達と放送局は以下のようなとり決めがある。
◇災害対策基本法
・NHK→指定公共機関
・各民間放送局→指定地方公共機関
・"災害に関する情報の収集・伝達に努めること"
◇気象業務法(第15条)
・"気象庁は、気象などの警報を発令した時は、ただちにNHKに通知しなければならない"
・"通知を受けたNHKは、ただちにそれを放送しなければならない"

※防災情報提供装置により同時に民間放送局にも伝達される。

現在の天気予報でテレビが一番という話がありましたが、ラジオ放送にも下の図1のようなメリットがあるとのことでした。
図1
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※雷センサー ~ ラジオのAM放送受信中に積乱雲(竜巻の危険性のある雲)が近づくと「ザーザー」という雑音が入るとのことである。

◇気象情報での時間帯の呼び方(新)
  次に気象情報での時間帯の新しい呼び方は図2の通りです。18時~21時の時間帯を「夜のはじめ頃」、21時~0時の時間帯を「夜遅く」 と呼ぶそうである。
 図2
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※気象予報士が使う言葉なので覚えておいて下さいとのことでした。

◇気象情報に使用する地域別名称
 予報に時間がとれない (手短に伝えたい) 場合は、北海道を大きく分ける気象情報に使用する地域別名称には二通りある。

 1つは海洋名を使った名称である。
  日本海側    ・・・ 日本海側南部・日本海側北部
  太平洋側    ・・・ 太平洋側東部・太平洋側西部
  オホーツク海側 ・・・ オホーツク海側南部・オホーツク海側北部

広い北海道を3つに分けて呼んでいるので広範囲を表すことになる。海沿いだけを意味しない。
例えば、旭川市や富良野も日本海側に入る。

 もう1つは方角で表す名称である。

  南西部・・・ 日本海側南部・太平洋側西部
  北部 ・・・ 日本海側北部・オホーツク海側北部
  東部 ・・・ 太平洋側東部・オホーツク海側南部

北部に道北、東部に道東、南西部には道南と道央が含まれる。

※石狩は、南西部であり、道央であり、日本海側南部である。

 更に、各地域を細かく分割して天気予報を出す時もある。よく見かける天気図で、石狩・空知・後志地方の名称で呼ばれているものがある。
また、この他普段目にする予報も放送局によって違い、同じ放送局でも放送時間帯によっても異なるなど、予報士独自の表現がされているようである。

◇次に「アメダス」について、「アメダス分布図」によって説明がありました。
・アメダス分布図によると、石狩市内のアメダスは、石狩・厚田・浜益の3カ所である。天気予報で浜益の積雪が出ないのは、浜益で雪が降っていないのではなく雪は測定されていないのである。観測地点及び名称は気象庁で決定している。
  
 気象庁をはじめ幾つかの気象情報機関からのデータがNHKや民間放送局に伝えられる。各放送局ではそのデータを分析して、より的確な予報を視聴者に伝えている。情報(資料)を解析して予報を作成するのは気象予報士が行い、解説は気象キャスターが行っている。そこで、それぞれの立場の違いや役割について、次のような説明がありました。

◇気象キャスターとその役割
・気象(ウェザー)キャスターとは?
テレビやラジオで気象解説を行う者。
気象の専門的知識を持って解説資料を作成し、状況の変化にあたっては、即時的に対応し、的確に気象情報を伝える職種。
・"気象予報士"と"気象キャスター"
気象予報士は国家資格が必要であるが、気象予報士でない人でも、放送局の方針で気象キャスターの仕事はできる。

◇気象予報士制度(94年~)
・以前はどの放送局も"気象庁発表"の同じ予報で、予報の出せる都市も限られていた。
・94年以降
認可エリア内の任意の地点の予報が可能になり、行楽地などのピンポイント予報などもできる。
"予報士(放送局)独自"の予報が出せるようになった。

◇気象キャスター≠気象予報士
・予報士の資格を持つ気象キャスターは
自分で資料を解析し予報(文)を作成、自ら解説する。講師の近藤さんが勤務するHBCは、全員予報士の資格を持つ気象キャスターとのことであった。
・予報士の資格を持たない気象キャスターは
他の予報士(あるいは気象庁)が作成した予報文に沿って解説する。
 ("解説"だけならば予報士でなくても許されている。)

◇次の図3は、講師の近藤さんお勧めのHPです。
  検索方法も図の中に書かれています。「インターネットをやられる方は一度見て下さい」とのことでした。
図3
25,8,2,4.jpg
※この他に国土交通省が設置している「Xバンド」について説明が有りました。

 現在、道内には北広島市の1号機しかないので道央しか映らないが、今ま
で5㎞四方のものが16倍の細かさの250m四方で映り、10分毎だったのが1
分毎の雨雲の変化が映る。拡大すると地名も分かる。1年以内に石狩市に2
号機が設置される予定である。なお、検索は「Xバンド」で良い。
 
 「注意報」と「警報」について、「暴風警報」、「大雨・洪水警報」等を例に上げて説明がありました。

◇注意報と警報
「注意報」 ・・・ 災害が起こるおそれがある場合
          大雨、洪水、大雪、強風、風雪、波浪、高潮、濃霧
          雷、乾燥、なだれ、着雪、着氷、融雪、霜、低温
「警報」  ・・・ 重大な災害の起こるおそれがある場合
         大雨、洪水、大雪、暴風、暴風雪、波浪、高潮

 ※注意報・警報は基準値に達してから発表するのではなく、基準値に達すると予想されたら発表する。

◇台風による「暴風警報」の例

 2004年9月7日台風18号による暴風によって「暴風警報」が出され、翌日の9月8日午前6時の予報で最大平均風速が30m/s、瞬間風速が45~60m/sと出されている。
このときの札幌の最大瞬間風速は50.2m/sを記録し、大きな被害があった。
なお、風速は10分間の平均風速をいい、瞬間風速は3秒間の平均風速をいう。

◇台風と前線による「大雨・洪水警報」の例
 次に2003年台風10号と前線による9日(土)から10日(日)かけて日高地方の豪雨によって出された「警報」、「警報の重要変更」や「記録的短時間大雨情報」と雨量について説明がありました。
 
・9日11時00分に「大雨・洪水警報」
・9日21時30分に「警報の重要変更」(重大な土砂災害のおそれ)
・9日22時15分に「記録的短時間大雨情報」
 
この時の1時間雨量は9日5時に22㎜、14時に28㎜、21時35㎜で22時に急激に増えて75㎜に達している。
つまり9日22時15分に出た「記録的短時間大雨情報」は、実際に危険な大
雨が降ったという情報である。この時は、この後痛ましい事故が3件も起き
ている。
※警報が出たら危険が差し迫っていると思うべきである。

◇警報より厳重警戒を呼びかける情報
・表1のように「記録的短時間大雨情報」も含めて、厳重な警戒を呼びかける情報がある。
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・表の下ほどより重大な情報である。
・ただし、ごく部分的な地域で発生するような災害予想の場合は「特別警報」等は出されない。

◇さらに、表2のような新情報が新設されている。
hyou2.jpg
・警報が出たら、危険が差し迫っていると思うべきである。
・宗谷は31℃以上


◇下の表3は、風速と他のものに対する影響などが示されているが、「台風」 とは17.2m/s以上の熱帯低気圧のことである。
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※北海道では15m/sの風はあまり吹かないので、強い風、非常に強い風と聞いたら、相当強い風が吹くと思ったらよい。

◇冬の季節風で雪が降る理由は誰もが知るところですが、一般に考えられる
「北西の風」以外に、気圧配置によって「北(北北西)の風」や「西の風」が吹くことがある。その時、石狩や札幌に降る雪の様子について説明がありました。
・海上では夏より冬の方が上昇気流が起きやすい。
・上空の気温が低いほど、海水温が高いほど雪雲は発達する。また、異常気象で海水温が上がると上空の気温は一定(宇宙空間の温度は一定で上空で接しているため)なのでやはり雪雲が発達する。

◇では、風向きによって雪の降り方にどのような違いがあるのか?

・風は、等圧線に対して30°くらい傾いて低気圧の中心に向かって吹いている。「北西の風」以外に、同じ西高東低型の気圧配置でも、高気圧と低気圧の位置関係によって「北(北北西)の風」や「西の風」が吹くことがある。
・等圧線の傾きから風向きを予想してみると雪の降り方も予想できる。また風向きによって石狩周辺の雪の降り方に次のような傾向がある。

北(北北西)の風  小樽、札幌
北西の風     石狩市
西の風      厚田、浜益
 
◇「石狩市の皆さんにぜひ、知ってもらいたいのは」と言うことで、説明されたのは「石狩湾小低気圧」についてです。雪雲レーダーの映像やその時の等圧線の図より次のような説明があった。
               
・西高東低の冬型の気圧配置で、等圧線の間隔が広いところに、小さな低気
 圧が現れることがある←これを石狩湾小低気圧といって、突然現れるので予測が難しい。
・雨雲レーダーを見るとよく分かる。
・降る場所は限られるが、風が強く暴れん坊の低気圧で、予報も難しいとののことであった。

◇最後に、最近の気象の様子を、「平年値」から、次のようなお話がありました。
・過去30年間の平均値=平年値
  「石狩の9月26日の平年値」
   最低気温:9.9℃ 最高気温:19.7降水量:
・現在の平年値
  1981年から2010年の平均
・旧平年値(1971年~2000年)との違い
  気温が上昇 : 全国的に+0.2~+0.4℃程度
  降雪量が10%以上減少(日本海側の多くの地点)
  サクラの開花が1~3日早く(ほとんどの気象官署)

以上のデータからも「温暖化」は分かるが、更に、過去の平均気温の変化をグラフで見ると、ここ100年間に著しく上昇していることからも明確であるとのことであった。

天気予報の解説はみな気象予報士が行っていると思っていましたが、そうでない場合もあることが分かり、「気象予報士」と「気象キャスター」の役割も分かりました。また、気象情報の伝達も「気象業務法」という法律で決められていることも分かりました。更に、気象情報でも「警報」以上のものが幾つもあり、しっかりと聞き取らなければ身に危険が及ぶことがある。また、風速の情報にも気を配り平均風速が20m/s前後でも十分注意が必要だと言うことが分かりました。これからは、今までのように出てきた気象情報をただ見ているだけでなく、必要な情報を探索して、より的確な気象情報を収集し、事故や災害に至らないように予防に生かせると良いと思いました。

講義は、終始和やかな雰囲気で行われ、聞き取りやすく、受講生に話しかけるように説明されていました。受講生のアンケートにも同じようなコメントが多いようです。

「普段から気象には興味がありましたのでとても楽しく聞きました。近藤さ
んのお話も分かりやすかったです」

「大変参考になりました」
「非常にわかりやすい説明でした。これからの気候の変動でおそれた」

「近藤さんの講座は内容が分かりやすかったと思います」

「判りやすい語り口の解説に引き込まれ、時間があっという間に過ぎ去りまし 
た。今回の企画ありがとうございます」

「近藤キャスターのマイクの使い方・話し方・声の大きさ・質などさすが専門 
家であり、聞きやすい説明であった。お天気情報の裏話も知ることができ楽 
しく学習できました」

「大変有意義で楽しく学べました。ありがとございます」

「すばらしい内容でした。テレビ、ラジオ等の天気予報の見方が変わると思い
ます。ありがとございます」

                                                      
                                                                                                                                     
                            
                                                              




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