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講座8≪プロフェッサーコース≫『身近な環境を考える』

第4回「再生可能エネルギーの技術開発~実験もお見せします~」

2011/03/06

  3月5日(土)講座8『身近な環境を考える』の第4回「再生可能エネルギーの技術開発~実験もお見せします~」を市民図書館視聴覚室で行いました。講師は、この講座の1回目を担当された徳田昌生さん、受講者は26名でした。

 徳田さんは第1回で、地球温暖化についての様々な考え方を紹介され、温暖化に対する反論もあるが、かといって温暖化は間違いだとの科学的根拠もないところから、温暖化に対処しておく必要はある、と言われ、二酸化炭素の増加が温暖化の原因であるとするならば、二酸化炭素の回収・貯留を行うか、再生可能エネルギーの利用(限りある化石燃料を使わなくても良いという利点もある)で低炭素社会を実現しなければならない、と話されました。また、再生可能エネルギーのうち、バイオ燃料やバイオマスについての紹介をされました。

 今回は、バイオ燃料・バイオマス以外の再生可能エネルギーとして、太陽エネルギー、風力エネルギー、化学エネルギー、潮力・波力エネルギー、温度差エネルギー、重力エネルギーを紹介され、燃料電池の実験も行われました。

8-4-8.JPG 1.太陽エネルギーの利用
1)太陽光発電
太陽電池を利用し、太陽エネルギーを光エネルギーとして直接的に電力に変換する発電方式(ソーラー発電)で、稚内には国内最大級(5,020kw)の出力を持つ稚内メガソーラーがある。一般住宅の場合のしくみは、自宅で発電し、使用した残りを電力会社に売り、夜間などの不足時は電力会社から買うことになる。2009年11月から、従来1kw時当たり24円だった買取価格を48円とする新制度が始まったが、これは2011年4月から太陽光サーチャージ(太陽光発電促進付加金)として電気利用者全員が負担することとなる(一般家庭で、一か月当たり数十円~100円未満)

◇特徴
・太陽エネルギーは無尽蔵であり、すべてを電気にかえることができれば、1時間の日射量で全人類が消費する1年間のエネルギーを賄うことができる。
・発電した電気のロスが少ない。
火力発電では、発電に使われるエネルギーを100とすると家庭で使える電力量は35。太陽光発電では、発電量を100とすると家庭で使える電力量は90。
・エネルギー回収率が比較的高い
太陽電池が生み出すエネルギー量のほうが太陽電池を作る為に必要な電気エネルギー量に比べて多い。
・発電量が天候により左右される。

◇各国の設備容量の世界比率(2009年現在)
ドイツ48%スペイン17%日本13%(3位)

◇太陽光電池セル(10㎝四方、厚さ約1㎝の太陽電池本体)の生産量
2006年までは日本が世界で一位であったが、それ以降は中国/台湾に抜かれている。

◇さまざまな太陽電池
・結晶シリコン太陽電池
シリコンの資源量は無限だが、高純度のシリコンの生産が難しい。変換効率(受け取った光エネルギーを電気に変換できる率)が高い。
・薄膜シリコン太陽電池
結晶シリコンより変換効率は低いが、シリコン使用料が少ない為に低コストで作ることができる。また、薄い為、丸みのある場所や(穴をあけて)窓などにも設置できる。
・シリコン系太陽電池の発電原理
太陽電池は、性質の異なる2種類の半導体(p形、n形)を重ね合わせたもので、太陽の光が当たると電子(-)と正孔(+)が発生し、正孔はp形半導体へ電子はn形半導体側へ引き寄せられ、この二つの半導体をつなぐと電流が流れる。

 現在実用化されているシリコン系の他に、化合物系太陽電池(シリコン系より安価)色素増感太陽電池(コスト低く、変換効率が高い)有機薄膜太陽電池(フィルム状で使え、コスト低い)タンデム構造太陽電池等が開発中である。

◇太陽光発電の利用
・アメリカの例
2050年には電力需要の69%、総エネルギー需要の35%を太陽光発電で賄う予定。2100年には、再生可能エネルギーで国内電力の100%、総エネルギーの90%を賄えると予想。
・大阪に大規模太陽光発電設備を計画
・国や自治体が家庭用太陽光発電へ補助金を支給
国(経済産業省)は太陽光発電量を2020年までに10倍にする目標を設定し、2008年から家庭用太陽光発電の導入を支援する制度を始めた。
設備購入者に、出力1kw当たり7万円の補助金を支給。一般的な発電能力(出力3~3.5kw)を持つ機器の場合で200万円程の購入費に対して20~25万円の支給。これに加えて、各自治体でも補助金を支給。札幌市は1kw当たり7万円(上限20万円)石狩市は1kw当たり4万円(上限12万円)遠軽町は最大100万円を補助。
・電気の全量買い取り制度
前述のように、2009年11月より、余剰電力を従来の倍の48円で買い取る新制度が開始されて、これまで約15年かかった設備のコスト回収が10年に短縮出来る可能性がある。また国は、太陽光発電による電力の全量を固定価格で電力会社が買い取る制度を10年度中に実施の意向。買取価格が高くなった分は電気利用者全員で負担(月額約30円)することになっている。
・直流で使用する蓄電式発光ダイオードの発売
交流に変換する際に生じる10~40%のロスをなくす。
・石狩市小学校と市役所に導入された
石狩花川南小学校―最大5kwの発電量。約1,500万円の設置費で年間約61,000円の電気料金節約。
石狩市役所―最大10kwの発電量。晴れた日は1,2階の照明を賄える。約1,554万円の設置費。

2)太陽熱発電
流体を満たしたパイプに金属製の鏡で日光を集めて流体を熱し、高熱になった流体が熱交換機を通る際に発生する蒸気でタービンを回す。アメリカではすでに実用化されている。ディッシュ・スターリング型、点集光・屈折型集光集熱型、平面反射鏡を用いた集中型、太陽炉などの発電システムがある。

3)宇宙太陽発電
宇宙空間で大規模な太陽光発電を行い、得られた電力をマイクロ波として地上に無線送電して利用する。この発電は、天候に左右されず、ほぼ24時間発電可能。静止軌道上では太陽エネルギーは地上の2倍、日照時間も4~5倍あるので、発電量が地上の8~10倍となる。クリーンなエネルギーである等などの長所がある半面、マイクロ波送電の安全性、巨額な建設費、発電コストの高さ、気象・環境への影響、政治的悪用の懸念などまだ様々な課題がある。

8-4-12.JPGのサムネール画像2.風力エネルギーの利用 風力発電
風の力(風力)によつて発電機を回して発電する方式で、世界各地で普及が進んでいる。

◇特徴
長所
・二酸化炭素などの温室効果ガス排出量の低減効果がある。
・再生可能エネルギーを用いた発電方法の中では比較的発電コストが低く、事業化が容易。
・エネルギー自給率の向上が見込める。
・小型のものは需要地に近接して設置可能であり、送電コストの低減に役立つ場合がある。
・小規模分散型の電源であるため、事故や災害など有事の際の最小限に抑え、全体の稼働可能率を非常に高くできる。
・運転用燃料を必要としないため、物価変動要因(インフレなど)の事業リスクが少ない。
短所
・風速の変動により、出力の電圧や力率が需要と関係なく変動する。
・夜間も発電するため、夜間の余剰電力を増大させかねない。
・現時点では既存の発電方式よりコストが高め。
・バードストライク(ブレードに鳥が巻き込まれて死傷)が起こることがある。
・周囲に騒音や低周波の被害を与える恐れがある。
・雷の避雷針となることで壊れる場合がある。
・台風による倒壊の恐れがある。

◇風力の資源量と現状
世界全体での可能な風力発電量は約72TW(テラワット、テラは10の12乗)で電力需要量約14TWの5倍。2009年時点で導入が多いのはアメリカ、中国、ドイツで日本は13位。国内では、青森、北海道、鹿児島、秋田など。

◇風力発電に対する追い風
・小型風力発電機の開発・実用化が進んでいる。
・モニュメント型風車(アートの取り入れ)が開発され、我が家の庭にも設置の機運。
・輪島に大規模風力発電所建設。
・日鋼室蘭で風力発電装置を本格生産。
・スウェーデン・マルメ市一地区では電気と熱の100%を再生可能エネルギーで賄っている例がある。

◇逆風
・故障頻繁、修理費用高い。
・02年以降全国で少なくとも27件、道内では15件のバードストライクが発生している。
・低周波による健康被害が懸念されている。
・小樽市銭函の海岸線約5㌔に風車20基を建設する計画に対して隣接する住民から低周波による健康被害を心配する声があがり、計画を縮小することも考えられている。

◇風力発電の新展開―"成層圏風力発電"
・高度数千㍍の上空を吹いている高層風のエネルギーは人類が消費する全エネルギーの100倍以上になる。米国スカイウィンドパワー社は、地上からワイヤでつないだ巨大な風車を空中に並べて高層風のエネルギーを取りこむことを提案。
・オーストラリアのBryan Roberts教授は飛行発電機を開発。
・風車が風を捕えた時のエネルギーに比して実際に獲得できるエネルギーは高い所のほうが効率が良い。

◇風力発電の新展開―"凧による風力発電"
・カイトジェンプロジェクト(イタリアのセクオイア・オートメーション社)風のエネルギーを効率的に受けることができるのが特徴。試作機開発の後も、メリーゴーランド型にしてさらに開発。
カイトジェンによる電力生産コストは、1kwhが約0.17円でヨーロッパの通常電気代の約30分の1程度。

3.化学エネルギーの利用 燃料電池
燃料電池は水素と酸素から水をつくり、その過程で電気を生み出す新しい発電装置。

◇燃料電池の利用と意義
・環境負荷低減効果―二酸化炭素削減
・高効率―燃料電池自動車(効率48%程度)定置用燃料電池(80%以上)
・エネルギー供給源の多様化(水素は天然ガス、石油等から製造できる)
・電源の分散化―送電損失低減、災害時バックアップ。
・新規産業・雇用の創出、産業競争力の強化。

◇燃料電池の原理
水の電気分解の逆反応

◇実用化における課題―水素の製造
水素という元素は炭素との化合物や酸素との化合物などの形で地球上に豊富に存在するが、単体である水素ガスは自然界に殆ど存在しないので、何らかの方法で製造しなければならない。

◇実用化―燃料電池自動車
・問題点― 1)コスト問題(現在1台数千万円)2)水素の効果的な積載方法 3)水素ステーションの設置必要
・500㎞走るには5㎏の水素必要―350気圧の高圧タンク使用で約200㍑のタンク必要(ガソリン車の4倍の容量)―水素の効果的な積載方法の開発が不可欠。
・自動車メーカーの開発状況
ホンダ:約570㎞走行 トヨタ:2015年を目途に発売 メルセデスベンツ:米国で燃料電池車をリース販売
・京大・九大がレアメタルを使わずに燃料電池車用の水素吸蔵材料をつくる方法を開発。

◇実用化―家庭用燃料電池
電力ロスがなく電気と熱の両方が利用できてエネルギー利用効率が良いなどメリットはあるが、コストが高いことや燃料あるいは水素の供給方法が課題であり、北海道では凍結や積雪に対する対策が必要。

◇実用化―モバイル機器用燃料電池
現在の充電池に比べて少なくとも3倍以上長持ちする。

 この後、燃料電池についての実験を見せて頂きました。8-4-14.JPGのサムネール画像実験は「水の電気分解」の逆反応ということで、昔学校で習った「電気分解」の実験に良く似ていました。8-4-23.JPG装置とモーターをつないで、プロペラが廻ると、歓声があがり、実験を覗き込む皆さんの顔は子供のように輝いていました。

8-4-22.JPG 実験の後、時間も迫っていたのですが、潮力・波力エネルギー、温度差エネルギーなどについても概略の説明を受けて講演は終了しました。

 再生可能エネルギーの技術開発について個別に大変きめ細かく説明頂いて、それぞれのエネルギー利用の現状と今後の見通しなどが良く理解できた講座でした。

 受講生からも

「再生可能エネルギーの技術開発を技術立国といわれる日本で、世界をリードしていきたいものである。日本国民の生きる力を伸ばしていくうえで、重要なことと考えます」

「自然エネルギーを使った再生エネルギーが沢山有る事が判った。又、多くが実用化されれば良いと思う。実験も非常に面白かった」

「太陽エネルギーの利用で"宇宙太陽発電"について、小さい頃に科学雑誌で見たことがあり、大変関心を持っておりました。徳田先生の資料・説明が大変面白く、うきうきした気分で拝聴させていただきました。発電コスト等家庭支出に基づき、ご説明があり、とても良かった」

「難しいかと思っていましたが、実験等でとても身近に感じ楽しかったです」

「太陽光(熱)と風力、海洋温度差等で生み出されるエネルギーの話には夢があって、それが身近に利用出来るところまで進んでいる事に感銘を受けました。実験をしている時の先生は科学の先端をゆく博士であり少年のようでもあり、素晴らしかったです」

「扱う内容が多すぎるので、全体を広く浅く説明してほしかった。CO2を化合して燃料にする見通しについても聞きたかった。カイト発電は初めて聞きました」

「風力や太陽光発電くらいしか知りませんでしたが、太陽光の使い方も色々あってビックリしました。また潮力、波力、風を受ける凧などのお話を聞いて目からうろこの思いでした。本当にありがとうございました」

「太陽光発電―電池のセル見本があったら良かった」

「昨日、太陽光発電パネル設置の契約をしたので、太陽光発電の話は、とてもタイムリーで興味深く拝聴させていただきました」

「太陽光発電は、身近なエネルギーとして知っていたが、燃料電池を実験で見せて頂き、これも近々期待できるエネルギー源として発達すれば実用化が拡大すると思う。この講座は、2,3回に分けて今後新たに開いて欲しい」

等などの声が寄せられ、皆さん、再生可能エネルギーについての理解を深めると共に、燃料電池の実験には大いに好奇心をそそられたようです。

 

 

 

 

 

 

 


 




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