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講座11 『原子力と自然エネルギーの未来を考える』

第2回「自然エネルギーの未来と地域づくり」

2012/12/09

 12月6日(木)講座11『原子力と自然エネルギーの未来を考える』の第2回「自然エネルギーの未来と地域づくり」を花川北コミュニティセンターで行いました。講師は、自然エネルギー研究センター代表の大友 詔雄(おおとも のりお)さん、受講者は38名でした。

 大友さんは先ず、前回の講座の後に寄せられた質問に答えることから始められました。

①プルサーマルの危険度について
プルサーマルで使用されるMOX燃料の危険度は、通常原発の危険度とは比較にならないほど大きい。
②幌延深地層研究センターについて
幌延は、比較的安定した地盤であると云われるが、それでも地下水などへの影響も考えられる。
③前回紹介されたフィンランドの10万年後までの保管の現実性について
人知の及ぶのは、数十年くらいで、10万年後までの対応は現実的には超歴史的で全く不可能である。
④福島原発の1号機と3号機事故の違い
1号機と3号機では、爆発の仕方が違うようである。正確な情報が公表されていないが、3号機については深刻な状況があるのは間違いない。
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⑤原爆と原発の放射能減衰の違い
原爆では1014と云う非常に短い時間で臨界に達して、爆発は一瞬で終わってしまうが、原発は少しづつしかも長期にわたって次々と臨界反応を起こし、複雑な放射性物質を作り出すので放射能がなかなか減衰しない。
⑥ドイツの自然エネルギーへの変換について
原子力を廃止するために石炭を使うのでは、との疑問については、基本的には化石燃料を使わないことを前提として考えられているので逆戻りはない。
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 この後、自然エネルギーについての本論に入りました。

◆自然エネルギーとは

・「自然エネルギー」と「再生エネルギー」
1970年代 
  石油代替エネルギーの必要性が叫ばれた時、欧米では「自然エネルギーか原子力か」が論議された(日本では石油エネルギー以外は何でも良いとされた)が、「自然エネルギー」の「自然」についての解釈に異論が出た(化石エネルギーも自然のものとの見解もあった)ため、「再生可能エネルギー」と云う言葉が使われるようになった。
1980~1990年代(バブルの時代)
 原子力エネルギーが喧伝され、高速増殖炉も再生可能だ、との見解もあった。
1999年
 ㈱NERC(自然エネルギー研究センター)設立に際して、「自然」を再定義した。
 動物・植物が多様に、豊かに存在する地球表層部に存在するエネルギー。
2000年代
 再生可能エネルギーとして、岩体発電やバイオマス利用に関連して遺伝子組み替え等が登場したが、これは自然環境(生命体)の持続性の面から見て疑問がある。
・自然エネルギーとは
 自然エネルギーは、自然の構成要素それぞれに存在する(食料生産と調和するエネルギー)。
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・食料生産と調和する事が出来ず衰退した過去の文明例
 シュメール文明(BC4000年)灌漑システムの用水の地下浸透に気づかなかった
 イースター島社会(AD400年~)遠洋カヌー製造の大木の過伐採による食料(イルカ)獲得不能
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・自然エネルギーは何故「クリーン」か?
 化石燃料―二酸化炭素や化学合成物質(環境ホルモンなど)を排出
 核燃料―放射能物質を排出
 自然エネルギー―物理過程では何も排出しない。化学反応(燃焼)過程では、CO2を排出するがこれはカーボンニュートラルとして相殺される。
・自然に還るゴミ・還らないゴミ
 循環するものを使い、循環しないものは使わない。「自然」に還すことができるかどうか。生物(微生物も含めて)の食物連鎖過程に組み込むことができるかどうか。

◆世界のエネルギー使用料と比べた自然エネルギーの資源量

・世界の消費エネルギーとの比較
 太陽エネルギー16,000倍、風力エネルギー325倍、海洋エネルギー80倍、バイオマスエネルギー16倍、水力エネルギー0.5倍
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  自然エネルギーは、これだけのポテンシャルがあるので、使えるか使えないかの議論ではなく、その積極的利用方法を考えるべき。

 このあと、個別の自然エネルギーの現状と可能性についてのお話がありました。

◆風力エネルギー
・陸上風車
 ドイツの世界最大(7,000kW)の風車を紹介
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・洋上風車
 デンマークの2MW×80基の風車と瀬棚町の風車を紹介
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・高層風車(これまで手をつけられていなかった)
 高層の風は強く間断なく吹いており安定している。凧風車(KITEGEN)の仕組みを紹介。
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◆太陽エネルギー
・稚内で実証試験が続けられている。程度の差はあるが、太陽光利用は、日本全国どこでも可能。
・近年は、鏡の反射を利用した太陽熱発電がすでに実用化されているが、日本ではこの分野はまだ手つかずである。
・「デザーテック」構想
 アフリカ北部のサハラ砂漠に超大規模太陽熱発電所を設置し、欧州へ送電する構想。
 東南アジアでも、「デザーテックASIA」が構想されている。
・太陽熱の長期蓄熱利用
 熱獲得時期と熱需要時期がずれる→長期蓄熱技術が実用化されつつある。
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◆小水力エネルギー
・小水力発電の利点
 設備利用率が、太陽光発電10~20%、太陽熱発電10~40%、風力20%であるのに比べて、50~90%と非常に効率が良い。
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◆木質バイオマス
バイオマスを中心にすると、どんな世界が生まれるか
・オーストリア・ギュッシング市(人口約4,000人)の例
 1992年に市長が、化石燃料から地域エネルギー資源を使う事により、域外に流失していた富を全て地域内に循環させよう、と提案した。
 この提案の実行により、1991年に市域外流失額620万EUR,市域内循環額65万EURだったものが、2005年には、市域外流失額0 EUR,市域内循環額1,360万EURとなり、その後もこの流れは継続、今後は太陽エネルギー利用も考えている。
 ギュッシング市の成功により、オーストリアではバイオマス利用が飛躍的に普及した。

◆バイオガスプラント
 家畜糞尿を利用してバイオガス(主として、メタンと二酸化炭素)を生産。バイオガスプラントは、デンマーク、ドイツで普及。ドイツなどでは、糞尿ではなく、エネルギー作物を原料とするバイオガスプラントも増えている。

◆自然エネルギー(木質バイオマス)の利活用による「地域内経済効果」の道内事例
・芦別市:林地残材の燃料化工場
 従来A重油を燃料に使用していたSホテルで林地残材を利用したところ、市域外流出額が無くなり、1,000万円の市の財政負担削減となり累積17,886万円の地域内循環額となった。
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・美幌町:木質バイオマス・ボイラーの導入
 A重油、灯油を使用していた時と比べて町財政負担が8,816千円の削減となり、地域内循環額も2,224千円から13,422千円となった。
・足寄町:雇用創出
 廃校舎を利用してペレット工場建設。通年で139人の雇用が創出された(これは、全道レベルに直すと10万人の雇用創出となる)。
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◆エネルギー利用の発展の歴史
 エネルギー利用の歴史を見ると、風水力を利用した封建社会から、化石燃料や核燃料を使用し内燃型・蒸気を利用した資本主義社会を経て、現在は、天然ガス・バイオガス・水素や太陽光・風力等自然エネルギーを利用した内燃機関・蒸気によらない動力手段が登場した。
 将来は、全ての自然エネルギーを利用する社会の到来が望まれる。
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◆ハードな技術をもつ社会とソフトな技術をもつ社会
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 (※上の表の字は小さく読みにくいですが、表をクリックすると少し大きくなって読みやすくなります。)
 
 大友さんは、ハードな技術をもつ社会(現代社会)の問題点を説明された後、本日のお話の結論として、単に自然エネルギーを取り入れたからと云って、ソフトな技術をもつ社会(自然エネルギー社会)に変われるわけではない。
また、化石燃料や核燃料を使ったから、現代社会での問題点が発生したのではなく、このような問題のある社会の価値基準(効率と利潤)を前提にしていたからこそ危険な化石燃料や核燃料を使うようになったのだ。
ソフトな技術をもつ社会に変わるには、価値基準を変えて、ハードな技術をもつ社会(現代社会)の考え方をひとつひとつ改めていかなければならない、と結ばれました。

 今回のお話は、自然エネルギーや自然エネルギーの取り入れによる地域づくりの紹介に留まらず、これからの人類が取るべき考え方を指し示す大変示唆に富むものでした。

 受講生からも

「人の命を大切にする政策の必要性と地元の経済に根差したエネルギー政策の必要性がわかった」
「近々の問題である原発と自然エネルギーについての詳しい解説をお話戴き大変有意義でした。放射能の残存期間については10万年は大問題で早く原発を廃して処分して欲しいと思いました」
「問題の本質や世界の先進的な動きがわかり勉強になりました」
「自然エネルギーを利用する手段等について実例(バイオマスエネルギー)を含めて教えて頂き大変参考になりました」
「各政党間で原子力発電の有無が問題になっており今後の我々の判断材料となる大変勉強になる講座でした」

 等などの声が寄せられました。




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