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講座7≪プロフェッサーコース≫支笏火山の活動史

第3回「支笏火山見学:支笏湖、樽前山、風不死岳、恵庭岳と火山噴出物」

2011/09/19

 9月17日(土)、講座7『支笏火山の活動史』の第3回「支笏火山見学:支笏湖、樽前山、風不死岳、恵庭岳と火山噴出物」は、前2回の室内の講義で得た知識を実際にフィールドで体験してみようとバスで巡検しました。講師は、北海道地質調査業協会技術アドバイザーの若松幹男さん、受講者は31名でした。

 バスは千歳地方の雨予報の中、予定の8時丁度に公民館を出発しました。講師の若松さんは、さっそくマイクを握りこれまでの支笏火山噴火の講義の復習とバスの進路に沿った石狩や札幌の地層の解説をしてくれました。

syultupatu.jpg 最初の見学地は、「石狩緑地」。あまり知られていない場所ですが、定山渓に向かう石山地区にあり、かっての札幌軟石の採石場跡を利用した公園の一角にある古代ローマ遺跡を思わせる所です。支笏火山の火砕流が溶岩となって、このような地形ができたとのことでした。流れの違いから境目ができたとのことでした。

isiyamaryokuti.jpgisiyama2.jpg 次に向かったのは、実際に採石をしている「辻石材工業」。ここでは、石切機で軟石に切れ目を入れる所を見せてもらいました。まるで鋸で木材を切るようでした。帰りにお土産として、一口羊羹大の札幌軟石をもらいました。

sekizai  (2).jpg 次の見学地は、支笏湖に近い山中で「堆積岩の露頭」を観察できる場所です。ここの標高は600mありますが、1千年前の海底が隆起して泥岩となったものとのことです。ここでも境目が観察できました。

taiseki.jpg 次に向かったのは、今回の期待の場所の一つである「オコタンペ湖」。この湖は、恵庭岳の火山噴出物が堰止めてできたもので、ここから流れ出る川は支笏湖に流入しています。

okotanpe.jpgokotan2.jpg 再びバスに乗り、オコタンペ湖展望台から少し下がった所にある「恵庭岳火山の溶岩による堰き止め箇所」を観察しました。

 午前の最後は、風不死岳、恵庭岳、樽前山、白老台地を展望できるビューポイントでしたが雨天のため見通しが悪く通過して、昼食休憩の支笏湖ビジターセンターへ向かいました。ここのレクチャールームで、支笏湖のビデオを見ながら昼食を取りました。

 午後の見学は、最初に千歳市の有形文化財である「山線鉄橋」。この鉄橋は、支笏湖から流れ出る千歳川に掛かるもので、北海道で現存する最古のものとのことです。英国製で明治32(1899)年に輸入され、北海道官設鉄道上川線の鉄橋としてで使われていたものを、王子製紙の専用軽便鉄道(山線)の橋として移設されたとのことです。この鉄道は、王子製紙が支笏湖周辺の木材の運搬や発電所の資材を運ぶのに使われていたそうですが、昭和26(1951)年急速に進んだ道路整備により廃止されたとのことです。

sannsenn.jpgsannsenn2.jpg 続いての見学は、支笏湖を利用しての発電所です。王子製紙は、自社の電力をまかなうために、支笏湖から流れ出る千歳川に5つの発電所を建設したとのことです。このうち第一発電所が一番古く出力も大きく、明治43(1910)年に作られた出力1万キロワットは当時日本最大級の水力発電所であったとのことです(現在は出力25,400kw)。第一発電所だけが有人で、他の四つの発電所のリモート制御もしているとのことでした。5つの発電所の総出力は36,600kwにもなり、支笏湖周辺の一般住民にも供給しているようです。しかし、ここの電気の周波数は60Hzであるため、昔は電気製品を得るのに苦労したとのことです。

daiitihatuden.jpg 最後の見学地は、「火山灰露頭地」でした。とにかく広い採取地です。見事に各年代の地層を見ることができる場所です。若松さんの説明で、一番下の層が4万年前の支笏火山の堆積物、中断が2万年前の恵庭岳噴火の堆積物、その上に9千年前の樽前山噴火の堆積物の層を観察することができました。これらの堆積物は、盛り土や道路舗装の下地に使われているとことです。私たちが何気なく歩いている道路の下部に、4万年前の土が敷かれているのかもしれません。実際に、石狩市も千歳火山の噴出物で覆われていたとのことです。


kazannbai.jpgkazannbai2.jpg 今回の史跡巡りはこの場所で終わり、バスは36号線を石狩へ向かいましたが、予定より時間が掛からなかったため、旧島松馬蹄所に寄ることにしました。ここは現存する駅艇としては世界最古であるとのことです。この場所は、クラーク博士が学生と別れた場所でもあり、そばには「青年よ大志を抱け」の碑があり、また寒冷地稲作発祥の地でもあるとのことでした。側には島松川が流れており、若松先生の説明によるとこの川が昔の西蝦夷と東蝦夷との境目であったとのことでした。
kura-ku.jpg 16時近くにバスはここを出発し、雨の中石狩へ向かいました。若松先生は、この時間も支笏火山の活動の歴史を復習してくれました。千歳地方一日雨予報のなかの巡検でしたが、なぜかバスを降りての見学時は雨が止みあまり濡れることも無く、17時30分無事に公民館に到着しました。

kiro.jpg 今回の講座は、近くにありながらあまり知られていない支笏火山の活動史を、2回の講義で勉強をし、次にその史跡を実際に目と若松さんの解説で勉強することができました。受講生の皆さんも、感想で見るように大変分かりやすかったとの評判を得ることができました。以下に主な感想を紹介させていただきます。

・先生の整った資料の準備と人柄が出る丁寧な説明に楽しく支笏火山の歴史を学ぶことができました。
・天気を除けば時間的に余裕が有り大変良かったと思います。普段何気なく通っていた所に見所が有り説明までついて非常に勉強になりました。
・支笏火山、湖について認識を新たにしました。運営スタッフの皆様ご苦労様でした。
・長い地球の歴史を自分の眼で確かめられました。支笏湖の形だけとっても色々な火山の影響であんな形になった、という物語が秘められていることに気がつきました。
・住んでいる石狩は支笏火山とは無縁と思っていたが、今回の現地を見て、この火山の威力が居住地付近の地表を覆っているのを改めて知ることができ、まさに生きた火山活動を延長約30kmにわたる変化を確認でき感動した。
・支笏湖がカルデラ湖というのは知っていましたが、今回の講座で、その生成の時期からの話がとてもわかりやすく、本当によかったです。小雨が降ってスタッフの皆様も大変だったと思いますが、本当にありがとうございました。
・2回の講義に続いてのフィールドで、更に丁寧な説明があり、良く理解できました。これまで何気なくみていた景色もこれからは見る目が違ってくるだろう。
・「理論と実際」という言葉があるが、教室(講座)で理論を聞きバスで現場を見る、これは最高の学習方法である。理解できる最良の勉強でとても楽しく学習しています。今後もこの様な(対象は違っても)学習を続けて欲しい。頑張れいしかり!!

 




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