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講座15 『原子力エネルギーはなぜ必要か』

第1回「原子力も含めた北海道のエネルギーベストミックスを考える」

2013/03/05

2月9日(土)北コミセンにおいて講座15『原子力エネルギーはなぜ必要か』の第1回「原子力も含めた北海道のエネルギーベストミックスを考える」の講座が行われました。
受講者は34名でした。
講師は北海道大学名誉教授で日本エネルギー環境教育学会 顧問の杉山憲一郎さんです。

スタッフの徳田さんより講師の杉山さんの略歴等の紹介をされた後、
杉山さんは先ず祖父、父は北海道のエネルギー源であった石炭産業に従事していた事に触れられました。大学では熱エネルギーの研究をし、大学院では石炭・石油発電ボイラーをいかに効率よく動かし電気を起こすかを研究していた事、就職は工学部の原子工学科助手として始まり原子力エネルギーについての研究に携り定年に至った事を話し、学生時代から今日まで石炭、石油、原子力と常にエネルギー関係に携わってきたことを話されました。そしてこの講座のなかでこれからの北海道の原子力を含めたエネルギーミックスはどうあるべきかを考えていただきたいと話されました。
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1―大規模化石エネルギー利用と気候変動

●豊かさを作り出すエネルギー利用の変遷
・米国南北戦争は古代から続いた豊かさを作り出す奴隷労働(人力エネルギー)の終焉
・第2次世界大戦は列強の豊かさを作り出していた植民地労働(広域人力エネルギー)の終焉
・20世紀後半から、化石燃料利用による大規模機械労働(人工エネルギー)の時代
・3.11直後、新興国ブラジル、ロシア、インド、中国、(各国の頭文字を取りBRICSと呼ばれる事も多い)の第3回首脳会合では、「経済成長を維持しつつ、気候変動の課題に対処する為には、原子力の開発利用が最も有効との見解で一致し、安全性の強化など新しい決意で原子力を推進する」と宣言した。
・現在、世界の1次エネルギーの80%以上が化石燃料であり、 6%~7%原子力、6%~7%水力、風力他となっている。CO2排出量は30×109tonに達し、73年の第1次石油危機の2倍となっている。大気のCO2濃度は約400ppm
(参考)450ppmで大気温度2℃上昇するといわれている。    

●注目される国の国民一人当たりの二酸化炭素排出量
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上記の表から約3グループに分けられる。排出量が5ton台のスウェーデン、フランス、スイスは原子力発電と水力発電の組み合わせで低排出量になっている。8~9ton台のデンマーク、日本、ドイツ。11%~17%台のフインランド、アメリカとそれぞれの国の諸事情よって排出量も変わる。デンマークは原発0%であるが農業国らしい工夫で排出量を抑えている。

●EUリーダー国ドイツの脱原子力前の電源別発電量比
原子力≒23%、石炭≒19%、褐炭≒24%、LNG≒14%、再生可能エネルギー≒17%
その他3.7%となっており、石油依存は≒1.2%と少ない。
再生可能エネルギーの内訳として風力6.0%、水力3.0%、バイオマス4.6%、太陽光が1.9%となっている。

●OECD加盟国における再生可能エネルギーの実績
・OECD加盟国(34カ国、約12.5億人)の1次エネルギーの生産量は世界の約40%である。その生産量の6.3%が再生可能エネルギーである。内訳は農産物処理、ごみ焼却によるものが4.9%であり、太陽光、風力他によるものは1.4%である。
・現在太陽電池の国際市場は中国、台湾製が75%を占めていて先進国メーカーは消滅状態である。超大型の設置が増えるほど国際収支の赤字に貢献することになる。
・EU圏のドイツ、スペインの例でわかるように、再生可能エネルギーに高い補助金の継続支援を行ってきたが、今後下げざるを得ないであろう。
 エネルギー確保・環境制約、国力維持の総合的視点からその割合は決められるべきである。
●風力発電の特徴
・北海道、東北、九州地域では、現状の容量の送電系の運用を前提に周波数・電圧を一定範囲にしようとすれば、風力発電の大規模導入は見込めない。原因は出力変動性と不随意性に起因する需給インバランスにあり、中長期的には送電系設備、増強が必要である。
・電力を送り出すカットイン風速は3~4m/s、100%出力風力は、
12~16m/s
運転が危険になるカットアウト風速は通常25m/sである。風力発電の出力は風速の3乗に比例する為わずかな風速変動でも出力が大きく変動する。ブレード回転面積の風力エネルギーに対する発電効率は30%程度である。
・適地となる広い農地の大半をしめる第1種農地は農地法などの改正により風力発電事業への転用は不可能になっている。風力発電に対する早急な規制緩和が必要である。
・北海道における洋上発電候補地として、稚内沖が有力候補であると考えられる。

●電源別で見た1kWh当りの発電に対するCO2排出量(g)
排出量は石炭火力が975g、石油火力742g、LNG608g、太陽光53g
風力29g、原子力22gとなっている。
※(燃焼に加え、原料の採掘から建設、輸送、運用、保守などのため消費されるエネルギーを対象としている)
設備稼働率としては太陽光で12%、風力20~25%、原子力では90%である。
※(原子力の強みは高い技術力があれば高い稼働率を維持できる事である)

●温暖化のメカニズムとハリケーンについて
・太陽からのエネルギー(太陽表面から放射された可視光と赤外線)が地表に注がれ、地表からは地球表面温度に対応する赤外線が宇宙空間に向かって放射されるが、大気層中のCO2・H2O等の温室効果ガスによって、吸収・再放射され再び地球に戻ってしまう現象が温暖化である。人類の活動により温室放射ガスの放出量が増大すれば大気を暖めさらに温暖化が促進する。
・化石燃料の燃焼により生じたCO2 H2Oが地表からの赤外線を吸収・再放出することで、海面温度が27度C以上に上昇し海面から水蒸気の蒸発量が増大するほど、台風は大規模、長期化する。台風は自転による「コリオリの力」と多量の水蒸気が大気を上昇中に冷却され水に戻る為、強風(33m/s以上)と豪雨域が発生する。

・ハリケーン(大型熱帯性低気圧)の分類
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2―放射線のリスクと日常生活のリスク
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日本人に求められるリスクの相対評価(米国の例)

・大きなリスクとして寿命短縮する要因として高いものから失業、貧困、独身、喫煙、体重過剰、消防員、炭鉱労働者、警官など挙げられる。(寿命短縮日数3500~1000日)
・小さなリスクとして寿命短縮のリスクの高いものから、自転車、大災害の合計、原子炉事故などあるが原子炉はリスクとしては非常に少ない(寿命短縮日数5~0日)
3-電源別トータルコスト

●発電所の建設費の比較(2008)
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※太陽光発電の国際市場の75%は安価な中国、台湾製である。
 有効利用のためには蓄電池が多量に必要である。

・原子力発電コスト内訳
原子力発電8.9円/kwh(好条件の風力、地熱、石炭/LNG火力と同等)
※内訳:資本費25円、運転維持費3.1円、核燃サイクル費1.4円、追加的安全対策費0.2円、政策経費1.1円、事故リスク対策費0.5円以上

4-石狩市民の立場で道内のエネルギーミックスを考える
最後に講師の杉山さんから提言として風力発電、太陽光発電、バイオマス、地熱発電等の事業では、コストが高くCO2削減にも大きく貢献できない。多量の発電量の確保も期待できない。EUのリーダードイツのように原子力発電を順次取りやめ、低コスト、高CO2放出石炭発電と、高コスト、低CO2放出天然ガス発電に順次移行すべきなのか。
しかしこれらの事業を実行すればCO2の放出量は増加する。長期的には天然ガス、原油、石炭価格は間違いなく上昇してゆく。合理的な再生可能エネルギー発電の層の開発に加えて、道内の確実な電源として原子力発電と水力発電は確保しておくべきである。そのためにも福島事故の知見、教訓に基づく泊原発の安全性・信頼性向上策を具体的にわかりやすく説明すべきである。また海外の地層処分情報も積極的に説明すべきであると話されました。

今日は多岐にわたりエネルギーの貴重なお話しありがとうございました。
















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