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講座16 『お茶の間目線の経済談義』

第3回「“これから”何がおきるか」

2012/03/15

 3月13日(火)講座16『お茶の間目線の経済談義』の第3回「"これから"何がおきるか」を花川北コミュニティセンターで行いました。講師は元銀行マンの辻正一さん、受講者は、29人でした。

 辻さんは最初に、「これからどんなことが起きるのかは私にも分かりませんが、今日は、今後の世の中の動きのポイントとなると思われる4つの事柄についてお話したいと思います」と言って、1.EU問題 2.EU問題と構造が似ている日本の問題 3.地域の問題 4.一人ひとりがどう考えればよいか、と云う4つの命題を挙げられました。

ko1611.JPG1.世界が揺れる―EU問題
1)世界の火薬庫EU
①ギリシャ・リスク(EU問題の構造)
ギリシャ問題の処理を誤ると、アイルランド、ポルトガル、イタリヤばかりでなく、フランスやドイツまで影響が及びさらには世界ショックにまで発展しかねない。
②時限爆弾・ギリシャ
・09年に、ギリシャが財政赤字を粉飾してEUに加入していたことが発覚した。そのギリシャの国情は、公務員の数が多く、その給料が高額、しかも働かないと云う問題がある他に政治が私物化されていて、失業率が高く、2人に1人は職がないと云う状態である。
こう云う状態のギリシャに対して、支援策として11年10月にようやくEU包括合意がなされた。
・リスクの連鎖
ギリシャ不安はEU・域内の金融財政不安を招きEUの成長を鈍化させる。それは、中国、アメリカ、日本の輸出減退による景気減退をもたらし、さらに中国やアメリカの景気減退により日本の景気を低迷させる。
・財政と金融は、従来片方が悪い時は片方が助けるという関係が成り立っていたが、現在は、財政不安と金融不安が連鎖するようになった。
・財政状態が悪い国があると、経済的に関係の深い国を中継して全世界に波及する国家間の負の伝播がおこる。
③ギリシャ収束へのシナリオ
政府債務圧縮(公共投資、防衛費、年金、公務員給与、公務員数などの削減)、国会議決、与党首脳の誓約書などを条件として、12年2月に追加支援(1300兆ドル)が合意された。
④「秩序ある債務免除」とCDS
ギリシャ国債に対する秩序ある債務免除(民間債務53.5%削減)が合意されれば、金融機関などに損失が発生(損失補填)し、それに伴いCDS(クレジット・デフォルト・スワップ、一種の保険のようなもの)が発動されればこれも金融機関に影響、発動されなければ、金融機関と民間保有者に影響を及ぼす。一方、債務削減交渉が決裂して削減が実施されなければ関係国の財政負担が発生する。
⑤EUの"ゆくて"
・ギリシャ問題の帰趨
追加負担への国民の反発があるドイツ、メルケル首相の忍耐力が問われる。IMF、日本、中国は欧州自身の自助努力を支援の前提条件としている。一方、当事者のギリシャ等南欧諸国には、「成長も生活もできない」との叫びがある。
・南北経済格差問題
経済力格差が為替レートで調整されない。政治的統合の実現が求められる。
・市場と国家との時間差
市場は量で勝負するが、国家の判断には時間がかかる。

結局、ギリシャ問題に端を発したEU問題は、処理がついたとは云えない。
2)アメリカ、中国
①アメリカ
アメリカは、財政赤字などによる景気低迷により、GDP世界シェアーを2001年32.1% 2011年で22.2%と落としている。その結果、ドルへの信任が薄れてきている。
アメリカへの信認が失われつつあり、世界は後進国を含めて新しい安定へ向けて流動化して行くと思われる。
②中国
中国は、成長率を維持しようとすればインフレとなり、成長率を落とせば格差の不満が噴出するというジレンマを抱えていて、難しいかじ取りを強いられている。また、経済の入口では資源問題を出口では環境問題を抱えている。「国進民退―国の関与した企業のみが栄える」の問題もある。
米中経済交流が、日中、日米よりも大きくなっている現況では、日本は、もはや「自由と繁栄の弧」ではなく「東アジア共同構想」ではこれから生きてゆけない。
3)グローバリズムの陰翳
①国益の衝突
各国の衝突が激しくなって、今は、グローバル経済からブロック経済へと云う動きが強くなってきている。
②肥大化した金融資本主義
米国流金融資本主義が世界化していて、マネーは最も俊敏に世界を走るようになっている。
③貧富の格差拡大と再生産
アメリカの失業率9%、1%が富の4分の1を所有、日本では年収200万以下の者が労働人口の34%をしめる。
④政策科学の再構築

新しい世界秩序に向けて、当分は混乱が続く。

ko1612.JPG2.日本は大丈夫か
1)日本国債への信用力の翳り
貿易収支の赤字化、老齢化による家計貯蓄率の低下などにより、日本国債に対する信用力に翳りが出てきているが、長期的な解決のシナリオを描くことが難しい。また、国債残高が大きいこと、国債の短期化傾向が見られること、利払いは政策的調整ができないこと、などから金利上昇耐性が小さくなっている。

日本国債信任の拠り所として、わずかに残る要因は、徴税余力があることである。
政府総債務はGDPの238.1%になっている。民間銀行国債保有高は年ごとに増えて、2011年には約158兆8,000億円になっている。

日本は今、タイトロープの上を歩いているような状況。
2)企業が出てゆく
高い法人税、高い人件費、高い温暖化規制、輸出条件の悪化、高い円、高い電力と供給不安などの原因により企業が海外移転して、国内経済が空洞化している。これは、貿易収支の赤字化、雇用の喪失、設備の陳腐化、技術継承の断絶を招いている。このため、経済イノベーションの必要に迫られている。

国際化へ歯止めをかけるのは難しい。
3)債務を減らす方法
債務を減らすために国が出来ることは
増税、行政のスリム化、福祉政策の見直し、国民資産の凍結(預金封鎖など)、インフレ誘導などである。

老齢者への影響は、どちらかというとマイナスとなることが大きいと思われる。インフレコントロールが出来るかが心配される。
4)岐路に立つ日本再生論
現状打開の道には、財政再建優先論と成長優先論があるが、どちらをとるにしても有効に機能するようにしなければならない。

今こそシュンペーターに学ばなければならない(ヨーゼフ・シュンペーター、オーストリアの経済学者・イノベーション《革新》が経済を変動させることを唱えた)。
5)社会保障改革の考え方
①雇用の変容、共働きの一般化、高齢化などが始まった1995年がターニングポイントである。
②世代間格差
現世代間より、現世代と、債務を負って生まれてくる将来世代との格差が大きい。
③政府検討の推移
考えられる方法としては、人口減の中での経済成長・税の引き上げ・福祉の削減・マイルドなインフレなどであるが、いずれにしろ真摯な議論が必要。

ko1613.JPG3.地域を考える
1)今後は、これまでのインフラ設備の維持管理費が莫大に必要となる(人と一緒にまちも古くなる)。
2)人口減に伴い行政コストの効率低下が起こっているので、住の再編成も必要(ふるさとと安心・安全との葛藤)。
3)石狩市も人口減モードに

4.何が起きるか
1)世界の経済はまだまだ不安定に推移する。
2)日本の"骨組み"の経年劣化は著しい。
・超高齢化社会へのビジョンが描ききれていない。
・富の再配分を巡って高度成長期とは異質の対立が生まれる。
・政治に対する国民信頼が喪失している。
・強い力への願望は、時としてファッシズムを生む。
3)一人ひとりのあり方が問われる。
・高度成長時代の幸福(感)はもう再来しない。
・「出来ることをする」意気込みが貴重―新しい幸福感。
・これまで以上にコミュニティが大切となる―自分の為にも地域の為にも積極的社会参加が必要。

 以上が、今日のお話でしたが、最後に辻さんは、これからの指針として「知足の平常心・足るを知る」と「人生多毛作・前のステージの栄光を引きずらず、ステージ、ステージで全力をつくす」の二つの言葉を紹介されて、講座を締めくくられました。

 なお、この講座をもって、「いしかり市民カレッジ」平成23年度の講座はすべて終了しました。今年度も、たくさんの方に受講して頂きまして大変ありがとうございました。平成24年度も、新企画の講座を含めた魅力ある講座編成を心掛けていきますので、お楽しみにお待ちください。







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