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講座2 『アジア人はるかなる旅~私たちの祖先がたどってきた道~』

第1回 「人類誕生とその大移動」

2012/05/22

 5月19日(土)講座2『アジア人はるかなる旅~私たちの祖先がたどってきた道~』の第1回「人類誕生とその大移動」を花川北コミュニティセンターで行いました。講師は、北海道大学大学院医学研究科特任講師の深瀬 均さん、受講者は46人でした。

 深瀬さんはまず、「山形生まれの私は東大大学院を卒業後、琉球大学に所属し、昨年10月から北大で仕事をするようになりました。人類の進化を専門とする<自然人類学者>です。今は、引っ越しを通して南と北の人類学を肌で感じています」と自己紹介されました。
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 そして、文化人類学と自然人類学とに分かれている日本の人類学(アメリカの人類学は少し様相が違う)の概要を話され、さらに、チンパンジーやゴリラなどヒト科の共通祖先からどのように現生人類が進化してきたのかを解明する学問である自然人類学について説明されました。

 深瀬さんが現在研究されているテーマは、ヒトの下顎骨の進化上の変化や沖縄の縄文人の特徴についてだそうです。

 さて本論は

第1部:人類とは(人類を調べることは自分自身を知ることになる)
◇初期人類からの進化の流れ
昔の研究では、人類の進化は「猿人→原人→旧人→新人」と1本の線上に連続していたと言われていたが、今は1本の道ではないことが分かっている(途中で消えてしまった類もある)。
◇人類進化の登場人物(今はあまり使われなくなった4段階で説明)
猿人段階―サヘラントロプス、アウストラロピテクスなど
原人段階―ホモ・エレクトスなど(ジャワ原人、北京原人)
旧人段階―ネアンデルタール人など
新人段階―ホモ・サピエンス
◇学名の表記法
・学名は「属名」+「種名」で表記される。
・ホモ・サピエンスは、賢い(サピエンス)ヒト(ホモ)
◇化石から見た「人類」
・人類化石として認められるための特徴は、直立二足歩行の証拠(骨盤、大腿骨、頭骨の大後頭孔)
・犬歯と配偶戦略―犬歯のオスとメスでの大きさの違いが重要(ヒトでは犬歯が小さく、男女差も少ない)
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第2部:人類の誕生(~それはアフリカから始まった~)
◇アフリカは人類のゆりかご
・人類化石はアフリカの大地溝帯、グレートリフトバレー周辺で多く発見されている。
・1000万年~500万年前のこの地形の形成が人類誕生に関与しているか?
◇人類はアフリカの類人猿から進化
・アフリカでは多様な大型類人猿が生息していた。
・その一部が二足歩行をはじめて「人類のはるかなる旅」がスタートした。
◇なぜ二足歩行を始めたのか―その起源はまだまだ謎が多い。
・食糧供給説
 自由になった上肢でオスハメスに食べ物をプレゼント?犬歯の変化が証拠?
・エネルギー効率説
 二足歩行は霊長類の四足歩行より疲れない?
・ディスプレイ説
 体を大きく見せて敵を威嚇?
◇最古の人類化石
・サヘラントロプス・チャデンシス
 700万年前、大後頭孔、犬歯小さい、エナメル質厚い、顔面の退縮
◇アルディピテクス・ラミダス:最近全身骨格が発表された
 大後頭孔、犬歯が研がれていない、樹上生活への適応(足で枝を掴める)
 人類の祖先の移動様式がアルディピテクスから示唆される―ナックルウォーキング(ゴリラやチンパンジーの様にこぶしをグーにして移動)ではなかった。
◇猿人の代表:アウストラロピテクス・アファレンシス(400~300万年前)
 ルーシー、明らかな直立二足歩行、樹上生活の名残と陸上生活への適応
 ラエトリの足跡(二足歩行の証拠)
◇頑丈型猿人:パラントロプス(250~150万年前)
 矢状隆起の存在から咀嚼筋の発達がわかる、歯列の極端な大臼歯化、体サイズ150㎝程度か、
体に対して大きい顔面部、ヒトの直接の祖先ではない。
◇ホモ・ハビリス(220~180万年前)
 初期ホモ属の代表、猿人との区別が困難な点が多い、大型と小型の2種に分かれるとの説も。
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第3部:人類の大移動~ホモ属の進化とアウト・オブ・アフリカ
◇地球規模の人類移動
・アフリカ単一起源説~数回にわたる世界への大拡散
◇ホモ・エレクトス(180~100万年前)
 原人、陸上生活に完全に適応、顕著な大脳化、石器の精巧化、肉食への依存(脳はエネルギーを大量消費する)、アフリカを出た第一波、火の使用
◇ホモ・ハイデルベルゲンシス
 古代型人類、ホモ・サピエンスへの直前の段階、強い眉上隆起、ぶ厚い緻密質
◇ネアンデルタール人(ホモ・ネアンデルターレンシス)
 北方適応した身体形質、昔は不器用な野蛮人と思われていたが、今は狩猟の達人という見方。
 20~5万年前までは欧州での主要集団、サピエンスとの交代劇があった。
◇ホモ・サピエンス(ヒト)
 アフリカを出た第二波~世界中に拡散、拡大した大脳、特に前頭葉が増大(前頭骨が垂直)
 小さい顔面部、縮小した切歯、下顎にオトガイ
◇多地域進化説とアフリカ単一起源説
 ・多地域進化説:最初の説。その根拠は、それぞれの地域で形質の連続性が見られること(シャベル型切歯、眼窩上隆起)最近は、「他地域同化説」に微調整。
・アフリカ単一起源説
現在の主流。根拠は、旧人→新人の文化的・形質的な大きな変化。ミトコンドリアDNAによる検証(アフリカの一人の女性に行きつく・イブ)
◇人類の拡散と分布域
・猿人段階ではアフリカのみ
・原人段階(ホモエレクトス)でアフリカを出るが、中~低緯度地域に限られる、身体的な変化や脳の進化と道具の開発が出アフリカを成功させた。
・さらに旧人の誕生、北への適応が起こった。同時代のアジアでは原人が残る。
・ホモ・サピエンスが誕生して世界へ拡散したが、全世界への拡散はつい最近。
◇注目される地域
・アフリカ:猿人~現代人まで一貫して人類誕生の地。
・西アジア:人類拡散の通り道。
・ヨーロッパ:旧人が初上陸。新人との関係がどうであったか?
・東アジア:原人の形質を受け継ぐか?
・新大陸:アメリカへは1万2千年前?
◇DNAで推定される移動経路
 ・DNA解析によりヒトの拡散経路まで推定できる。

第4部:ネアンデルタールとホモ・サピエンス
◇時空的関係性
・ネアンデルタールとホモ・サピエンスは共存していた?
・ネアンデルタール:20~3万年前、主な舞台はヨーロッパと中東。
・ホモ・サピエンス:20~現在、5万年前以降、世界への大拡散。
◇置換か混血か
・2つの進化モデル
 置換説:サピエンスがネアンデルタールを駆逐。
 混血説:ヨーロッパのサピエンスにはネアンデルタールの遺伝的寄与が存在。
・遺伝学的検証では
 ミトコンドリアDNAの結果:置換説(単一起源説)
 核DNA:混血説(現生人類には1~4%のアフリカ以外のDNA)
◇ネアンデルタール像の変遷
 野蛮な原始人像→優秀なハンター、花を埋葬する心、色白・金髪
◇日本に置き換えると
 ネアンデルタールとサピエンスの関係は縄文人と渡来系弥生人の関係に似ている?

追加部
◇ホモ・フロレシエンシスの衝撃
 インドネシアのフローレス島、1.8万年前という新しさ、著しい低身長、脳容積の小ささ、
 系統的位置づけとしては、島に取り残された原人が独自に進化したものか?
◇雪男は大型霊長類か?
◇沖縄の化石人骨:港川人
 小柄だが頑丈、縄文人との類似が想定されてきたが、最近は異なる点も指摘されている。

本日のまとめ
・人類進化の過程は、一本の道ではなく、様々な傍系が現れては消えていった複雑なもの。
・興味深いのは、特に身体を特殊化する適応戦略をとった傍系主が滅びていったこと。
・この地球上の隅々まで拡散できたのは、ホモ・サピエンスへ進化してから。

 今日のお話は以上でしたが、アフリカで誕生した人類が世界中に進出するまでの流れが大変良く分かる講義でした。

 受講生からも

「我々自身、即ちヒトの起源について改めて考える良い機会であった。人類の進化について、明解でわかりやすい講義をしていただき、お礼を申し上げます」 
「人類の起源がわかりやすく説明され、つい先頃の事の様な出来事として感じられました。考古学の発達、科学の発達、学者の研究のすごさが感じられました」
「人類の誕生について、もっと詳しく知りたかった。短時間の講義なので、もう少し時間があれば、ゆっくりと聞くことができたのではと、時間の少なさを残念に思う」
「大変わかりやすく、私が高校で習った時から科学がすすんで、これほど人類について解明されたのかと感心しました。今までの講義とちがって、興味深く受講できました」

等のコメントが寄せられました。

 



 



 




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